やまもとのグレーゾーン

札幌の絵描き山本雄基のきまぐれ雑感と日常。

2010年11月

後輩の一言から、久々に我が家に人を呼び鍋を囲むイベントが発生した。
人が来ないとひたすら汚れ続ける我が生活部屋を、2日がかりでくしゃみ鼻詰まりと闘いながら掃除。
たまには来客が必要ですな。。。

今回集まった後輩達6人くらいは、学校卒業してなんやかんや美術表現を続ける粘り屋だ。
振り返れば彼らは学生時代から、チームデザイヤっつってユニットを組んだり、SPIRALっつってグループで企画展示したり活発だったな。

自分は先輩方にしがみついてここまで来たので、常に下っ端世代だと思ってたのに、
気付けばこんなに、もう学生ではない下の世代が揃っていたとは。

しかもこの内何人かは、先日まで韓国やら福岡に行きビエンナーレなど美術漬けになって帰ってきた。
話を聞けば、それぞれの視点でフィーリングを持ち帰って来てるじゃないか。うらやましい。
話の熱気っぷりに、やはり美術は本物を体験してなんぼだよなあ、と思った。

僕も数年前に韓国の光州ビエンナーレで初めて国際美術展なるものを体験した。
作品の質、だけではなく、第一印象のインパクトや、作品のテーマ選び(政治的だったり、ナンセンスだったり、グロだったり)や、作家の出身国の意識など、いろんな要素がごった煮になってせめぎ合ってる会場は独特の臨場感があった。
そんな中に、突然特別ブースのような形でゲルハルト・リヒターの抽象ゾーンと、リチャード・ハミルトンのセルフポートレートゾーンがどどん!!と存在していたり。この大御所の扱いは何なんだ?とも感じた。

今回彼らは光州と釜山の両方のビエンナーレをハシゴして、展示の方向性などの比較もできていた。
光州のカタログに、一人気になる画家がいたなあ、名前メモし忘れた…

後半は酔っぱらって、いつものようにただのウザい人に成り下がってしまった僕であったが、ひとつ悲しいのは、
美術好きの来客を意識して、目立つところに自慢げに置いている本棚の画集コレクション達に、みんな食いついてくれないことである。
まだそんなに量は多くないけど、学生時代からコツコツ集め、制作のヒントをくれた宝物。
それをこんなにオープンにしてるのに何故だいヤングアアチスト達よ!

皆が帰った後、一人酒を飲みながらリチャードハミルトンの画集を涙で濡らした(ウソ)

札幌芸術の森に「札幌昭和30年代 なかがわつかさが見た時代」を見に行く。
とても渋くて地味な内容ながら、思いのほか時間をかけてじっくり見る事になった。

こういう切り口でまとめて見せられる「美術」もあるんだなと、率直な感想。

美術史を更新しながら、世界を反映させながら巨大なうねりをあげるアートワールドが、僕の勉強したい、最も興味深い、スリリングなアートだ。ルーブル美術館、メトロポリタン美術館、オルセー美術館、ニューヨーク近代美術館、、、そういうビッグな美術館に収蔵されていくような、アート。

でも今展のテーマは「札幌」というローカルな地域で表現されたローカルな美術表現。その土地の土地性を結晶化させた記録としての美術。もちろん個々の作品は、アートワールドの巨匠の作品の影響をもらっているのは感じたけど、アートワールド自体を作って行くような表現とは少し違うような。

札幌の開発風景や日常や田舎の風景を取り上げた絵画や、公募展の存在感、グループの美術運動。この地で美術を盛り上げる熱気は、今の札幌の美術界より泥臭く活発に見えた。
公募展の存在意義も、今と違って時代背景と合わせてみれば理解できるような。。。そして公募展のあり方にするどい批判を決める、なかがわさんの言葉は今の公募展にもそのまま言うことができそうな内容だった。

当時の札幌の美術表現に感動したなかがわさんは内地から移住してまで評論活動を札幌で行っていたんだって。展示作品の隣になかがわさんの評論記事も一緒に展示されており、かなり辛口!こういう人いっぱいいたら、燃えるなあ笑

展示序盤に上映されていた、HBC制作の昔の札幌の記録ドキュメンタリーもじっくり見てしまった。ナレーションはキートン山田で、よくできたおもしろい映像だった。

展示後半には、岡部昌生さんの20代の作品もあり(ちなみに渋めの絵画でした)、40年後にアートワールドの祭典にヒロシマをテーマにしたフロッタージュ作品を展示してるんだと思うとまた、不思議な感覚に陥る。

美術やらアートやらって、ローカルやらグローバルやら、昭和やら平成やら、ビエンナーレやら公募展やら、いろんなスケールを取り込んでいるな。

展示終盤の今展年表に文化軸の年表も並列されており、今展の時間軸の最後のほうに、ウルトラQ放映開始 という項目があった。ウルトラQって、こないだ見たばっかりのウルトラマンのさらに前身のモノクロ特撮TV番組じゃないか。。。
そうか昭和30代て、そんなに昔で、ポップエンターテイメントの要素が無いのか!
となると展示作品も、渋い内容なのは時代背景から考えればそりゃそうだよな。

いやでもちょっとまて、同時代のアメリカにはロスコの色面絵画はもう完成されていたり、ラウシェンバーグがカッコ良すぎるコンバインを作っているな。。。
いやいや、それは戦後アメリカと戦後日本のさらにローカル地区との文化の作られ方が違うんだし、やっぱしそりゃそうだよな。

と、いうことで、当時の札幌と当時の渋い美術作品はやっぱり関係を感じるんだ。

今の札幌と今の札幌美術に、関係を感じるか!?
そんな事考えながら帰る。

発売日に定価で買ったau初のAndroidスマートフォン(スマートブック)、IS01。

誰かに自慢するたびに逆にバカにされつつも笑、愛用しているのだけれど、OSが1.6から2.1にアップデートされないという発表がTwitterで突然飛び出し、IS01ユーザーが荒れているようだ。
Twitterの影響の広がり方ってほんと気をつけないと良い方向にも悪い方向にも動いちゃうなあって感心しつつも、
無駄に悲しい気持ちになった!!

2.1にならないと言う事は、FireFoxやGoogle Earthに対応しないし、Flashも見れないままだ。
こんなハンパな結果になるとは。。。けっこう使いやすい機種なのになあ。
こんなマニアックな機種なのに、深澤直人デザインだし!
深澤デザインなのに、つるつるプラスチック加工ではなくシボシボ加工というレアものだよ。

DSみたいとか、iPhoneのほうがいいとか、散々な言われようだけど、こういう少しズレた隠れた名機みたいのがなんとなく、好きなのさ。バーチャルボーイとか、ワンダースワンとか買っちゃったキモチの、延長なのだ。

実際、Googleマップ使ったナビとか重宝してますし、Twitterもやりやすいですし、手軽にちょうど良い大きさの画面でネット出来るから、こいつとこれからも仲良くするんだ。。。

衝撃の残念発表と同じ日にiTunesストアでビートルズ配信のニュースも入ってきた。そりゃなんだかすごいことな気がする、
つられて ♪ストロベリ フィイルッズ フォーエッバー って流してもう心はヘロヘロよ。


知人が社会人プロレスをやっていて、ぜひ見に来て欲しいと宣伝を活発に行っていた。
僕は格闘技全般に全く興味が持てないのだけれど、浪人時代だらだら日曜の深夜まで起きていたらTVでプロレスが始まって、そのままだらだら見ていたらなんか偶然おもしろかったという思い出もあり笑、人生で一度くらいプロレス見に行くのも悪くない!見聞を広めるのだ!無料らしいし!ということで興味本位で見に行ってみた。

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なんかねー、おもしろかったです笑 社会人プロレスっていうゆるさもあったけど、ショーなんだよなあ。


続いて、道展の搬出に。
辞めるって言いに行いったけど、作品が地方巡回もするので、巡回が終わる2月まで待ちなさいと言われた。ああ、ということは今年は作品が地元帯広にも巡回するのだなあ。締めくくりにはちょうど良いか。。。


続いて、AGRAで宮内優里さん+大黒淳一さんのライブへ。
実を言うと僕は音楽聞くのは好きだけど、ライブってどうも苦手で。
ライジングサンとかも、どうもノリノリになれないんだ。ぴょんぴょんしたり手を振ったり、なんというか、
観客みんなでgrooove感!!!みたいのが耐えられないんだ笑 
周りなど無視して仁王立ちか座りで、じっくり聞きたいんだ。
でも今回のこのライブは雰囲気もまったりしてて周りも気にならずちゃんと自分のペースで聞けたので、こういうライブなら良いなあと感じた。

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宮内さんのその場で構成していく音の重なりとメロディがなんともキモチが良い。ポーランドに一緒に行った大黒さんの生演奏も初めて見る事ができて興奮。

そんな珍しくいろんなところに行った休日でした。

僕の個展を見に来て頂いた佐々木方斎さんが、テンポラリーで個展をやっているので見に行く。大きな綿キャンバスの編目はホワイトで目止めされ、平らな白マチエールの100号サイズの真ん中に、宇宙精神的な菱形が小さく描かれた絵画だった。

さらに、余剰群や格子群、自由群といった、以前作られた版画作品もご本人の解説付きで見せてもらう。とりわけ余剰群という作品に僕は以前から興味があった。色数を限定され、外側の形もあらかじめ決められた中で、正方形の色面が複雑に構成されている作品。

この作品を初めて見せてもらった時、僕が生まれたくらいの時に、この札幌でもこんな作品が生み出されていたのか!と思ったんだ。色の重ね方とかチョイスの仕方、形の組み合わせ方、これらがどうもどこか自分の今やってる仕事に近いニオイを感じたから。

ご本人の話を聞けて良かった。かなりストイックながらどこか自由な遊び心がある絵画表現だ。
ケリーを彷彿とさせる。

美術ノートという当時佐々木さんが作っていた美術雑誌も読ませてもらった。そこにはサッポロトリエンナーレの話や、今札幌の美術界の大先輩にあたる方達の若い頃の議論、岡崎乾二郎さんの講演などまで載っており、札幌の過去の美術の熱気をすこしだけ知ったのだ。

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さっぽろアートステージ2010
500m美術館
11月1日(月)〜12月12日(日)
地下鉄バスセンター前駅〜大通駅を結ぶ地下通路内

参加作家はコチラ
http://www.s-artstage.com/2010/500m_artist/

展示が始まりました。
そして緊急告知。
明日11月3日、13時30分から、アーティストトークが行われます。僕も自作について話します。

お申し込み:さっぽろアートステージ実行委員会事務局
メール:info@s-artstage.com
FAX:011-281-7119

とのことです。でもその場でやっているので、申し込みしなくても聞けちゃう気もするので、もし通りかかったら是非耳を傾けてみてください。

毎年賛否両論のこの企画、今回は白いパネルと照明が会場に設置され、例年に比べて作品がずいぶん見やすくなりました。
参加作家さんのチョイスも、今年は硬派にモノを作っている人たちが多く、なかなか存在感があります。

僕の作品は一番大通側にあります。大通り一丁目地下のロッテリアあたりから階段を下ればすぐにあるので、ぜひご覧ください。

もしちょっとでも、ん?と感じたら、少しの間でも足を止めて作品を見て頂ければうれしいです。

美術作品って鑑賞に時間がかかります。一つの作品とある程度の時間向き合って、やっと見えてくる要素というのがたくさんある。

しかし美術館などに出かけて、お客さんを見ていると、一枚の絵を数秒で見終えて次の作品に移っている人って意外にたくさんいます。僕も油断すると、サッと見終えてしまうことがある。

一つの作品の前に例えば1分間くらい意識的にじーっと立ってみると、時間を長く感じて、かつ、けっこう立ててしまう。
その気になれば、良い作品であれば映画一本分くらいの時間は向かい合えます。
 美術館で凄く良い作品に出会った場合、しばらくその展示室に住んでたいとすら思います。

で、今回の展示場所は、通路です。通路は人が歩く道なので、あんまり足が止まらない場所です。だから、そういう場所に展示されている自作の前で、何人に足を止めてもらえるのか?が勝負どころだと思っています。

それと、今回は久しぶりに大学時代お世話になった先輩・小林麻美さんと同じ企画で展示させてもらっているのですが、ヤラれたー!!
とても良い絵でした。そう簡単に追いつかせてくれない大学の先輩達にくやしさを覚えつつも楽しいです。

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実は先月末、こっそり新しい相棒カメラを購入した。先輩の大島さんにもいろいろアドバイスを頂き、何度もお店に足を運びどれにしようかうんうん唸っていたけれど、某canonのエントリー機に落ち着いた。

こりゃあ、いい!イジリがいがある!作品も、よりキレイに撮影できるし、頼もしいヤツです。

しかし、ブログに写真をアップし始めてからバレていると思いますが、僕は写真、とりわけスナップがヘタだというコンプレックスをばっちり持っているのです。

「森山大道 路上スナップのススメ」などを興味津々で読んでしまうのは、強い憧れのキモチを含んでの事。

写真のテクニックをきっちり習得するには、やはりおそらく独自の技術が必要なんだよなあ。

絵画の場合、良い絵画作品を作ろうと思えばやはり、独自の技術習得が必要で、相当の訓練が必要だ。

僕はちゃんと絵画について考えよう!と思ってから早8年目、良い絵画の為に必要な技術というのは次から次へと出て来て、全然習得できている気がしない。ただ枚数描いてりゃいいってもんでもない。枚数は最低限の話。ただがむしゃらに表現すりゃいいってもんでもないし。

たかが8年くらいでは、まだまだ難しいんだ。

映画ポロックでポロック役を演じたエド・ハリスだって、ポロック役の為に10年絵を描いてきたんだとかメイキングで語ってて、エド・ハリスにも追いついていない!?という気分だもの。

ゲンダイビジュツは自由な表現だ!!だからゲンダイの絵画だって描きたいものを自由に描くのがいいんだ!やりたいことをやればいいんだ!というよくある入門編のような話はフタを空けてみればけっこうなワナがあり、自由に描くために長い長いそれはそれは地味な訓練がいるんだ。。

最近では中学高校美術の教科書にだって掲載されている大竹伸朗や奈良美智の一見やりたい放題だったり自由な表現に、表面的に感化されるのは危険で、例えば大竹さんはしっかり現代美術のアンテナを持っていて、10代からウォーホルに憧れてたり、デュシャンに影響受けてたり、現代美術の重要ポイントはしっかり肌で感じ取っている。その上イギリスでホックニーと直接交流していたりする。奈良さんもまたしかり。

いやいやそんな話は置いておき、そんなわけで絵画やるにもヒーヒー言って少しずーつしか進めていないのに、この写真コンプレックスを持つ僕が、一眼レフ様を使いこなすなんてできるのだろうか。宝の持ち腐れにだけは陥りたくないんだ。

現代人はケータイにもカメラが付いているため、シャッターを押す行為は日常行為だ。だから一般レベルの写真の腕が底上げされてるような気がする。一眼レフを買った以上は、その底上げ感に負けないようにパシャリパシャリ研究することを目標にしよー。

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