やまもとのグレーゾーン

札幌の絵描き山本雄基のきまぐれ雑感と日常。

2011年07月

東方君という後輩で作家やってる男が帰って来たので、絵描き3人衆で迎えた。
結婚式の帰りらしく、すでにかなり酔っており、
店を出た直後に彼はそこでリバース、そこは札幌テレビ塔の地下の屋内だったので、
ガードマンに哀れみの目で見られながら絵描き3人で処理をするハメになった笑

僕らは一体なぜこんな札幌の中心部で迎え入れた旧友のリバース処理をしているのだろう。
リバース処理なんて大学の時以来だ。元気な人だ!

まあ、セントラルの展示のいい意見を聞けたのでイーブンということにしておこう!!

東方君はツイッターでもよくつぶやく1人@pigashikataだけど、
会ってみると久しぶりな感じは全くしないもののこういう人だったと実感する。
へんなの。
リアリティの差は、画集で絵をみるのと、実物みたときのギャップのようだ。

札幌はこの日花火大会。去年まで一夏に何回か花火があったけど、今年は一回だけ。
人混みはツラいのでパス。

花火より、いち早くトランスフォーマーをみたい!花火に大勢がうっとりしてる間にレイトショーでIMAX3Dでトランスフォーマーだ!

と意気込んでみるも、IMAX料金は変わらず2200円。しかも花火は思ったより早く終わっており、浴衣姿の女の子を連れたカップル多数。しまった。
でも大丈夫、トランスフォーマーの観客には浴衣の女の子はほとんどいなかった。激混み回避。
オッサンとかライダーはたくさんいた。男子映画。

さて内容は、2200円の元はがっちり取れた!
ラスト40分のゴリゴリ押しの3D映像のキモチよさ、物が宙に浮いてる感がハンパ無い。マシンとかミサイルとかムササビ人間とか。
画面の密度が高すぎるまま時間が過ぎて行くので何が起こってるか全然よくわからんところもすばらしい。

つーか明らかにお話の流れを放棄しているシーンとかたくさんあった。辻褄が合わないとかそういうレベルでない。
つながりが全くない展開とかがでてきて驚いた。
ここまでのCGだと一度作ったシーンの修正ができないから、話は放棄します!というノリなのかなあと推測。
ヒロインがかわいくないところはキビシい笑 なんか急遽裏事情でキャストが変わったようだ。

しかし、こう物事を考えさせるような内容ではないただのエンターテイメント映画にしても、
最新テクノロジーでこれだけの強度を持たせられる視覚表現を見せつけられたら笑うしかない。

そして、ハッキリ自覚したが、僕は3Dがかなり好きらしい笑
最初のシーンでも思わず前のめりになってしまった。
札幌のいいところのひとつは、IMAXシアターがあること、だ。

7月28日 

任天堂が3DSの値下げ1万円を発表した。びっくり。
ここまでやるてことは任天堂的に3DSはかなり手応えのあるハードなんだと思う。
持ってる身としてもそう感 じるので売れて欲しいなー。
WiiやDSでやろうとしてた通信関連がここにきてハマってる感じがする。
すれ違い通信とか、いつの間にか通信、eショップなどを体験してみると、
今までよりなんとなく、すんなり入ってくるんだよな。
また沢山の人が持ってればそれが面白さに直結するようなハードなので、
なんとしても持って欲しいという意気込みが グサッと伝わる決断にズキュン!
どうぶつの森とか明らかにすれ違い通信でかなり面白くなるだろうし。
3Dが目痛いとか不要とか、そんな風評で失敗ハードだと思われてるなら勿体なさすぎる 。
3D機能で見ても、パイロットウィングスの空を飛んでるあのキモチよさは他のハードで味わったことがない。
15000円なら買いでしょう!そして25000円で買った人に対する対応も僕は納得。まーソフト選べたらもっといいのに。

夜には、メインテーマがサブカルの次回プレビエンナーレについてのボロトーク。
うーむ。実際、よく、わからん…とか言ってはいけない気もするが、
アートのことはやらんと断言しているのもあり、どうも熱中どころを自分に落とし込 めない。
サブカルっていっても僕のサブカル観はイトイさん周辺とかゲーム(任天堂)だしなあ。
でも、おもしろいことやって欲しいとか勝手な事考えてみたり。。イズイ。
オタク愛をどうちゃんと扱うかっていうような話の部分は納得できる。

レイハラカミが急逝のニュースにもびっくり。。
ハラカミレイって本名だったのにもびっくり。
この曲好きだが悲しくなった。細野さんのカバーなんだ。

今度は北広島へ「かげ展」を見に行った。
特筆すべきは武田さんが大きい作品を4点も出品していた。ちょっと前に大きい絵描かなきゃな〜なんて話してたことちゃんと実行してる。
JRのART BOXでも高密度な展示をしているので、同時展開は制作がかなりハードだったと想像できる。キビシくやってるなあ。
ART BOXの作品より個人的にはこちらのほうが好みだった。
しかし、こう連続して展示を見に行くのも、けっこうタイヘンだ。
見に行くたびにこうやって記すのもタイヘンだ。
どちらも絞るかな。。。

セントラルの実演制作を終え(詳細は別エントリで)、そのままコンチネンタルギャラリーのPLUS 1展へ。
絵画から派生したインスタレーションを展開しているグループで、加えて彫刻の作家さんが藤本さんと川上さんとダムダンライさん。
僕も数年前に一度ゲストで参加させて頂いたのだけど、より平面的な作品への移行期だったのでちょっと毛色が違ってしまった。

絵画から派生したインスタレーション。この「PLUS1」や、今度参加する「絵画の場合」展の作家さんには
同傾向の作家さんが多い。僕はその点にささやかな疑問を持っていて、
札幌のだいたい同じ世代の人達が突出的に、
壁から出るような絵画作品を発表しているってどーゆーことかなと。
それはフランクステラの影響が元になっているのだろうと想像できるけれど、
それぞれが、どのような絵画的問題から同一平面の画面から飛びだす必要性があったのか、
ちょっと見えない部分がある。

絵画の場合展では議論篇も同時進行するので、その辺はしつこく突っ込んでいきたい。
また今回は、彫刻作家さん3人も、壁に関わってる展示をやっていて、
壁と空間をまたぐような作品をメインで集めたグループ展となっていた。
そこに特化した展覧会、うーむ。

会場でやまゆう師匠に会い、最近見た展覧会などの感想を共有。
その後CAI02上遠野さんの個展へ。ギャラリートークの日でお客さんだらけ。
作品は、自分で携帯している小型の社をいろんな背景をバックにして設置して写真を撮ったという内容。
社の周りに足跡が無く、どうやって置いたのか不思議だったが、トーク内でネタばらししてくれた。
意外に近い距離だったんだな。写真の距離感の無さがうまく利用されていたんだ。

JRタワーのプラニスホールで織姫たちのスイーツアート展鑑賞。
女性作家同士のオーソドックスなタイプのグループ展。
公募展のマニアックな人から、
いろんなグループ展でよく見かける人までバリエーションは豊富。
水戸さんや小林さんの絵画を見てると、頭のトんでる織姫たちな感じ笑

しかし、全体の感想としてはうーむもっと作品自体も作家同士も、シビアな感じが見たかったなあ。
熊澤さんと樫見さんの展示が少しカブッてたので、その辺のバトル感も見たかったし、
与えられた空間にモノを詰めすぎて見づらい作品もあった。
スイーツというテーマを意識しすぎてる作品も、なんとも言えぬキモチに。
一度どっかで見た事ある旧作が多かったのも残念。

絵画では、久野さんの展示がゆったり安定感。
水戸さんの絵画はイメージはあの中では群を抜いてインパクト大で新鮮に映ったけど、
絵画として見ると構図とか塗りとかが気になる。
小林さんは、大きな作品はとても良かった。
特に新作の自分の境界が風景と融合してる作品は展示全体の中で一番良かったのに、
間にあった小さな作品に大きな疑問。
など、モヤが残った。グループ展て難しいよなあ。

『山本雄基の絵画制作の秘密 アクリル絵具の応用』

yycentral

2011年7月18日(月)〜7月31日(日)
大丸藤井セントラル3階画材コーナー イベントスペース
札幌市中央区南1西3
10時〜19時


7月23日(土)
<制作実演>
13時〜17時 

<制作過程説明会>
14時〜15時/16時〜17時


というわけで、いつも画材関係でお世話になっているセントラルさんの企画で、
「絵画制作の秘密」と題しまして、公開制作ってのをやってみることになりました。

どういう風に透明層とか丸とか作ってるのか一挙公開!!
画材売り場で地味に制作をします。

技法をバラしても良いのか!?と、
まあ、実際そんなに複雑な事はやっていない、ただ非常に面倒なだけなので、
問題はありません。

一番重要なのは、お客さんに「アクリルえのぐってのは、なかなかおもしれえもんじゃねえか!絵を描くってのも、なかなかおもしれえもんじゃねえか!!」て思ってもらうことです。

公開制作は23日のみですが、それ以外の会期中は、小さいですが新作4点を展示しております。
上の画像は、新作の一部です。

そしてなんと、今回は壁が無いのです。
今までさんざん「壁にあってこその絵画、ぴったり壁にくっついてる佇まいが乙!!」
とかヌカしてたお前が、壁無しとはどーゆーこっちゃ!!
と思われたりして…。

でも無いんだったら、別の可能性を試してみるのも面白いじゃないか、
と思考転換。たまたま寄ったお向かいのアップルストアのiPadの展示の仕方にグッと来たので、
参考にさせていただくことにしました笑

テーブルの上に少し浮かせる感じで置いてみようと考えています。


ぜひぜひお越し下さいませ!


今年の10月の大黒屋さんの個展でリーフレットを作成していただけるのだけど、
その写真撮影のためにわざわざ室井社長とカメラマンの鈴木さんが来札された。
撮影はボロボロアトリエでの制作風景、モエレ沼、街道のポプラ並木周辺と行われる。
どんな風にできあがるのか。恥ずかしいが楽しみ。菅木志雄さんの批評文も掲載される。

夜にはすすきの炉端焼きで打ち上げ。
関東の人と久しぶりに話してみて強く実感するのは、震災に対する意識がぜんぜん違う事。
北海道にいると、呑気なのが普通。ううむ。
美術の世界のシビアな話など盛り上がっていると、隣の席から関西弁の盛り上がりが。
こちらも酔っぱらい、「ようこそ!どちらからおこしなんすか?」などと話しかけてみたら、
ゴルフと観光で大阪からやってきたとのこと。10人くらいの団体さんで上は80代のおじいちゃんまで。ゴルフ!?

北海道、関東、関西のコラボ炉端で盛り上がったあと、店を変えて塩ラーメンで締める。
そのお店には、芸能人のサインが沢山貼ってあった。
その中に加藤鷹のサインもあり、「塩(潮)最高!」と書いてあった。
社長に加藤鷹がどういう人なのかを説明をしたら、感心された笑

茶廊法邑の杉山留美子さんの個展、繊細な色のグラデーション。ゆったり空間を使っており良い展示。
札幌にもこのようにぶれない質の絵画を描く人がいるんだよなー。
数年前の近代美術館の展示もおもしろかった。
絵画というか、光を感じる装置のような切り詰め方。
精神性を込めたフラットなステイニング、抽象表現主義的。

茶廊法邑の展示空間は、あまりクセの無いカッコ良いホワイトキューブだ。
実はこういう空間は札幌にあまりない。貸しか企画か、ギャラリーとして内容の精査に関してはようわからんとこがあるけど、綺麗な展示を目的とするなら、良い空間だと思う。

小樽の素朴派展見て来た。ルソーの小っさい風景画良かった、
ルソーの良さに気付き始めたのは比較的最近になってから。
そういえば笠見君とMOMAに行った時、彼は「眠れるジプシー女」に感激していたが、
僕はその時「アビニョンの娘たち」に夢中でルソーは結構サラ見で終わってしまった。
今は、僕がジプシーを見たいと言っており、
笠見君はアビニョンもっと見ておけば良かったとか言ってるので、おかしな話だ。

それはさておき、今展では思いがけずバスキアとボテロの大きめの作品を拝めた。
バスキアはそんなに好きなわけではないけれど、なぜか今展では作品を作った作家の年齢がキャプションに載っていて、
24歳とか書かれててそこに感動した。
ボテロの本物初めて見たが、あの大きさであの巨体は不気味だ。顔の表情なども、いい具合に気持ち悪りい。
常設の一原有徳さんの展示も面白かった。初期の油彩と晩年の版画が良い。

ついでにおしょろのパン屋と余市の宇宙館とニッカ工場も寄る。
宇宙館の中にあるテクノロジーがハンパなローテクのままで、何とも言えないキモチになる。
ニッカ工場はおもしろかった。ワインの試飲で酔っぱらう。グッズがナイスセンス。
こういうところにあるネクタイがおしゃれだ。あんま使わないから買わなかったが。

で、帰ってツイッタみたらトゥオンブリが亡くなったと知った、巨匠がまた一人。
83歳だったそうだ。長生きだなあ。抽象表現主義の画家は自殺が多いけれど、
次世代のトゥオンブリは長生きしてずっと描き続けた。この点はいろいろ考えるべき事実だと思う。

ラウシェンバーグの3歳年下、、の割には、古さを感じない作品。
多種多様の線、線が文字になったり、線は船になったり、花になったり、色彩面になったり、
どれをとっても、同じような詩的なオーラのある美しい作品。ただ美しいだけではなく、危うさも感じられる。
画面に定着されるイメージは、決められた矩形の中で、ある自由を獲得できてる。その点はマチスのよう。
そんな画家は滅多にいない。
どんなにトゥオンブリの作品について言葉で説明しても、言葉をスルリと交わしてしまうような強度のある絵画だ。
自分も含め、今絵を描いている人はトゥオンブリを尊敬してる人、多いよなあ。

そういえば2010年に公開されたルーブル美術館のトゥオンブリの天井画って、円の集積という…。最晩年期の作品となってしまったんだな、見たい。
この天井画はまさかご老体一人で制作したわけじゃないよなー違う人が描いてる画像もあったし。
しかし、そういう情報をどう集めりゃいいんだ。
ARTnewsとか翻訳して見るとかか。これだって一年以上前の情報なのにぜんぜん把握できてないよ。
こういう時、英語の必要性を切実に感じる。。。

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