やまもとのグレーゾーン

札幌の絵描き山本雄基のきまぐれ雑感と日常。

2010年12月

今年の年末年始はちゃんと帯広の実家に帰省。親戚の車に乗っかって3時間強。
高速道路が悪天候で通行止めだったので、久々に日勝峠を通って帰って来た。
日勝峠、雪の量がいい具合でいい景色!

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もっと晴れてたら、ひろ−い十勝平野が一望できるんだけど、
今回はこんな風に見えた。

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峠を越えたら冬の風景と牛。いいねえ。

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帯広に着いたら、札幌より雪が積もっていた。そんな事もあるのな。
バス停が山の中…これは、いいのか?

毎年恒例のCAI02主催忘年会in門馬邸へ。
着いたらすでに大勢の人人人。今年で参加3年目だけど、徐々に知り合いも増えて来た実感。しかしやはり誰だかわからん人も多数。
まずはカレーを食べた後誰がいるのかウロウロしてたら、一番奥の方で伊藤先生を取り囲み美術談義をしているなんか知ってるメンツが笑
この見慣れた光景が発生している時は耳より美術情報の伝達が行われており、途中参加。
その後、磯崎さんも参加。2010年後半はこのタッグの美術話のシャワーが印象的だったなあ。
たくさん浴びた僕はラッキー、その分作品ちゃんとやらんとね。

とりあえず「アメリカン・スプレンダー」という映画を見るようにとゴリ押しされたので早く見よう。 

それと、札幌の今の状況はもしかすると未来から振り返ってみたらおもしろい時代になりそうかもしれないという話。

それと磯崎さんと絵の話など。
空間を意識したのはいつかという話にパッと閃いた記憶は、小学校の写生会。
十勝の田舎では、写生会は町の丘とか小高い山に遠足気分で行って、俯瞰視点で風景を描いた。
そん時見えた広ーい十勝平野のパースが全くうまく描けなくてムズムズした覚えがある。
磯崎さんは彫刻畑の作家さんだし伊藤先生は映像畑の作家さんだけど絵画の話もしっかりしてもらえるなー緊張感。
お二方が帰宅してからも美術話は続き、結局朝7時まで謙彰さんやキーボー君、森本さん達と盛り上がる。

中国でレジデンスを終えた石倉美萌菜ちゃんも帰国したその日にこの忘年会に現れるガッツを見せて来た。
そしてデリカシーの無いカラミをして反省した笑。こうやって年下に尊敬されなくなっていくんです。

ららつー後、そのまま久々に朝まで飲んでたので起きたら夕方。フラフラでこのまま一日が終わるのはあまりにも不毛だ。

そんな時ナイスタイミングで
テニスコーツ@時計台
というライブイベントが!!
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そういえば少し前に誰かが、「美術やってるなら絶対来なきゃダメでしょ!」
と言っていたことも思い出した。そういう挑発には弱い。
当日入場に賭けて時計台へ向かう事にした。

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ちゃんと入場できて安心。知った顔もちらほら。
テニスコーツ、あまり予備知識なしでの出会いだったけど、
とても良かったです。新鮮な音楽体験。
なんというか、いろんな関係がシームレスに進行していった感じが不思議な魅力。時計台だから、外の救急車の音も、8時の鐘の音も演奏中に聞こえてくるものの受け入れちゃうし、お客さんの笑い声も演奏間のユルい雰囲気もゲストアーティストの音も同じ空気の中に取り込んでしまっていた。ちなみにゲストの謎の機材が非常に気になった。単独の演奏もみてみたかった。もちろん、テニスコーツの演奏自体もすばらしい。

はー。こんなやり方もあんのねーって素人感想で唸りながら帰宅してすぐyoutubeを漁ると、まさにこういう感じだったっていう動画。これすごいね。



毎年クリスマスは、すすきのの有名ニューハーフショークラブ「ららつー」
のクリスマスショーを見に出かける。

高校時代の同級生で美術部仲間がいつのまやら、むつきちゃんになっており、ららつーのキャストなのだ。
そしてむつきちゃんは、クリスマスが近くになるとショーに誘ってくれるのだ。
今回は美術部仲間の中川君と石坂君夫妻と共に同窓会モード。

しかしスケジュール調整ミスで、待ち合わせより3時間程早く大通りで放り出されてしまった。
しまった聖なる夜は、街を歩いてみても、ツタヤやゲオにいってみても、カップルがアホかと言うくらい小虫のように沸いていて
いい加減煩わしいので、突発的に避難場所としてカラオケボックスが思いつく。
よりによってクリスマスに一人カラオケデビュー!

やはり客がカップルばかりのようで小部屋が埋まっていて、空いてる大部屋に案内された笑
外から見えないような場所に座りキモチよく歌っていたら、オバサンが部屋間違えて入ってきちゃった。
「あら!」だって。あら、じゃないよちょっと!
しかし一人カラオケ、なかなかいい。
カラオケなんて自分で歌ってる時が一番楽しいんだから全時間自分の歌いたい曲だけ歌えるのはいい気分だ。。
年を取る毎に恥の脱皮をしている気がする。
予定より30分延長して少し約束の時間に遅れてしまいつつ、集合後ららつーへ。

ららつーはさすがの内容!
エンターテイメントとは何か!働く美しさとは何か!といろいろズキュンと胸に来るショーです。
言葉より画像でどうぞ。写真は撮ってもOKなんだよね。ぜひ皆さん一度ららつーへ!

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同級生のむつきちゃん。

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クリスマスなのでサンタクロースさんもしっかり見に来てます。

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もーキラキラしてて、かっこいい(かわいい)です。

最近は制作のネタをあまり書いていなかったが、500m美術館用に制作した作品の後から、チビ作品3つ作った。
全部誰かの手に渡る事が決まっている作品なので札幌での展示予定なし、なのでここで少し公開。

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パステルカラーとか。

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派手なのとか

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最近側面の見栄えを変化させようとしてみています。側面のメディウムも厚塗りバージョン。写真で撮ってもやっぱりイマイチ違いがよくわからんなー、でも前よりいいかも?
この作業のせいで、パネルが出来るまでの鬱陶しさが倍増、くるしい!!
くるしいけど、まだまだ試したいことが出て来て困る。

側面の作業時間を差し引いても、この3作品制作中はちょっとペースダウンの傾向。イカンイカン。
とにかく寒さに負けてはいかん。さー新しいパネル作りだ。

トロンレガシー見てきた!
その前に、予習のために前作のトロンも借りて見た。

トロンは82年の作品とは思えないような、
コンピュータの管理とかユーザーに開放せよとかそういうテーマでそそられる上に、
当時の最先端的なCG!て感じがめちゃくちゃカッコ良い。
とりわけカッコ良いのは、オープニングやプログラムの中に入る時と出る時の抽象デジタル空間を飛行するようなシーン。
このビジュアルイメージを続編で超えるのは無理だろうと感じる内容なので、
レガシーではいかに新鮮なアレンジをしてくるかが気になるところ。
まず音楽がダフトパンクというところで、期待度5割増なのがいい。

で、トロンレガシーは。
もちろん最近札幌に誕生したIMAXシアターで鑑賞!2200円もかかることに若干戸惑ったけど
個人的にはとてもおもしろかった。
IMAX、画面が明るい。
一年前にアバターを違うスクリーンで3D鑑賞して、奥行きにはびっくりしたけど暗いのが残念だった。
今回のはほとんど気にならないし、3Dで楽しむシーンが沢山あった気がする。画面もデカいので没入感あり。
そして音がとても良いので、ダフトパンクも効果もばっちり。意外に映画サントラらしいオーケストラ曲が多かったけど、
こっそりデジタル音が入っていたり。

で、お話とか世界観は、
内容がつまらないというか、世界観の設定が大雑把すぎてむしろウケる。
どこかでみたようなSFシーンは置いといても、全員の行動がうっかりしすぎてて、
それでいいのか!?と笑ってしまうところがたくさん。
前作もけっこうユルいけど、大幅に上回るユルさ。

ネット上でレビューの否定的意見は、
この世界観の浅さに対する言及が多い気がする。

周りの某映画好き達に聞いても、おもしろかったとはいいつつ、世界観にどうも納得できないとか3Dが期待以下とか。
確かにそう言われたらそうかもだけど…3Dも見る劇場で変わると思うけど…
確かに前半のライトサイクルのシーンがその後の展開より見せ場になっちゃってたし、
確かにプログラム達が個性持ち過ぎだし、
確かにクオラ途中何の為に捕まったのかわからんし、確かにあの大量の兵士はなんで悪い方の親父に加勢しないのか意味不明だし、
トロンさんのおざなり感もハンパないし、父親が突然能力を発揮すると思いきやピンチになったりするし、
でもそれは突っ込み所ということで!

クオラが魅力的すぎたから問題無し!!つーかリアルなラブプラスを表現したんだな、と思った。
ただの映画でもアトラクションでもない妙な魅力がある3Dドラッギービジュアル系映画として満足した。
あーでも誰かが言ってたように、プログラムの世界に入るときと出るときの表現はしっかり描いてほしかったな。


しかし世界観の設定をきちんとするって相当難しいことなんだろうな。
いや、世界観の設定をかなり深く掘下げて描かないと中身が破綻してしまうようなストーリーをやることがリスキーなのか。
無駄に話のスケールをデカくするといろいろタイヘンだな。
それこそスターウォーズのスゴいところはその辺を徹底してるところみたいな話も聞いた。

これゲームセンターのシーンで流れてた、ダフトパンクではなくジャーニーの曲。

KOHBUNDO ART CASE #00 PRESENTATION

12月18日(土)〜1月11日(火)
10:30~18:30 水曜日定休
北海道帯広市西2条南9丁目6 六花亭本店3階 KOHBUNDO ART CASE


帯広の老舗額縁店である弘文堂さんが運営している弘文堂ギャラリーの横に、
KOHBUNDO ART CASE という小さなスペースが新しくできました。
そこは若手作家の新しい作風を紹介するスペースとして考えているとのことで、
毎月個展形式で展示がされるようです。

プレオープン企画の今展では、個展が決まっている5組の作家作品が展示されており、
僕の作品も2点出品しています。帯広の方、また帯広に行く予定の方、ぜひご覧ください。
今回の2点はすでに札幌で見せている作品ですが、
5月予定の個展では新作で攻めますのでご期待ください。

地元愛をすごく持っている僕であります。
もう札幌に移って来て10年が過ぎようとしていますが、
根を張っているのはやはり帯広で、帯広周辺で育った経験が今の作品にも間違いなく色濃く反映されてます。
なので、その地元で展示できるのはとても良い気分。

ところでその前の月の4月には、札幌の六花亭福住店でも個展があるのです。
ダブル個展の為に必要な作品数を計算してみると、大小合わせて26作品。。。
3、4ヶ月で26か…
ちなみに、最近1ヶ月で出来た作品は小さいのが3つ。…きっ、キビシい!!

その後10月には栃木で個展、こっちは大きな作品も含めさらに20点ほど必要予定…
きっ、きっ、キビシい!!

このキビシさをどう解消していくかが、まあ半分くらいは楽しみなのですが。。
寒いからといってコタツでヌクヌクしてもいられねえっすわ!

講演連発!!昨日の熱も冷めないまま、今度はあの村上隆氏が「SAPPORO次世代コンテンツ産業創造プロジェクト」
のために講演をするということで、事前に参加を申し込んでいたのでした。
プリンスホテル国際館パミールでの講演、ちなみに隣の部屋では全国高校アイスホッケーのイベントをやっていた。このギャップ。
3時間の講演もあっという間で非常に濃密でリアルな内容にただただ圧倒される。

前半は、村上さんの経験談を踏まえながら札幌でコンテンツビジネスを成立させるにはどう動くべきかというような話。
芸術闘争論も発売したばかりだし、話の内容は結構重複するかもしれないと思っていたが、全くそんなことはなかった!!

日本社会で稼ごうとしたら障害を作られるという痛烈な批判から、アメリカとのビジネスマインドの差についてだったり、
億単位のお金もダマしとられて、取り返そうとした話、契約や弁護士のこと、アートはコストパフォーマンスが高いって話、
価値のリサイクルの話など、すごい情報量。いろんな感情が入り交じった、なんともシリアスで人間臭い話ばかりだった。

もちろん自作の狙いについての話もあり、目の付けどころとアプローチの仕方がユニークで、かつなるほどと感心させられるばかり。
やりたいことが明確にまずあって、それを実現させる為のハンパ無い行動だというのが、どストレートに伝わる。

後半は、プロデューサーの竹内宏彰さん、ICCの久保さんと伊藤先生も加わりシンポジウム。
序盤から「札幌ではアートは育ちにくい。なぜなら本物を見れる機会が少ないから。
反面、複製芸術としてマンガなどは発展している背景もある。」という話で、その通りすぎてアートをやる者として悲しい現実を受け止めるのみ。。。
札幌のアーチストはニューヨーク、ロンドン、パリに本物沢山何度も見に行きましょうYO!

なもんで、直接的なアートの話は少し減ってしまった。
もともとコンテンツビジネスの講演なのでそれは元より承知の上。
もちろん、アートに応用できる話もたくさんあった。
そこに突然名指しで呼ばれた某大学の先輩。
すげー不思議な光景というかなんかもう笑ってしまった。すげーな。
で、その流れでヴェルサイユで公開したアニメを見る事もできた。
個人的には、この作品の狙いやコンセプトの話が聞きたかった。
村上さん本人も言ってたけど、プリキュアのパクリのような内容でした。

札幌についても、可能性を秘めてる場所なのに、住んでる本人達の自覚が足りないだとか、
千歳空港をハブ化するべきだとか、おおお!と振るいだたせてくれる発言。

やっぱりまずアアチストはニューヨーク、ロンドン、パリに本物沢山何度も見に行きましょうYO!!

…つーか、実際札幌で例えば画家になりたいとか思って制作してる人で、
ニューヨーク、ロンドン、パリすべてに実際本物見に行った人ってどのくらいいるのかな?
僕はまだニューヨークのみ。。。絵画の歴史を体感するには数年以内に、テートモダンやらルーブルやらオルセーやらにも行かねばならぬ。
そうだ、以前の村上さんのニコニコ生放送では、作品のコンテクストのレイヤーに50年代アメリカ(抽象表現主義)とデュシャンを含めなければならんと言っていた。
50年代以降のアメリカはMOMAに行けばとてもわかりやすくプロパカンダ的に体感させてくれるが、デュシャンも入れねばならんのなら、大ガラスと遺作を見にフィラデルフィアも追加せねばならんね。
ニューヨーク、ロンドン、パリ、フィラデルフィア全部行ってる人はあんまりいないんじゃない?

S-AIR 連続講座Vol.3 「国際芸術祭研究」講座なるものがOYOYO まち×アートセンターで行われていた。
僕は惜しくも遅れて向かう事になり、メインイベント第二部が終わる直前に到着。

壇上では、作家の高橋喜代史君、S-AIRの柴田尚さん、プレ・ビエンナーレディレクター端聡さん、学芸員の穂積利明さんという濃い4人が対談のまとめに入ったところだった。そこに、作家の磯崎道佳さんも乱入し、それぞれの意見がぶつかっておもしろいことに。

終盤参加のため流れこそよくわかっていなかったが、熱気が冷めない第三部の延長戦&忘年会から本腰参加。
いきなり高橋君に個別に「いろんなビエンナーレ見て来たけど絵画の割合が減ってる気がする。それについてどう思う?」と質問されたので、
自分なりに答える。
僕もたくさんビエンナーレを見ているわけではないので、なんとも言えないけれど、
絵画は、今のビエンナーレの、というか美術表現の多様性という性格上、場や雰囲気に即した柔軟性には弱いようにも思える。
ただ絵画が一切無いビエンナーレは無い気がするので、ああやっぱり一定の需要はあるのかなあと感じる。
個人的には、ビエンナーレは、美術のイロイロが見たい!という目的で見に行く。
比較できるし。良い作品に会えたらラッキー、おもしろくなくてもそれはそれで何かしら考える種になるし。。。
絵画を堪能したい目的なら、絵画展示が目玉の国際的美術館に行くか、最新作家の個展や企画展に行きたい。
…とビエンナーレの話の場で絵画の話をしているのもなんとなくニッチ。なんとなく、閉塞感…

そして気付いたら伊藤先生と磯崎先生をみんなが囲む輪ができてそこに端さんも参加、
僕はただただ耳を傾けて話の中からいかに自分の肥料になる要素をヒアリングするか?モードに移行する。

第三部も盛り上がり、僕も楽しくなってきたので顔の知れた6人くらいで居酒屋で第四部に移行。
毒舌を含むゴニョゴニョで朝4時半まで盛り上がった。
しかし、キーボー君の求心力がガンガン上がって来ているような気がする。
僕はまんまとそこに乗っかって、知らない人や事についていろいろ情報をもらう。
なので僕はもっと絵画の知識を深めて、情報貰う代わりに絵画の話は出来ます!的なポジションを確立したい笑

毎年12月になると、
山本雄基&笠見康大 with 小林麻美
という絵描きプチ忘年会が発生する。
正確には発生するというより、僕らのアコガレお姉さんである、小林さん(以下あっちさん)を半ば強引に誘って話をする企画だ。笑
笠見君とはいつもあーだこーだ話してるけど、そこにあっちさんという強力な調味料をブレンドし、新たなテイストにエキサイトしたいのです。

ちなみに、笠見君の先輩が僕で、さらに先輩があっちさん。学生時代より同じアトリエで切磋琢磨してきた。
あっちさんには何度も助けてもらった。教授と険悪な関係になりそうなところを仲裁に入ってもらったり、
悶々としてウザウザしい制作の悩みをぶちまけさせてくれたり、恥ずかしい当時の若気の至りっぷりにもいろいろ対応してもらってきた。

3人とも卒業後も制作発表を続けており、かつ絵画についてかなり考えている。
笠見君もあっちさんも、油彩で、タッチを残し、湿っぽい、ドロンとした、雰囲気を持っており、
それは僕の軽ーくてドライなアクリル絵画には無い要素なので、勉強させて貰っている。
頼もしいし、僕を残して誰かが一気抜きん出てにドーンと絵画の大舞台に行っちゃうんじゃないかという緊張感がある。
なので毎年この3人会では熱い画家同士としての話をしようと意気込むも、結局僕だけ酔っぱらって自分のムダ話をして終わるという情けない展開になる。
あっちさんはお酒を飲まないので、よし今回はノンアルコールでガチ美術トークを!!と肩肘を貼る。

話は最近の近場のいろんな展示の感想や、何を考えて描いているか、デュマスやトレスの話や、芸術とか宗教の話や、上海ビエンナーレや札幌はどうなるやら、
、やっといろいろ風呂敷を広げてノッてきたところでタイムアップ!!あらー全く時間が足りません!

帰って来てから、もう一軒強引にハシゴすべきだったか、とか、もっといろいろ突っ込むべきことはあるだろう!と自省した。←毎度のこと。
とりあえずお互いの絵の話が足りなかったので…そこを書き留めてみることにした。

笠見君の近作は先日某公募展で見ることができた。

以前は目止めしたキャンバスにテクニカルなボカシをつかってフラット且つストロークが際立つような画面を作っていて、
そこに光のような点がポツポツ配置されているような画風だった。
形として見えているのはボケた点のみなんだけど、
どこかグロテスクというか血なまぐささというか痛い感覚、と絵画のキモチよさやキレイさが
表現の中に混在している。

最近は筆の種類も塗り方も多彩に同列させて、キャンバスも目止めしなくなった。
点も無くなって、代わりに画面を走るエッジの効いたストロークが形体を作り上げたり、
途中で色面と解けあったり、その色面も絵具の厚みや塗り方が変化に富んでいる。
筆跡も多重に重なっていたりするのがわかり、以前の作品より時間の蓄積が感じられるような画面になった。
ただ、一見画風が変わっても、あの血なまぐさい雰囲気はもちろん健在していて、
さらにハッキリとしたストロークで画面を複雑に割ってるので、傷口スパッ!!と言いたくなるような暴力性も増した。
画面に生まれる空間は奥に行ったり手前に来たり、パカパカ入れ替わるような意識があるようだけど、
以前の作品のほうが、画面が孕む空間の深みはあった。あそこから空間の質を変えようと悶々としているような印象。

シュールレアリスムの自動表記の如く絵をスタートさせて空間を作っていくって言ってたな。
そういや抽象表現主義も自動表記からの流れを汲んでいるし、笠見作品の説明によく引き合いに出されているけど、
こんなに痛そうな抽象表現主義作品はあまりない笑。その差はおもしろい。

僕は気持ち悪いイヤーな感じのただの主観的な自己表現はとてもキライだけど、
笠見君のグロさは、絵画そのものの問題と本人の生理的性質がうまくブレンドされて、
このバランスの取り方に感心する。自分ではドロッとした表現できないし。。

ただ、あの表現をするにしては、サイズが100号はちと小さい気がした。
僕も人の事言えんけど、、、
学校卒業してからは、アトリエ問題や保管場所問題150号以上くらいの巨大サイズ作品を作るハードルが上がる。
実際周りの制作続けてる絵描きさんたちのタテヨコ共に2メートル級の新作はなかなか見ないので、
みんな問題に抱えてる部分だと思う。


あっちさんのここ数年の作品は、「あっちさんが見た世界の風景」が絵画として変換されている。
もっと前の作品は、部屋や花、意味を暗示させるモチーフと人を合わせたような、イメージ自体が作られた世界観だった。
あの頃の作品と今の作品には、変わらないジットリした空気を感じるけれど、あの別世界な感じが今は現実と合体してるみたいだ。
あっち・さんの「あっち」は、あっちの世界のあっち、かも!?(意味不明)

僕には世界があんな風には見えないのだけれど、小林作品を見てると、
描かれた風景を追体験してみて、
こんな風に現実を見てるのか!?こんな世界が見たいっていう願望ではなく、見てるのか。。
どこで見てるんだ?網膜?脳?五感?…ここはどこ!?と
こっちが次元の違う場所に立たされてるような気分になってくる。
少なくともあっちさんが描く世界の空の色は、青や水色とは思えない。
空の色が違う、同じで違う世界が二つ重なって同居してるような。

この人、映画「ゴーストワールド」のイーニドのように、だれにもわからない異世界に行っちゃう(行っちゃってる)んじゃないか??
でもこの麻キャンバスそのものに向かってベタベタ絵具を塗ってるのはあっちさん本人で間違いないから、大丈夫だ!!
と感じます。

ちなみにだいぶ昔に僕の中にあるボキャブラリーでなんとかヒネリ出した、少しだけ近いと思われるだろう感覚は、
スーパーファミコンソフトのゼルダの伝説神々のトライフォースの世界観だった笑
表と裏の世界があって、鏡のアイテムを使うとマップが微妙に違って変な敵がいて不思議な裏の世界に切り替わる。
そういう、感じ。
あの鏡のアイテムが、こっちとあっちの世界の境界線で入り口出口だ。
主人公のリンクは鏡アイテムを使ってガンガン世界を行き来する。

あの鏡のアイテムのような、「絵画」。
この「絵画」というところがニクらしさであって救い。
絵画だから鑑賞者は世界を行き来出来ないし。

あっちさんの修論テーマが寺山修司だったので、
後になってから、「田園に死す」を鑑賞してなるほどぉ、と思ったことを思い出した。

また、学生時代に、鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」を教えてもらったことも思い出した。
こういうヤバい世界観にどっぷり浸かってるあっちさんはやっぱり確実に変態だと思った。笑
ずいぶん前なので内容もかなり曖昧にしか覚えていないが、とにかく危険なニオイが漂い、
対比されてる夢現実正常狂気生死世界を行ったり来たり、現実感が揺らぐような不思議な映画だった。

映画に比べると絵画は、描かれた世界、イメージ自体への没入観は弱いと思う。
なぜなら例えばそれは奥に入り込む空間の錯覚と同時に、
光を跳ね返す表面の物質感が強いからじゃないか。それに、時間の流れ方も違う。
さらに物質感の中に、画家がこのキャンバスの前に立ち、この距離で絵具を置いたという
絵画そのもののリアリティが含まれる。
近作であっちさんは、絵具のはじきのテクニックを取り入れたり、色数を増やしたり、タッチの残し方も塗り残しも大胆になってきている。
マテリアルは、鑑賞者の視点を絵画の表面に留めるし、マテリアルが作り出すイメージは、絵画空間に目を引き込む。
このバランスの取り方に凄みを感じ、不安も安心も貰えるんだ。

覗き見風な前景レイヤー構図の作り方は、あっちの世界に没入できないような仕掛けのようにも思える。入り口までしか、鑑賞者は入れない。
で、そのうち今度は前景と後景が、絵画的に混ざり合ってしまい、別の空間の複雑さを感じてくる。
あっちの世界(つーか描かれている絵画世界と言うべきか)の空間の深度と絵画空間の関係など、その辺もどう考えているのか気になる。

んで、500m美術館で新作を見る事ができたのだけど、地下鉄車内モチーフのほうは、近作の発展系というような画風だった。
もう一つの方が、少し違う雰囲気で、目に入るような場所に存在してるのが青白く発光した人だった。
この要素で、近作のような現実感から、ファンタジー(?)というかイメージの方に世界が少し離れたのかな?
その辺聞いとけばよかった。


そんなあっちお姉さんは今年ご結婚された。おめでとうございます!
僕らはなんとかお祝いのキモチを提示したいと、先日もっさいオトコ2人で大丸デパートをウロウロして
お祝いを探したのだった。
そんなわけで今回はただの強引企画ではなくお祝いを渡すというミッションもあり、
ようやくちょっぴり溜まりに溜まった敬意を形にできたが、逆にケーキ奢ってもらっちゃった笑

結局また甘えてばかりで膨大な借りをなかなか返せない!!
この際、借りだらけでももういいか、来年はこの強引企画回数を多めに…?

というわけでお二方、お前は間違ってるなどの訂正やプライバシーの侵害に関わった場合はご報告ください。

500m美術館、会期終了致しました。鑑賞して頂いた皆様、ありがとうございました!!

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僕もちょこちょこ様子を見に行っていたけれど、思った以上に沢山の人が立ち止まって鑑賞してくれていました。
作品を展示する場所としては決して良いとは言えないけれど、
これをきっかけに少しでも芸術表現に興味を持ってくれる人達がいるかもしれない。

芸術表現にとってツラいのは、多くの人に「わからん」「ただの趣味」「きもちわるい」「世の中に不必要」などと思われる事です。
確かに、一見そう思われてしまいそうな作品というのも中にはありますし、実際どうしよもなくヒドい作品というモノもあります。
人に不快な思いしか残さないアーティストまがいさんもどこかにはいます。
でもやっぱり、ちゃんとした芸術作品で体験できる価値というモノは、間違いなくあります。
それは、例えば世界を救ったり、多くの人の心を動かす偉大なメッセージではないかもしれない。
ただ、ひとりひとりの目や脳みそや心臓や内臓に訴える、ドスンと得体のしれない、響きみたいなものなのかも。

今回の500m美術館、自分の作品も含めてどこまでその価値を創造できたかわかりませんが、
何か不思議な体験感覚が心に残ってくれた人がいたらいいなあ。

そういえばしばらくDVDレンタルで映画を見る行為から遠ざかっていた。一度油断すると、2時間じっとTV画面の前に構えると思うと、腰が重くなる。
そして一旦鑑賞し始めると、夢中になってしまう。ということで、2本鑑賞してみた。

「マイマイ新子と千年の魔法」
 メディア芸術祭で賞を取ったとの事で、ミーハー心満載でみてみる。、時間軸をドッキングさせたり、現実と空想をドッキングさせたりして同列に進行していく構成がとてもおもしろかった。00'年代的構成とでも言うのか。世紀の発見という小説や、アースダイバー(読んでないけどなんとなく)、インセプションまでいろいろ連想。
性格のいい人たちがメインキャラクターとして登場しつつ、お話の枠の境界線にチラチラ危険な人や要素が見え隠れして、死もポンポン話に絡んで来て、子供時代の世界の見え方にとてもリアリティがあったのが印象的。

「愛のむきだし」
おもしろかったけど、4時間はさすがにちょっと長過ぎてかなり疲れた!
前回記事でも紹介したattaパーティの問題児、中川君に「満島ひかりの演技がすごいから見ろ!!」
と前々から言われていたのだけれど、確かにハンパなかった!程よいエロ具合に加えすさまじい眼力だ。この演技を見るだけでも価値ありかも。
イカれた設定の人たちばかりがメインキャラクターとして登場し、ゆらゆら帝国の曲がとてもぴったりだった。

そしてうわあ久々にもっといろいろ見たい!!という欲が溢れて来て、大通にできたツタヤに駆け込み物色してたら見るべき映画が沢山あってゲッソリ。消化しきれん量だ。とりあえず、「トロン:レガシー」の予習のために「トロン」だけ借りた。

上海にギャラリーを開いた方が、僕の作品を見て話がしたいとのことでわざわざ来札していただいた。
ちょうど500m美術館で作品展示していたので、作品の前でいろいろ話した後、CAI02へ。
するとポーランドのレジデンスに行くキッカケをくれた隠地さんという東京の作家さんもそこに。
上海のギャラリー事情や環境など話が盛り上がった。

ギャラリーの方は、僕の作品を上海で発表する企画を考えているとのこと。
それはまた突然な展開で、頭が整理できなくなってしまった。
非常にありがたいし刺激的な話だけれど、作品も溜まっていないし、すでに来年の個展2つが控えているし、まだ上海を見に行ったこともなく、
いろいろ検討することに。

その後、後輩(つーか元生徒)がDMをメッセージ付きで送ってくれたので、出身校の研究室展「油展」のオープニングパーティーへ。
うーむ。学生展とはいえ、ビリビリくる作品はまだほとんど無し。ヘタでもいいから絵画に狂ってほしいなあ…。
毎年この展覧会やってるけど、年々また古くささが戻って来ている気がする。
なぜ古くさいのか!?

まず、モチーフイメージをコラージュして作り、なんとなくシュールっぽい具象画という傾向。
それは例えば、なんとなーく人物がメインでいて、何か意味深風なモノを持っている場合もあれば、横に何か説明的なモノや生き物がいる場合もある。
で、なんとなーくその人物のキモチを表現した風な背景や、ここはどこ?的な背景が用意される。

それに、割と現実的な光景を題材にして、ゴリゴリとマチエールやちらつく色彩を多用しながら描く傾向。
使われているマチエールや色彩が、そのイメージに必要不可欠な要素なのか。

それに、本当にそれでいいのか!?と思うような側面や額。

このような表現のまま進歩しないなら、油彩研究室生として油彩を研究したことにはならないだろう。
だって、そういう絵を描くのは結構簡単だもの。
イメージの材料を用意できれば、あとの悩み所は人のカタチが狂うとか、色が変だとかの予備校デッサンの問題点とさほど変わらない。
絵画って、空間にしても構図にしても支持体にしても絵具にしても、もっと複雑で掘下げ甲斐のあるとこだらけで、
そこに気付こうとトライしてる作品はとても少なかった。残念。
先輩だから生意気に言ってみた。

その後、atta2.5周年パーティへ。
attaは、武田さん樫見さん大島さんの共同アトリエで、度々パーティが開かれる。
こういう企画をメンドクサがらずに、しかも先輩達自らが料理を振る舞ったり、毎回頭があがらない。
生活そのものが面倒な僕から見れば信じられない奇跡の行動だ。

芸術に狂った良い意味でヘンな人が集まるのでとても楽しい。
バカ話から真剣話まで盛り沢山だ。
なつかしいメンツが揃い、
学生時代に深夜アトリエで皆で飲んだくれてた頃と変わらない空気だった。

今回は高校も大学も一緒だった、中川君が現れた。
彼は度々ここのパーティに参加しては、酒乱で奇声を上げながら自分の人生観の悶々っぷりを嘆くタイヘンな野獣だ。

そんな彼は高校時代から異常に絵が上手く、上手いだけでなくセンスのある線で僕らをいつも驚かせた。
映画、漫画、アニメ、絵画までかなりの知識を持ち、オススメされた作品はほぼ間違いなく面白い。
で、プライドは高いのに自信は無いというハタから見れば意味不明っぷり。
んで、今は某ハイレベルアニメーション作品制作などの右腕として無くてはならない特異な存在として君臨している隠れスゴい人。
酔うたびに怪我してるし、皆にウザがられるも、なんだかんだ愛されているのは人柄やユーモアやセンスゆえ。

昔からなぜか僕にはひときわキビシく毒舌なんだけど笑、いつでも彼の目は信じられるので、なんとか追いつきたい!!と必死だった。
でも今も結局絵の上手さやセンスは追いつけないままだ。これからも追いつける見込みはなさそうだ。
追いつけないまま、なぜか絵画の虜になったのは僕で、
彼は絵画は選ばず、でも自分の高い能力を使ってアニメーションの仕事でなんだかんだ生きている。

こういう自分より明らかに絵のセンスがハンパ無い人がいる事をわかっていながら、絵画をやっているコンプレックス。
アニメーターに必要な絵のセンスと、画家に必要な絵のセンスは、必ずしも一致するものではない。
と思いながら絵具を練り練りするんだ。

帰宅したのは朝の4時半。

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