札幌は本日もたくさん雪が降った。慢性的な運動不足でさらにものぐさでさらに寒さが苦手な自分にとって、雪かきという作業は非常にしんどい。しんどいけれども、やるしかない。やらなきゃ我が家が埋まって家から出られなくなるから。すでにプロパンガスのボンベは埋まり、危険だ。

 まずは重装備からだ。マフラーと耳掛けを仕込み、昔大学で拾ったダウンジャケット、昔サッポロ雪祭りの国際雪像コンクール出場時にもらったアルミウェアのズボンを履き、長靴に被せて、軍手は2枚重ねで完璧!!

 そうすると寒さは消える。そして雪かきというのは不思議なもので、やってるうちに意外に特殊な心地よさを感じ始めるのだ。

雪が積もると空気の質があからさまに変わる。音の響きが鈍くなる感じ。それがなんだかいい気分。

 引っ越しするとき、モノがなんもない部屋にはスカスカ音が響くけど、家具を設置し終わると部屋の空間が安定する感じってあるじゃないですか。あれに近い感じ。

 そして、ちょっと疲れたら、そのまま積もった雪にバタッと飛び込んでいける。これがまたいい気分。10分くらい寝転がってボーッとするのが乙。ただしご近所さんに見られないようにしなければやや恥ずかしい。

 我が家の隣の空き地には、すっかり立派な雪山ができた。雪山に登ると、いつもの町内をやや俯瞰できる。これもいいなあ。

 なんだかそんなことだけで自分の中に眠る感覚が少しは研ぎすまされるのではないかなあ?と大きな気になって、すっかりしんどさなんて忘れちゃうんだよな。


 秋の終わりに大雪が降れば、たった一日で劇的に世界の色が変わる。世界のフォルムがちょっと丸みを帯びる。空気の響きが変わる。この感動を毎年味わえるのはラッキーだ。

 層を重ねる絵を描くようになって、雪が降るということは、雪というベールが世界を覆ってるわけだなあというあたりまえの事を大事に考えるようになった気がするな。そもそも知らず知らずのうちに雪が降るっていう現象が絵の構造に影響を与えているのかもしれないなー。

 が、しかし、なんとか雪かきが終わって家に入ると、頭やマフラーや軍手に残る雪がみるみるベシャベシャになって、やっぱりまた、うげぇめんどくせえってなる。次の日には体も痛くなり、だるーくなって、もう雪は降らないでくれと思っちゃう。
 雪かきをしてるあの瞬間は、あの瞬間だけの、スペシャルな時間なのでした。