やまもとのグレーゾーン

札幌の絵描き山本雄基のきまぐれ雑感と日常。

2012年07月

7月でかずえさんとイキョンが滞在ラストなので、
夜にみんなで近所の雰囲気の良いバーに行く。

ああ〜いろいろ助けてもらった2人がいなくなって、
いよいよまたハードな生活になるんだな〜っつって、
でもまだクアンとサムもいるし、なんとかなるかも〜
ギレルモはいっつもどっかに遊びにいってるからいないけど…!
でも9月に一ヶ月だけかずえさんは戻ってくるみたいで結構ユルい。

な気分。
なんか7月は割とひきこもっていたはずなのに思ったより制作が進んでいない。
どうも連日あれやこれやでなかなか寝付けず、
すっかり明るくなってからしか眠れなくなってしまったり。 
無駄が多いんだな。もっと締めていかなきゃ。

7月の新しいアーティスト、
コロンビアのクワンは、入って一週間くらいになるが、
ずっと彼氏のサムと住んでいる。
クワンも男なのでゲイカップルなんだけど、
すごいラブリー。2人とも穏やかで、優しいのだ。
普通にこういうのが自然体なのってなんかいいっすねえ。
G&Gを彷彿とさせる…

というわけで最近仲良くしている。
一緒にギャラリーに行ったりバーにも行った。
サムはベルギーの僕と同い年の建築家で、
とにかく親切だ。僕のプアーイングリッシュに間違いがあったら(ほとんど間違いだが…)、
こういう順番で言えばいいんだよってちゃんと教えてくれます。 

僕がパスタを茹でようとしたら、
「僕らも作ろうと思ってたから、一緒に作ってあげるよ」と 
モッツァレラチーズ入りのトマトパスタを作ってくれる。ゴウジャスだ。
(僕の作るパスタはベーコンと炒めるだけのミニマルパスタ) 

サムがこんな感じなので、
クワンはどうやら相当甘えているようだ。

今日はかずえさんがまたコンサートに参加するとのことで、
会場にサムとクワンと行く事にしたんだけど、
サムは車を持っているので、乗っけてもらう!

かずえさんが参加するコンサートは100%実験音楽で
何度か見に行っているけど、今日のは多彩で入りやすかったな。

クワンに、ペインターならこのギャラリー結構おもしろいかもよって
教えてもらったギャラリーのサイトを見ていたら、
天野喜孝の名前が…!!
4年も前にこんなフラットポップな画風で作品発表していたとは知らなかった。
表面とかどんな感じなんだろう?やや気になる。
http://www.galeriemichaeljanssen.de/yoshitaka-amano-2008 

天野喜孝と言えば、まずはFFで好きになり、
その後ラッセンと同じ怪しい売られ方を見て嫌悪感を抱いて距離を置き、
(そういえば東京でやるラッセン展って気になりますね)
でも久々にやさいのようせいのキャラデザでやっぱりけっこう良いかもと思い、
微妙な距離感で今に至る。

↓やさいのようせい


やさいのようせいはスタジオが凄いんだという指摘もあったりで、

使われ方次第でいろいろ化けるフレキシブルさを天野氏は持ってるのかな。
つーか明らかにゲンダイ絵画っぽいアプローチは、
狙って作ってる感ありで誰か助言するバックがいるんだろうか。

そして日本ではあの怪しげなバイヤーがイメージを落としているんだろか。
不思議な人だ。 

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新しい作家も揃い、
レジデンスの庭でBBQ!
連日雨のベルリンだったけど今日は天気もちょうど良くみんなでワイワイ 。
僕の英語もほんの少し1%が5%になったくらいは成長したような気がする。
ドイツ語は0%が1%弱になったくらいだが…とても覚える余裕が無い。
英語に余裕がでたらドイツ語も挑戦したいが、
高校の時に英語で留年しかけるほどだったのに…大丈夫なんだろか。

Facebookに画像をアップしたら、イキョンが数分後に駆け込んで来て、
今すぐ私の映っている部分を消して!!と言われた笑
どうやら相当写真に写るのがキライらしい。というか、
いろんなことがキライらしく、
会話してて、あの人がキラいこの文化がキライと次々に出て来るので、
アイ リアリー ヘイト!っていうフレーズは 
完璧にマスターできた。

ムヒカ大統領のスピーチってのが、
Facebookなどで回って来た。 

http://hana.bi/2012/07/mujica-speech-nihongo/

確かにとても良い事言ってる…

でもすでに、
けっこう多くの日本のひとが
ホントはうっすら気付いていたことで、

さてそう言われたところで

ボクたちはなかなか自分に厳しくなれないために、

理想に向かうための思考改善が

できませんってところが、

一番難しいところなんじゃないかと思った。

7月25日

鈴木君や志水君に教えてもらった
Raoul De Keyserの新作を
Galerie Barbara Weissで。
自転車で10分かからない近所にこんなキレイなギャラリーあったんだ。
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とても小さい作品群。ベルギーの巨匠レベルの画家で、
80歳くらい(!)とは思えないセンス。
リュックタイマンスなどに影響を与えたような存在らしい。

しかし一見数時間でスラッと描けてしまいそうな隙のある画面だが、
妙に張りつめたこの悟りな感じはなんなんだ。
支持体の在り方や壁との関係、ユルく張られた画布の中に遊び心も効いている。
長時間何度も往復してしまった。


大学の先輩の橘内さんと、
MIKIKO SATO GARELLYを日本でお手伝いしている南さんが、
ドクメンタを見にドイツ入り、
そしてベルリン観光もありということで、けんさん夫妻とみんなでお食事した。

大学時代に、私物の画集をごっそり研究室に解放してくれた先輩、
現代美術勉強したてで、MOMAのリヒターのカタログを見せてくれて興奮したものである。
キレのあるツッコミは健在だけれども、なんとなく物腰柔らかくなっていたような気がした。

ドイツに来て、北海道に風景が似ていてつまらんから電車の中で本ばっか読んでたらしい笑
やっぱり、北海道の人はそう思うんだな。
都市部は建物が全然違うけど、
郊外は山が無いくらいでかなり似てる。気候も。
そして南さんは、ベルリンこれスラムじゃんと言っていた。
確かに、国の首都でこのスラムっぽさは僕も驚いた。文化的に整備された質の高いスラム…みたいな。
この雰囲気が僕はけっこう好きなんだけど。 

痩せ過ぎだと言われ最後には夕飯をごちそうになり
…ありがとうございました!また人に甘える31歳のガイコツ。

とある方からハガキが届いた。

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僕の師匠、山本先生だ。
最新作の作品が印刷されたハガキ!かっこいい。
今回の構図はまた大胆にやってくれてるなあ、不思議な魅力がある。
しかもまさかのラッセン張りのイルカ入りだ。
オモテ面には、ぎっしりいつもの太字ボールペンでメッセージが書かれていた。
僕のブログをいち早くチェックしている数少ない方であり、
自分の大昔のベルリンの体験と僕の鑑賞記が重なったと書かれていた。
じーんと来た。
しばらくぶりの交流がハガキというのは、うれしいものだなあ。
メールとか、SNSとかで普通に情報が交換できて便利でも味気ない中、
アナログの価値が最も実感できたハガキだった。

そして、出来る限りリアルタイムでブログを更新しろという希望が…

ありがとうございました、感動しました。
更新の方はできるだけがんばります…

妹が母になったようだ。
息子を無事に生んだと連絡が来た。
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こっ、この子が僕の甥なのか…
ほんとに鼻の穴からスイカを出す痛さなのかと聞いたら、
それどころじゃなかったとの話だが、相当かわいいようだ。
婆デビューした母もどうやらデロデロのようだ。
爺デビューした父の情報は入って来ていないが笑、
おそらくデロデロだろう。
親を喜ばせるのは、妹にまかせてあるんだ。

どの時代もタイヘンだけど、
このタイヘンな時代にでも幸せになってほしいものです。
新しい母よ、モンスターペアレントになるなよ…

しかしなんでこっちがベルリンにいるタイミングでなのか…
ぬおお触りたい…。
つーか妹からすれば、
なんでオマエがこのタイミングでベルリン行くんだという話だが。
会う頃にはだいぶ成長しているんだろうなあ。 
 

7月になり、作家の入れ替え。
僕の隣のギリシャの作家がいなくなり、
その部屋は一番広い部屋なので、
早めにディレクターのイレーネに、あそこ入りたい!と交渉しておいたので、
めでたく部屋移動できることになった。
そういうアドバイスはかずえさんやイキョンがしてくれる。
日頃のコミュニケーションは、大事である。 

さてその部屋、とりあえずタバコ臭い…
そして床も壁もなんか張ってたり描かれてたりキタナいので、
(キタナい時の画像撮り忘れた…)自分で塗り直す事にした。

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床をほとんど塗り直したーってところで、
イレーネに、「これ壁用だからヤバいわね…」とがっくりされる。
そして後日、床用を買ってくるから待ってなさいと言われる。
床は使い分けが必要なのか!うう…労力が…

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その後、無事落ち着いた色に塗り終えて移動完了!
こりゃ快適になった。この描きかけの作品はホントは縦構図約220×180cmで
秋の個展のメイン作品になるもの。
この大きさもバッチリ作れるのでいい感じ。 

そしてさらにもう少し長く滞在できないか交渉中…。
できれば帰国まで。

月曜は入場無料のグッゲンハイムベルリン。
ちなみに今年いっぱいで閉館らしい。
Gabriel Orozco の個展Asterism、を見に行く。
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うわあ…こりゃやられた…!
ゴミ並べたインスタレーション。
いろんな作家がやってることだし目新しさはないのだけど、
なんか造形センスをやたら感じるぞ…

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手前のケースには、サッカー場に落ちてたゴミを並べてる作品。
なんという並べ方だ…
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メイン作品は、海辺のゴミを並べてる。
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壁には、各ゴミを撮影して類型を並べてる写真。
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またしても子連れ。しかしオシャレな服だな…

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そして隣の部屋に、対になってるかのように、
海岸にクジラの死体があってカモメに食われてる姿をただ撮りに行ってるだけの短い映像。
ただゴミを並べるだけでなくアイロニカル。 

バーゼルで小さいペインティング作品も見て、
それはそれで自分のやりたいことに似てたので凹んだが、
オロスコがここまで造形力で魅せる作家だとは知らなかった。
結構ショックを受ける。ドキュメンタリーも見て、さらに凹む。
思わず回顧展のカタログ買っちまった。
これ眺めるとやっぱ今回のはベストではないにしろ、
一貫して造形から同じことを抽出してるように思える。



そういえば、数ヶ月前の絵画の場合議論の中か何かで、
オロスコを見るべきだとオススメして来たのはライバルの笠見くんだった。

NO NUKE2012を少しだけ見る。

YMOの演奏になんだか感動。
ONGAKUをこの企画に当てたのがなんだか希望があったので。
↓映像付きは消されてしまったが。。。


表現の力の底力なのかも。
9.11テロの時の坂本さんの非戦運動にはちょっと引いてたけど
今回は音楽に動かされたのだった。


ベルリンにいても、
ネットが繋がっていれば当然日本にいる時と同じ情報が
情報としてだけ入ってくる。


そうだ官邸前のデモに人がごっそり集まっているその光景に、

これが日本なのか、と心にくるものがあった。

同時に、なんとなく怖さが拭えぬ気もした。

大飯のデモ映像、こっちはまた雰囲気が違う。

Facebookなどで回って来た、

お巡りさんに傘をさしてるとか、子供を抱えている画像。

個人的には、これちょっと怖いなという画像だった。

ただこれもトリミングされた情報に過ぎないので
行って確かめないかぎり、ホントはどんな雰囲気なのかわからない。

 

原発、

子供の頃からシムシティってゲームやってりゃアブねえなってわかってるし

僕が持ってた地図帳の原発マークはトゲトゲしてて黒くて物々しさ全開だったし、

日本一周した時も原発地域付近は異様な感じだったし、

いつか本当に爆発すんじゃないか、爆発したら怖いなと思いながら、

それ以上はぼんやりしていたってのが実感として考えられるところだ。


が、いまさら反対と思う時には同時に、

違和感を感じる部分は、気付いていないことは、

見失ってる大事な事はないんだろうか。
 

そういう自分の立ち位置のバランスを
いちいち忘れずに気をつけていたいなあと…
せめて信じられる人の発言に耳を傾けて、同意したり
疑問を持ったりしつつ。
 

そんなトロトロ半端に考えてても意味ないだろうか。

声高に、「私はこういうイズムだ!」て言えないのは、

「この時代ハッキリ自分の意思を公開主張しなきゃ人間じゃねえだろ」

という脅迫的な感じが小さくてもどこかで発生してるような気がするからだ。
 

そんなに強いひとばかりでもない。

僕含め、悶々な人達が未だに一番多いんじゃないのかなあ。

勉強する余裕ないほど働いてる人もいるだろう。 

それにどんな選択しても何らかのリスクがあるし、
わからないことが多すぎるから

感情やハンパな知識だけで確かな判断は本当はできないのだと思う。

そしてそれを肩身が狭いと思って悶々と…。
自分なんかは特に守る子供もいないわけだし。

あと、いくらなんでももともとの首相の再稼働の説明が

あまりにも説明になっていなかったのはやはり大きな問題だよなあ。

あれではいくらなんでも巨大な反感を買うだろう。

タブーがあるのか?にしても、

ほんの少しくらいでも納得できるような言い方は無いもんなのか。
だれかプロの言葉作りの人くらい雇えば良いのに… 

再稼働のほんとうの理由が見えなさすぎて、
裏があるにしろないにしろ感情の逆撫でにしかならん。 

こうやってこっそり記しておいて、
2年後、5年後、10年後もその時点での時勢と照らし合わせながら
どう思っていたかを覚えておきたいものだ。


画家は何を表現するか。
ものすごく極端な話、
例えば日本が沈没して家族友達が消えてしまっても、
もう仕方ねえよっつって、後ろめたさを感じながら亡命して、
時代の傍観者のまま あいつは責任を捨てたとか言われながら
そんな中で自分の信じた絵を描き続けるのも、
1つの選択かもしれないよなあ。
亡命のハードル、絵を描くための場所や材料確保のハードル、
生活のハードルなどがどんどん襲ってくるわけで、
何があろうと描き続ける選択を死ぬまでし続ける。
きっとその中で色んな感情が沸き出してくるだろうし、
それはそれで人間の証として強さになる。
(それでヘボい作品描いてたら意味ないが)

ずっと前にマティスを勉強してた時に知った事。
WW1時に国に兵士志願したけど、すでに45歳だったし、
あなたは絵を描いて下さいって言われて、
そこから生み出した作品は傑作が多い。1914~1918年期。
WW2の時も、「夢」などの希望が感じられる作品を作っている。
奥さんと娘がレジスタンス活動で一時捕虜になったけど、
それでも制作を続けた。
エマージェンシーでも、絵描きとして生きる姿に感動したものだ。

そこまで強い心と能力を持つ事はできるのか。


今日は2つのオープニングに。
まずは先日手塚さんに教えてもらった、
ベタニエンのギャラリーのオープニングへ。
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展示スペースでけー!

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しかし会場には人がたくさんおり、手塚さんとマイケルには再会できず。
もちろん作家のスタジオは覗く事もできないので、
また改めて。。。

その足で、新国立美術館のポールマッカーシーの新作展にも。
こないだリヒター見たとこだ。広い会場にデカい作品1つ。
しかしこれがわかりやすすぎるインパクトのビックリ系作品!すげえええ
デカい箱の中を覗くと、作業部屋が90度横になってるって作品。
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どうやってくっついてんの…?

かずえさんとギレルモと一緒に見たけれど、
ギレルモは、つまんね!って言っていた笑

帰りはまた凄い雷雨。2階建てのバスで帰る。
ギレルモに初音ミクとピクシブを教えてあげた(僕も詳しくないが…)。

安部さんが、

ベルリンに滞在しているおもしろいキュレーターさんに会うとのことで、
再び金魚のふんスピリッツで同行させて頂く事にした。
Hackescher Market駅のすぐ近くのアジア料理屋さんで待ち合わせ。
 

キュレーターの渡部さん、に加え、

渡部さんの友人でベルリンで活動してる作家の近藤さん

ベタニエンに入居してる手塚さんマイケルさん

となんだかみんなおもしろそうなメンツが揃いお食事。
ここのお店、安くてうまい!

そして渡部さん、一体脳みその中にどれほどの知識が入っているんだという
話の引き出しの多さに圧倒される。こういうタイプの人に会ったのは久しぶりだ。
体調があまり良くないとのことだったけれど、それにしても話が凄い…。
刺激的。 

帰ってから調べたら、よくtwitterで誰かからリツイートされてくる
@curatorshinyaさんだった。なるほど…!

オープンスタジオも終わり一段落。
かずえさんのNYのお友達の安部さんにもオープンスタジオを見ていただき、
聞けば、堂島ビエンナーレに出品していた安部典子さんだった! 
今年MOMAに作品が収蔵されたと聞き、
それは話を聞かなければといろいろ質問する。
非常に刺激的。
 

ドイツ視察でベルリン入りしているとのこと。
かずえさんとベルリンビエンナーレを見に行くって話を聞き、
そういえば僕も途中までしか見てなかったので、
得意の金魚のふんスピリッツで付いて行くことに。 

半分はちょっと前に見たので(5/295/8)、途中まで案内するも、
あれ、道を塞いでた壁の作品が無くなってる。
今日が最終日だからもう撤去されたのかな…?

壁は諦めて近いところから順番に回る。
英語が話せる2人が一緒なので、書いてあることとかがわかる。
なるほど…
敗戦後ポーランドから移動して来た人達が背負って来た家の荷物を
そのまま展示してたり、
アウシュビッツの土地からもってきた苗をお客さんに持って帰ってもらったり
(でもこれも最終日だったせいか、水不足で枯れたりしてたが…)、
パレスチナのパスポート用ハンコが押せたり、
キリスト像も完成してたり。 

聞けばなるほどと言った感じもするが、なにぶん要説明で
ビジュアル度外視なので、やっぱりどうも僕には響かない。

自分が見ていなかった残りの会場も、
最終日のせいか、撤去してるっぽい感じ…
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ベニヤ板に落書きみたいなのがブワッて描かれてるのをカットしてたが、
これは何だったんだろう。

うーむ、改めて全体見ても、
政治的でもモノとして美しいとか、
そういうアプローチの作品がもう少しあって欲しかったけれど、
もっと違う、大事な外側の部分があるのだろう。

僕は特に手を動かして造形っつーか
オーソドックスに絵画を作るヒトなので、
この、ほとんど「外側の部分」のみで構成されてる
作品を飲み込むのが結構タイヘンだ。
全然おもしろくないっ!って思うんだけど、
それはあくまで造形的視点で見た場合の話であるから、
美術そのものの見方の転換が必要か、必要なのか?
などと悩ましくなる。

それこそ、
こないだ見てきたバーゼルのモノで溢れているアートフェアや、
ジェフクーンズの徹底的製品作品などが片方にはあって、
その反対にこういう極端なオルタナティブなアプローチがあって、
美術って言う枠全体のバランスを取ってるかのような。
美術って流動的な性格あるしなあ、
美術という価値を固定しないための必然的アプローチみたいな…
って無理やり自分を納得させたいところだが、
そもそも政治的背景もよくわかっていない中で飲み込めるわけもなく。
能天気なヤツは少し勉強してこい!と門前払いされた気分。
日本ではこういうタイプの美術展はなかなか見られないだろう。

その後、安部さんのリクエストで、ハンブルガーバンホーフ美術館へ。
マトモに見ると3時間以上かかる巨大さだけど、
閉館1時間半前に着いちゃったので、駆け足で見る。

前回来たときは、途中でバテたり迷ったりして見落としてる展示が多かったけど、
駆け足ながら一通り見る事ができた。
やっぱりここの作品、全体通して相当クオリティ高い。
こういうのが見たいよな!
ボイスだらけゾーン、2階の黒板作品は初めて見たが
ビジュアルも、前述した外側の部分も、
うまく使うボイスはやっぱし特別な説得力ある。

1kmくらいある長ーい展示室でやってるアーティストが建築的アプローチをしている
企画展の一番奥、ヘトヘトになった所に現れるブルースナウマンの作品が
ここでもやっぱり良いんだよなあ。デカくて暗い通路が前後上下左右に交差して、
灯りが各通路に一個ずつ灯ってるというもの。
ベルリンビエンナーレ後に見たせいか、ますます良く見えた。 
それぞれの展示の会期も長いので、また来よう。

美術作家さんと展示をまわると、どういう目線で作品を見てるのかとかが
少しわかっておもしろい。

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