やまもとのグレーゾーン

札幌の絵描き山本雄基のきまぐれ雑感と日常。

ここしばらくやってた小作品3つが完成した。よしよし、悪くはなさそうなデキかな。
こないだのCAI02のグループ展の時に制作スタートしたから、かかった日数は1ヶ月と少しか…。

うーん、効率が悪い!毎日手を加えているはずなのにこのスピードはちょっと遅い。

単純計算で、
支持体作りに2日、下塗りに1日。
10層の絵を作るとしたら、1日1層だとしても10日。実際、メディウムを厚塗りしたら乾くだけで1日かかり、そのあとヤスリで平らにして丸の描写をして、マスキングの剥がしもあるので1日1層は厳しい。
2日で1層だとしたら20日。
となると小さい作品なら最速でゼロから完成まで3週間ちょいでイケるか…きつー。
これがデカイ絵になると3日で1層でもけっこうしんどい。

ああ、今の制作方法のもどかしさといったらない。

学生の頃の無邪気な実験期には、絵具を塗ったくってオシマイ!というハイスピードな展開の絵もあったなあ…。絵を描いている皆さんはそれぞれいったいどのくらいの期間で作品を完成させるのか。
スペインの異常写実画家アントニオ・ロペス・ガルシアのデカい風景画の制作年を見ると10年くらい!かけて描いている。
たかだか1ヶ月程度でウズウズしてる僕には耐えられない期間だ…。そうかと思えば1日で良い作品を仕上げてしまう画家もいたり。早い作風に辿り着いた画家は、ズルいよ!とか思っちゃうけどその思いは全く持って無意味なので、心の中でさっさと蒸発させる。

今の作風で効率をあげるには、同時制作枚数を増やすしかない。次は同時5枚か6枚か…いってみるか。
うわーイヤだ!!これぞ制作のマルチタスク化!
同時制作して全部の質が下がったら意味ないし、悩ましいところです。

 とあるきっかけで、いつか書いたペインターズペインティングという映画を見る事ができた!ありがたや ありがたや

字幕がないので英語をどのくらい聞き取れるかも試してみたら、なんとかなんとかモンドリアーン、なになになんたらデュシャーン、ほにゃらほにゃらポロック、なにがしなにがしタッチ、ホワットイズダダ〜?といった具合に人の名前やわずかな単語くらいしか聞き取れなかった…愕然。

映画を訳した本を訳代わりに読みながら追うけど、でてくる人の順番とかけっこう変わっててあまり意味がなかった。

しかし何を言っているかわからないにも関わらず、2時間あっさり鑑賞することができた。
本当に、最初から最後まで超有名人達が絵画について話してるのみ。なんという映画だ。
雰囲気がすでにもう興味深い!途中途中展示風景やアトリエ風景もでてくるので臨場感があった。

画家のみなさんとてもよく喋る。とにかく喋る。堂々と喋る。
ステラの喋り方が異常。変な声で体育座りで頭もじゃもじゃでめちゃくちゃ真面目に話す。
久々に作品をまとめて見たが、中期のカラフルな作品群が良かった。
ジャスパージョーンズも、寡黙な堅物と思いきや意外と笑顔を見せながらよく喋る。
ラウシェンバーグのイケメンっぷりと、カッコつけぶりが凄まじい。

などなど、またしてもモダンオーラにすっかり汚染された。ところでこの映画は1973年の映画だそうで、リアルタイムのものと思いきやモダニズムがひと通り終わってから発表されたんだなー

 実家からパスポート申請の為の戸籍抄本を送ってもらったので、早速申請しにいく。渡航を実感し始めた。ポーランドの知識を集めなきゃイカンと思って本屋をぶらぶらするが、ポーランド入門!みたいな本ってあんまり無い、東欧及びヨーロッパ史から攻めなきゃイカンのか…スケールでかくしたらキャパ越えするぞ、どうしよう。

 どうしようとモヤモヤしつつ、あら今日は確かiPadの発売日ってことでアップルストアをチョコッと様子見。おお、デモ機を触れる!!うほほー、ほー、どうなってんのータッチの感度が良すぎ。これは、おもしろい…ニューンって2本指で画面を拡大させる動きにハマり、自分のサイトの閲覧などもしてみたら、作品画像まで勝手に拡大できちゃうのね。これは困ったな高解像度で載せなきゃ対応できん、しかし容量が重くなるのは困る。

 触感が同じでいろいろ動いていろんなことができちゃうのは不思議だなー怖ええ。ボタンやキーボードには無数の押し心地があるのに、それすら無くなっちゃう。
 それにこの板一つでどんだけいろんな情報が湧き出て来るのかと思うとゲッソリ!世の中液晶モニタだらけ〜液晶モニタから離れられない〜そんな21世紀〜おもしろい。

 昨夜こっそり買っちゃったマリオギャラクシー2、やりたくてしかたがないのだ。すごいゲームなんだ。
「ゲームは一日一時間!」と高橋名人がかつて言っていたが、だがしかし現状一日30分も出来ない!!悲しい。

まずはいち早く今作っている9割完成した小作品3つを終わらせて、100号作品を予定通りのスケジュールで進めて、ポーランド用の作品プランを仕上げなければイカン、イカンのにiPadとかダラダラ触るから時間が押して反省せざるを得ない状況にうんざり!!!!!!

 午前中制作。昼過ぎからポーランドに一緒に行く大黒さんと話合いをするために街に出向こうとすると、玄関に置いていた自転車が消えていた。…は?

つい一時間前まであったはず…昼飯を食べている間に誰かが持っていったの!?ショック!!!

ああ思い出深い我が自転車を平気で持っていったのはだあれ。近所にある、小ちゃいおじいちゃんがやってる古いチャリ屋さんで一年前に買った中古のお気に入りだったのに…ひどい。

しばし玄関で呆然と立ち尽くしていたが、やばい遅刻してしまうとバスに乗り、待ち合わせのCAI02へ。

お会いしてみると、なんとも落ち着いた頼れるお兄さんという印象で、パソコンの扱い方や外国に行く事に慣れている感じを受けてビビる。ああこの方に何度迷惑をかけるのかと思うとすでに申し訳ない気持ちに。

そして早速、僕のパスポートの期限が切れており、飛行機の予約ができないことが判明!思ってるそばから足手まとい、すみません…

しかし大丈夫なのか。無事に帰ってこれるのか。

話合いが終わり、そのままそこにいた今村さんとkensyoさんと美術の話をしてたらいつのまにか3時間も経っていた。いかん!!

自転車が無い事を思い出しながらとぼとぼ帰宅し、とぼとぼ制作。

 さて今日こそは丸一日制作だと意気込み、デカ絵のヤスリがけをしたら、なんと今日中にポーランドに必要データを送らなければならないことが判明、急いで考えをまとめた文を英訳する。

当然英語力がないので、Yahoo!翻訳を使う。でもこれってあんま信用できないんだよなあ。明らかに変な翻訳は自分でなんとかしなければ…。

ややこしい文を作ると確実に変になるので言葉と文章をできるだけシンプルにまとめる。まとめるのが難しい!

…大学2年の時、札幌にあの村上隆氏が講演に来た。一瞬話せる機会があったので、「現代美術をやるにあたって一番大事なことは何ですか!?」といったことを質問したら、即答で「英語」と返ってきた。すごい印象に残っている。

あれから約8年…英語はやっぱし大事なのね。とりあえずニンテンドーDSを久々に用意して、英語漬けを再生しっぱなしにした!

なんとか訳は終わったけど、木製の製品の準備ができてない!とまた今日も街に繰り出し、木彫りのクマ探し。繰り出したはいいが、どこに売ってるんだ…?渋そうな土産屋ならありそうだけど、それってどこに…まずはテレビ塔へ。修学旅行生だらけ。そのせいか、渋めなラインナップと思いきやまりもっこりやらテレビ父さんやらゆるキャラブームに媚びまくったもんだらけで苛立つ。

てことは、もう狸小路しかない!

当たり。よしよし渋めなお店が2件3件。外国人観光客やダサめの少年学生が群れている。こんな店入ったことない。

あったあったズラリ大小並ぶ木彫り製品。クマだけで何種類も…こうなると、選択の余地が生まれる。どうせなら一番カワイイしかもそれなりに安価なものを…。どれ!?なんかどれも結構なお値段だし!!

1時間ほどウロウロし、ようやく1000円のシンプルなクマちゃんに決めた。しかし、こう改めてまとめてみると、なかなか興味深い。

帰ってクマを撮影し、データ送信も完了。よし第一段階クリア。
制作にカムバック。

あとはクマと、森と、文化と、制作コンセプトを繋ぐ作業をじっくり行っていくか。こういう先になんか形があって、あとづけでコンセプトに説得力を持たせようとするのはけっこう好きです。

 昨夜はギリギリCAI02の今村さんパーティに間に合い、本人とお話。空間に対する、特に今回は床やコンクリートの雰囲気に対する意識の話を聞けた。よかったーなんかスッキリしたし、葛藤としっかり受け入れてる作家さんの強さを感じた。

同時にそこで正式決定したので報告しますと、ポーランドのレジデンスに作家として選んで頂き、7月に2週間くらい滞在することになりました。
英語でシンポジウムがあるって話だけど、僕は英語が話せない。
幸運なことに、もう一人同時に選ばれた作家さんが英語が話せるとのことでかなりお世話になりそう…。
その作家さんがなんと、先日CAI02でとても面白い個展を開いていたサウンドアーティスト大黒淳一さん
まだ本人にお会いしたことがないけど、調べてみたら経歴もハンパ無い…うわあ会って話すのが楽しみ。
ということで、その為の作品を作らなきゃイカンのと、与えられたテーマについて考えをまとめなければいけなくなった。これからはポーランドとその後の個展のことで頭がイッパイになりそうだ。

さて、本日は午前中からギャラリー巡りをした。石川亨信さんの個展、大泉力也君の個展、GRAND PRIX。中でもひと際緊張感をくれたのが額田春加さんの絵画だった。周りの誰とも違う雰囲気の絵を描くが、かなり絵画に入り込んだ絵で、見ててスリリング。ぐんにゃぐんにゃしてボッコボコのマチエール、でも本人は、具象で風景画家だとキッパリ言い切る。カッコ良い。奥行きの話をして思わず鼻息が荒くなったが、ほどほどで抑えた。

午後からは、ポーランド向けの知識向上のため北大植物園へ。森だとか、文化だとか、木の製品について調べる必要があり、真っ先に浮かんだのがクマの木彫りとこの植物園!
10年札幌に居ながら初めて入った。天気も良くてキモチが良い。街の中心部なのに異質な空間。園内から見えるビル群がなんだか新鮮だ。普段植物に対して興味関心は薄いけど、いざ見てみるとおもしろい。自然林は決して華やかではなく、どちらかといえば近寄りがたい存在だった。
動物の剥製展示室もあり、クマやオオカミ怖い。そして、南極から生きて帰ったタロとジロのタロの剥製がここに!!へえ〜

夕方過ぎて、画材を購入し、街をフラリ。札幌って、住みやすい街だな〜とふと思う。
で、ついチラ見のつもりで本屋に入ったらアリ地獄だった。
偶然手にとった象虫っていう写真集、おもしろい。形がグロかっこ良すぎる!
その他、中村一美批評集や川俣正の自伝や彦坂尚嘉の皇居美術館や美術手帖など目につくものをザッとチェックしていたら時間がエラい過ぎてる…
野田ヒロシのリアリズム絵画入門をチェックして批判的な態度を育てようと思ったけど時計をみてやめた。余裕があるときに再チャレンジだ。
だーこんなつもりじゃなかったんだ!サクッと予定を済ませてじっくり長時間制作をしなければならないはずだったんだ!!何をしているんだ!!余計なインプットより今はアウトプットだろ自分!!

戒めて、マックで夕食をとり、帰ってきて制作。100号は1層目ならし中。チビ作品は残り1~2層。あー歩いたから足がイタイ。そろそろ次のパネルも作らなければ…

昼に突然地元の母からメールが届いた。
ラーメン屋に並んでいるという報告と、
その長蛇の列を撮った写メールだった。

おもしろいのは、
ゴールデンウィーク中に全く同じメールが、
友人のM君からも届いたこと。

なぜラーメン屋の行列に並んでいるだけで写真付きメールが次々と送られてくるのか。
それには理由があるのだ。

この地元帯広市で有名なラーメン屋・寶來(宝来 ほうらい)は異色なラーメン店。

何が異色かと言うと、まず麺が手打ちで、うどんのように太い。
そしてスープがぬるくて若干すっぱくて、臭い。
創業以来スープを注ぎ足しながらここまできたという噂があり、
底の方は若干腐っているのではという説すらある笑
そんな発酵系スープなのになぜかあっさり。
そもそも食べる以前に、臭みを含んだ蒸気が暖簾の横にある排気口から排出されているので、
店内に入る時点で勇気がいる。

水のおかわりを頼むと、
おばちゃんが2リットルのペットボトルの空容器の中に水を入れて、
少し凍らせたものをドンって持ってきてくれる。

要素を並べただけでは信じられないかもしれないけれど、とにかくものすごい人気なのだ。

親子3代でファンだという人もいれば、
週一で食べなきゃ禁断症状がでる人もいるらしい。
麻薬が入っているのか!?

店の客の8割は、メニュー表に載っていない「シナチクラーメン」を頼む。

僕は高校時代に噂を聞いて初チャレンジするも、当然のように違和感を覚えた。
しかし浪人時代に、すでに家族で寶来の虜になっていたM君に何度も連れて行かれ、
3度目あたりで「あれ…わかってきた」という感覚に陥り、
以降は行くたびに倍くらいの美味さ感じるという事態に陥った。
今では世界一うまいラーメン屋だと確信している。

うちの家族も皆、あそこはさすがにキツい的な拒否反応を最初示していたが、
そのおいしさを熱弁し続けたら、
親父を除いてみな同様に何度目かで虜になった。
親父はどうしても受け付けないらしい。
何度食べてもあのクセのある味に耐えられない、アンチ寶来ももちろん一定数存在するのだ。

M君とある日店内で、なぜこんなラーメンがうまいのかという話をしていたら、
相席のサラリーマンが突然会話に入ってきて
「…ですよね?僕も帯広に赴任してすぐに、行列が気になって食べてみたら、
本当にマズすぎて吐きましたよ!
でもどうしても行列ができていることを解明したくて、
果敢にチャレンジしたら、何度目かでわかってくるんですよね」
と熱く語ってくれた。
僕らの話に共感するあまり話したくて我慢できなかったんだろう、やっぱみんなそうなんだ!!
肯定派も否定派も寶来を体験してる人は、
寶来話になったとたんに楽しそうに盛り上がるのもまたおもしろい。

ラーメンの概念を崩し、特別な価値を再構成するラーメン屋と、
それについてくる帯広市民。ハイコンテクストすぎる。
サブカルとも言えるが、世代幅の広さと実際の味のクオリティが突き抜けている。
この地元の事実に僕はささやかな誇りをもっている笑

ところがこの寶来、
店主がもう結構なお年で病気になってしまい、
この5月で閉店することが決まっている。

それで街中のファンが連日詰めかけているらしく、
ものすごい長蛇の列(2時間待ち!)になっているらしい。
それを自慢げに報告してくる友人や家族。というわけなのでした。

僕は実家に帰る暇がなくて、
閉店までにはもう食べる事ができずとても悲しい。
機会があれば多くの人に体験してほしいなあ。


<追記>
2016年夏にまさかの続報が。
http://yamamotograyzone.ldblog.jp/archives/52247666.html

 100号、コーティングの整地も終わり、一層目のくり抜き丸を描写。今回は、くり抜き丸ばかりで攻めるのだ。

よくいろんな人に聞かれるけど、丸はすべてフリーハンドで描いている。

 コンパスを使うとあまりに完璧で機械的な丸になってしまいそうだし、描く楽しみも減る。自分で葛藤しながら丸らしい丸を生み出していくのはなかなかやりがいがある作業。そしてよく見りゃ結構ゆがみもある丸がなんとなーく画面に揺らぎとか有機的な雰囲気を醸し出すと思っている。

さすがにこの大きさの画面に適した丸を描くのは難しい。
くり抜き丸は某特殊液体を使って描くわけだが、この液体はすぐに筆をダメにしてしまう。取り扱いがなんともめんどくさい!

夜は祝い事で発寒にある斉藤ファームという雰囲気あるお店でディナー。に、肉とチーズが美味しい…!

いつものライバル笠見君からメールがきた。どうやらトーキョーワンダーウォールに入選したらしい。
むむむーやるな!おめでとうってうれしいキモチ3割、くやしいキモチ7割!
ついにまた動き出したオトコ。刺激物。
どんな絵を描いたんだろうか。入賞したらイヤだな笑

 CAI02に、今村育子さんの個展「カーテン」を見に行った。

大掛かりな部屋をまるごとつくってしまう強力さにいつもびっくり。入り口をくぐれば懐かしい雰囲気の異空間に入っていく胸の高揚感。その先にある心象空間は呼吸をするような光の明滅とそよそよしたカーテンがちょうど良い不安とキモチ良さ。一つ気になったのは、あれだけ真っ暗くしても、やっぱりコンクリートの冷たさや堅さが空間に伝わってくること。あの会場は存在感ありすぎだ!カーテンとコンクリ床のバランスや空間に対する話を本人に聞きたかったけどあいにく会えなかったーオープニング間に合ったら行って話をききたいなあ。

 ぐはあブログを書く余裕が無くなってきたー!仕方が無いので雑感垂れ流しモード。 

お供のYが何やら展覧会づくしな旅から帰宅し、ノルシュテインとか満喫してきたようだ。豊田市美術館の村瀬恭子展にも行ったっていううらやましさ。

豊田市美術館って6年前くらいに一度行った事あるけど、めちゃくちゃカッコ良い美術館。あそこで個展とは、間違いなく良いだろう。
図録を買ってきてもらったので、しげしげと眺めたが、こりゃあいいな。絵づくりがうますぎる。モチーフ同士の関係をうまいこと筆づかいでとろけさせて曖昧レベルをコントロールしてたり、画面の割り方もうまい。くふぅ展示がみたい。。。

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