やまもとのグレーゾーン

札幌の絵描き山本雄基のきまぐれ雑感と日常。

2011年02月

 余裕の無い制作漬けの毎日になっていて、はかどっている割には遅れ続けている。間に合うのか…。と言いながらついに現実逃避で久々にブログ更新!!!

冬にたくさん制作すると、アトリエにいる時間が増えて暖房費はかさむ、絵だけじゃ食えていないので金稼ぎしてるけど、そちらは減らさないと制作が出来ないので収入は減る、という悪循環が起きてタイヘン困っているが仕方が無い。

 眠くて筆が動かない時は、オシャレでカッコ良い風な音楽で気取るのは止めて、チャゲアスやラルクアンシエルをかけて熱唱しながら制作して目を覚ますという荒技も使い始めている。

 ここ数日を振り返ろうとしても、いまいちボンヤリしてしまって思い出すのに時間がかかる。ブログに残さないと過去が消えて行く笑

 昨日の事は覚えている。スノースケープモエレというアートイベントを見に行った。
http://www.sapporo-park.or.jp/moere/ssm/2011/

 ようやくハンフォンさんの作品を鑑賞できた。鏡を使った作品。

moere1


ゴミを上手い色彩バランスで配置して鏡の反射で雪の結晶に見立てるような作品。冬にモエレでやるということをきちんと作品の要素に入れる器用さとわかりやすさ、造形センスが感じられた。また、反射ガラスがやたら質が高く、作品の完成度にも一役かっていた。ちょうどハンフォンさんに遭遇できたので、あのガラスはどうしたの?とカタコトで聞くと、「スポンサーがここのガラスのピラミッドの会社さんで提供してくれたんだ」と(たぶん)話してくれた。なるほどー。

小さいサイズの同シリーズもあり、そちらはゴミではなくコラージュ。このコラージュ、チラホラとエログッズが散りばめられててウケた。きっと誰かが豊富にエロネタを教えたんだろう。オナホールとか電マとかの画像(こういう単語を書くとアクセス数伸びるかな笑)、そこに連結された魚の切り身などの画像を使い、全体では雪の結晶の形というなんともおかしい作品。

村山さんの作品は、山のドローイング良かった。でも、雪に埋まった冬のモエレで、草で色付けするというのはいささか無理があるような気がしないでもないという。

屋外の作品はちょっとよくわかんなかった。
あと、最近モチーフが山っていうの、流行ってるんでしょうか?

moere2

モエレ山のソリ滑りがめちゃ楽しそうだったな。


駆け足で今度は六花亭福住店へ展示の打ち合わせへ。
この空間、とっても魅力的なので、何度か偵察に行くうちに展示プランにも欲が出て来た。

本来作品展示用の空間ではないので、いろいろと制約や問題がある。なんとか照明の追加と展示位置の相談をする。
無理を言って検討してもらってるけれど、階段部分の高い位置に大きな絵を架けるため、自分で展示のための足場を作る必要がでてきた。これはキツい。
キツいけど、このプランがうまく決まれば展示の質は倍良くなるはず。

あと一ヶ月ちょい、Nintendo 3DSを買うのも我慢して制作します。あ、こないだ札幌駅でデモ機見たんだった!あの没入感はヤバい。欲しいー個展が成功したらご褒美に買うか。

ブログ更新頻度も減るだろうと、こっそりブログの横にツイッターのタイムラインを表示してみている。ろくな事つぶやいてないけど笑

次の更新は、次の現実逃避時期でしょう。

 円山のCAIにて第一回芸術勉強会なるものをスタートさせたキーボー君。twitterで参加者を集めているとのことで僕もどんなものになるのか興味があって参加する事に。

僕は去年、札幌の20代作家の中で「絵画絵画うるさいオッサン」というポジションを確立させるため、いろんなところで絵画の話を持ち出していたのだけれど、思った以上に、同世代近辺で絵画の話が出来る人がいなかった。だから勉強会ということなら、知ってる絵画ネタなら話します!その代わり他の事を教えて!間違ってる知識も補正して!というスタン スで行こうと。

どんなプランなのかもまだ手探りとのことで、一回目は今後どうするかなどのブレインストーミング的展開からスタート。参加者は若い人が多く、美術作家とし て作品つくってる人から、作家じゃないけど興味があって参加したという人までさまざま。以外と作家が少なかった。ガッツリ作品作ってる人とかガッツリ作品観まくってる人とガッツリ美術オタクになりたい人の激論場にどんどんなっていって欲しいな〜と思った。

序盤のブレストを聞く限り、やっぱり「美術」自体がなんなのかという根本的な部分が宙ぶらりんなので、なんとなく話題が浮遊してしまう印象。
途中で、これは観るべし!という作品を挙げていけばいいのでは?という話題になったので、それならば!と思わず衝動的に名乗りをあげて、そっからなぜか一人20世紀美術史オサライモードのギアが入ったw

美術がどんなもんなのかなんとなく解るには手っ取り早い方法として20世紀の美術の流れを理解してれば話は早い。
マネくらいからの絵画の流れから始めてみると、つい芋づる式にあれもこれも話したくなる。
便利なもんでこの作品ググってください!と壁にプロジェクションされたブラウザ画面で簡単に表面的なイメージならば共有できる。これはすばらしい。

僕も教科書的な基礎とニューヨークの美術館体験くらいの知識しかないのだけれど、体験脳内データのフル活用で3時間喋り続けた。
それでも、大好きなマティスやトゥオンブリなどの話は長くなるので抑え気味にして後から反省。戦後アメリカ絵画の話でマティスを抑えてどうする!!
今後、小出しにしていこう…
絵画史から現代美術に話をつなげようと後半は若干無理矢理に詰め込んだけど、なかなか難しいなあフルクサスあたりもっと押さえなきゃ整理が出来ん。

そんな感じで、こんなに話すならもっと下準備しておくべきだったとがっかりしながら意見をもらうと、やっぱり「美術には文脈が必要なのか。好きだと思う作品を事前意識無しで感動する体験こそアートなのではないか。」みたいな話もでてくる。

なるほど、でもこれは「美術」というか「ア〜ト」(ア〜ト、の方がマガイモノっぽい)の曖昧さが作り出す幻想ではないか。
文脈無しで話が進んでは「美術」の定義が融解していく、と思う。
子供の絵でも感動はできるし、人が描いたという事実もあるのでそのビジュアルには確かに感動できる要素がある。
でもそれが「美術」で感動したことにはならない。ただの「絵」に感動したんだ。

だから、例えばその辺で絵具をぶちまけてやりたいことやってても「芸術作品」にはならないし、変なイメージを組み合わせただけの油彩も「芸術作品」にはならない。
自己表現はやりきってる風で、わけわからん作品って「ア〜ト」っぽいので、多くの人はそれもアートで美術だと思っている。結果、「アート」はよくわからん。に繋がる。しかも「ア〜ト」な作品は世の中に溢れてるので、またますますわけわからんくなるんだ。

ただとりあえず、文脈って美術の世界だけにあるものではない。文脈って何かジャンルがあれば必ず発生するものだ。
例えばこないだ年始に大丸デパートでやってた赤塚不二夫展を観たのだけれど、マンガの文脈の中でフォーマットを拡張させていて刺激がびんびんだった。かつ、その精巧な描写や構成の質にも驚かされた。それは美術の文脈の進化の過程を見る感動や、モノの完成度を感じる感動と、さほど変わらない。

美術の文脈の中には、もちろんちゃんと言葉になってる歴史的な流れもあるけど、
端さんも言ってた「脳内コード」という説明しづらい要素も文脈に含まれる。
脳内コードって、絵具の塗られ具合とか、シミ汚れ、構成、空間、色、形、それらにも高いレベルの物があって、
それを体感して最初はよくわからんけど頭の中に印象がシミついて熟成されて、いつの間にか忘れられなくなるような、魔法のような力だ。
これは美術にしかないものだ。

それに美術作品だけが持つと美術作品らしさいうのは、独特の「結晶」な感じだ。
帰宅してから熱が冷めやらずkockaのボスと話していたけど、美術作品は、他のメディアに比べてとにかく情報が凝縮されているという話。
万物の事柄に直接リンクしてるようなチカラもあるし、そこに技の要素も絡むし、作品の多くの要素を受信するには文脈理解も必要不可欠だろうと。

確かにそうで、一度みた芸術作品を数年後にまた鑑賞したら、一度目の数倍の破壊力で感動させられた経験もある。それは自分の美術知識が増えた事で、見れる要素が増えたからだ。そして、その作品の無限の懐の深さに愕然とし、ただひれ伏すんだ笑
名作は、何度見ても新しい発見があり、何時間体験しても情報が溢れてくるんだ。
他の何にも変えられない刺激だ。

そんな第一回芸術勉強会あとがきでした
キーボー君お疲れさまでした。
第二回以降はどうなるのか!?
次は3月4日のようです。


これはたまりませんなあ 思わず数時間夢中になってしまった
http://www.googleartproject.com/

テートブリテンのクリス・オフィリの作品は拡大し甲斐があるな。
ナショナルギャラリーのホルバイン『大使たち』もやっぱり仰天。
レンブラントの『夜警』なんかは、中型の肖像画とくらべると結構力みを抜いてる部分もあんのね。
ああーこのあたりのヨーロッパにある本物が見たい見たい見たい。
MOMAもメトロポリタンも懐かしいなあ 見れる部屋増やして欲しいなあ

CAI02のトークイベント、結局仕事のおかげでほとんど間に合わなくてハンフォンさんの作品見れず…。ううむモエレまでおあずけだ。
でも最後のハンフォンさんの奥様(上海でキュレーターをやっているのだって)のトークには間に合って、
上海のアート事情を少しだけ見る事ができた。表現がストレートな作品が多かった印象。

ところでブログをちゃんと書いてみようと決めてから1年すぎてた。続くもんだなー。
以前に1月はキモチの区切りが中途半端だとか言ったけど、
どうせ春になったらなったで特に目標なども立てずに虫に追いつめられる毎日になるのは目に見えているのだから、ここいらで今年の目標でも記しておこう。
1年くらい前のブログネタに、これから書こうとしてたことがすでに書かれてあったりしてあまり進歩してないのでは!?と不安になったので。

・3つの個展を成功させること、それに伴いさらに次ステップのきっかけを作る
・コンペをまたねらってみる
・ブログをそれなりに続ける

うーむ、去年とあまり変わらない。去年からの流れで攻めモードの2年目にしたい。

しかし、2月以降も札幌界隈でいろいろ盛り上がりそうな話が満載なムードだけど、制作が途方も無く遅れに遅れており、そろそろどこにでも顔を出しては八方美人するのを自粛して飲み会も断って引きこもる率を上げていかないとどうにもならんぞ。ジレンマどころだ。行動の優先順位をシビアに考えなければすぐに時間に潰されてしまうよ。

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