やまもとのグレーゾーン

札幌の絵描き山本雄基のきまぐれ雑感と日常。

2014年02月

妹の結婚式をハワイでやるってことで
強制的にハワイに行くことになった。

南国、青い空、青い海…どれも似合わないことは自分でも認めるが、
むしろこんな機会でないと行かない場所だ。

調べてみると、ホノルル美術館は良いらしい。
(ハワイまで行ってもやるこたぁ同じ)
他にもビショップ博物館やパールハーバーにあるいくつかの博物館、
トレッキングコースなどけっこう興味深いポイントたくさんある。

しかし展示直前で制作時間がヤバいため自分だけ2泊4日、
そのうち結婚式が丸一日当たるため、自由時間は飛行機が着いたその日だけ。
どれだけ回れることやら。

新千歳空港の国際線から初めて海外へ行くぜ。
国際線連絡通路の入り口にラーメン村があるのであれはズルいよね、
蟻地獄のように入っちゃう、一幻でえびしおラーメン。
えびスープも、ちょっとズルい気もするが美味い。
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国際線ロビー長谷川仁さんのパブリックアートがある。
ツアー客ばっかりなので大量の日本人と空港まで一緒、
着いてからも、入国審査もインフォもカタコト日本語だらけで
外国来たぜえええって感じは若干弱まる。
夜出発で朝着なので、時差ボケはほぼ無しだ。

しかし、着いたら雨降っとる。おれ雨男。
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通路に謎の絵画が並んどる。どことなくカッツっぽい大胆さも…

さっそく空港からまず山側にあるホノルル美術館別館にいくため、
行き方をバス乗り場の人に聞いてみるが、バスの通り道じゃないから
タクシーを使ったほうが良いという。げっ、いくらかかるんだ。
タクシー運ちゃんに言っても、正確な場所がわからんっつって
自分のGPSで道案内するハメに。カタコト英語でベラベラ喋る陽気なおっさんだ。
高速道路に乗って、途中北側の山をどんどん登っていき、
結局35ドルもかかった。

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 この別館「ホノルル美術館スポルディングハウス」は、
コレクターの邸宅を改装したリッチ系の現代美術専門美術館。
高台なので景色がとっても良くてワイキキ方面が見える。雨でなければなあ。
入館料はいつものアーティストカードで無料にしてくれた。ほほほ。
タクシー代もこれでカバーだ。

映像系の企画展をやっていたのだが、
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ブルース・コナーの作品2点が良かった。ハイセンスだ。

あとここの目玉はホックニーの舞台美術まるごと恒久設置があるところ。
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ちょっと暗いのでうまく撮れなかったのだけど、
この照明の調整も本人がやってるとのこと。
サーカス小屋のようになっていて奥に大きなハリボテのような木を中心としたセット。
全体的にかわいい…。
荒い筆跡がイイ感じ、コウモリはベルベット生地で黒い存在感。

ここ、レジデンスプロジェクトもあるらしく、
大きな庭の一角がレジデンスしてた作家の丸ごとインスタレーションになってた。
ちょっと微妙だったけど、どういうプログラムなのか気になるところ。
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鑑賞満喫し、今度は山の下まで徒歩で降りて美術館本館へ向かうことにする。
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さすが眺めの良い場所なので高級感が凄い。立派な家がたくさん。
門にシーサーみたいなのいる。
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1.5キロほど歩く。下に行くにつれて普通の民家やボロアパートなど
日常風景が増えてくる。
…今のところ、ハワイっぽい体験は美術館内でラッセンみたいなロン毛Tシャツのおやじを
見たことくらいか。

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 どこだって高速道路は便利で暴力的な存在感。
これを渡って、ホノルル美術館本館に到着。

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建物の雰囲気が独特でいい感じ。お客さんも沢山入ってる。

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古典に紛れてヴィック・ムニーズの写真があったり、

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モディリアニ、

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乳の位置が…
さすがに古典宗教画はこのレベルのが多い。

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ポートレートの部屋、ホイッスラーの隣にカッツ!

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こないだカッツが油彩描いてるだけのドキュメンタリー見たばっかなので、
制作風景思い出しながら筆跡追って見たが、やっぱり職人的絵具さばき。

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ロココな食器、

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印象派も一通り、

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 近代も充実。左はディエゴ・リベラで右はドローネー。
オレ、ドローネーやっぱ好きだわ。

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ピカソ、ブラック、レジェ、噂通り小規模ながらいい並びだ。

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右、マティスの戦時中のちょっとダークな色彩の油彩。 

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キリコ、タンギー

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 モダニズムはさすがアメリカ。
ルイスの大作、ケネス・ノーランド、ロバート・マンゴールド。
ノーランドのステイニング使った幾何学系抽象が地味に良い。

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フランケンサーラーの珍しい縦長。

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これもレア、マザウェルのめちゃ小作品。
寄ってみると、しっかり形の下描きしてるのが見えておもしろい。
もしかして売り用にわざとサービス精神で見せてるんだろうか。。。

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ガストンもいいのがドーンと。

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ラウシェンバーグ、デヴィッドスミス、ボンテクー。
う〜ん、戦後アメリカ系は普通に良作が揃ってて見応えある。

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中庭もこういうエリアがいくつかあってとてもいい空間だ。

さらに、
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 日中韓、東南アジア、インドまでのコレクションがゴッソリ並んでて
こっちも相当見応えがある。

フィリピンのがけっこう面白くて、
アジアンテイストのキリスト教イコンの彫刻が並んでて異彩放ってた。
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企画の1つで春画をやっており、
ゴッソリ春画を見た。なぜかハワイで春画を見る不思議。
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あ、アソコに紙が…
この時代も紙で拭いていたことと、
それがくっついてるところをしっかり描写してるところに勝手に感動した。


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増設された別館では、
現代美術の企画もやってたけどけっこう微妙、
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しょぼい作品群の中に、さりげなくエドルーシェの版画や、
チャップマンブラザーズが紛れてて、謎。

もちろんハワイ美術のエリアもあり、こっちもおもしろかった。
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ミニカメハメハ像、

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なにかっぽいハワイアレンジされた油彩群、
どこの地域でも同じ現象が起こるのだなあと。

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鯉のぼりのある風景画も。

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これインパクト、表現主義的なマグロ。

という感じでザッと全体像、
鑑賞には3時間近くかかった。多すぎずちょうど良いボリュームで
想像以上にいい美術館だった。

道路挟んですぐ、アートセンターもあって
大きなギャラリーでは若手の作品展やってた。
ちょっとイラストっぽい作風が多く、今っぽい。

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 向かいの公園、木が凄いよ。

バスに乗ってワイキキ方面へ。
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やっぱり木がすごい。

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 宿の近く、せっかくハワイなのでクヒオビーチに寄ってみる。
相変わらずの雨で写真に撮ってもハワイ感がでねえ。
でもまあそこそこ賑わっている。 
晴れてたって海で泳ぐ欲望はゼロなのでこれくらいが丁度よいかも。

家族と合流し夕食を食べ、
自分は安く済ませるためホステル泊。 

翌日は結婚式。
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家族の泊まる宿からみた海。天気は未だ回復せず。
結婚式の写真はわざわざこのネット上で不特定多数に晒す必要もないので割愛するが、
なかなかシュールな感じだったなあ。
ダンナさん側のご家族ともまともに長時間話したの初めてかも、
いい人達で良かった。家族が増えるって不思議な感じですね。
甥っ子と遊ぶのが楽しい。

夜はクルージングしながらディナータイム。
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 自分はデッキで景色眺めてるのが楽しかった。
貨物船かっけえっす。 

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翌日朝、ようやく少し晴れ間が見える。


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バスに乗って朝一で空港へ。
あっと言う間のハワイ滞在、けっきょく博物館系は一切みれずに
終わってしまったのでちょっと残念。

しかしワイキキのビーチ近くのエリアは日本人だらけの
ショッピング街で、その辺は全然つまらないっていうか
いかにも表層的欲望な光景に違和感を感じた。
バスで隣のエリア行ったらすぐ軍事施設あるし…不可思議な観光地だ。 

そんな風になんとなくしこりを感じながら乗った帰りのハワイアン航空の中で、
ダニエル・イノウエのドキュメンタリーをやってて
なかなか硬派な内容。この方の事も442部隊の事も知らず、
パトリエティズムについてやや考える…。
ハワイアン航空、これを帰りにぶつけてくるとはなかなかやるな。

帰り、また新千歳空港のラーメン屋台で
今度は銀波露で食べる。半日胸焼けする。
もう超こってり系ラーメンは食べられないお年頃なのか。

帯広美術館での企画展、
道東アートファイル2013-in the LIGHT / in the SHADOW-
会期終了しました。

帯広市外からも、たくさんの方達が見に行ってくれていたという情報が!
ご来場頂いた皆様ありがとうございました。

展示を少し振り返る。
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ドイツに渡航したあたりからずっと
画面の中に明確に規則的な円の配列を潜ませるということをやってきて、
ハンブルクでの個展と今回の展示でだいぶ形になってきたかなといったところ。
もうちょっとこのアイデアで多様な展開をしてみたい。

ハンブルク個展後、ヨーロッパ美術漬けツアーを行ったので
古典絵画と近代抽象からの影響も今も間違いなく持続している。
強く意識しているわけではないけれど、
絵作りのアイデアが、ポッと整理のついてない頭の中からでてくるような感じ。


今回は例えば、
同じ大きさや色の円を使って、画面内に正方形や三角形のユニットを作ってみたり、
網かけのような整列円を画面全体に敷いてみたり、
他の円が重なれないような円を作ったりしている。

加えて大作2点では、
すべての円の位置が同じでネガポジ反転も試した。
さらに色を2色ずつに分解して入り口の小作品6枚にも展開。
これら一連の作品はパソコンとプロジェクターを利用したことでアイデアを具現化できた。
暗い方の作品を見て、「日食」のようだと言ってくれた方がいたが、
アイデア組みの途中でコロナのような円のオーラみたいのが発生してちょっと自分で
おもしろがっていたので、
ここから日食がパッとイメージとして浮かんでくれるのはとてもしっくりきている。

以上のような意図と、今まで通り画面がちらつく感じが
画面の中で分離しない様に、鑑賞する際の意識の変化で見えてくる要素が
どんどん変化していくような画面を作りたい。

2008年くらいから「みえない みえる」っていうのを画面で
混ぜ合わせようとしてきたわけだが、

「みえないもの」が人の感性にどんだけ影響を与えるかについての実感は、
ここ2年程でずいぶん現実的になった。
直接的ではないにせよ、そのような実感を
何らかの形で自分の絵画に変換していきたいなあと思ってはいるが
まあなかなか難しいなあ、と。

とは言え、いろいろあまり具体的に考えながらやってる余裕もなく
わーっとひたすらアイデアを形にして、
とにかく出来ました!!って感じだった。

とりあえずこんなところで振り返りは仮締めに。
もうちょっと具体的に今やり終わった仕事に対する実感を掴みたいけど、
頭はまだ直近の予定達にズザーって引っ張られたままだ。

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