時計台ギャラリーでの廣澤正俊遺作展へ。廣澤先生は、僕が2年間教師をしていた高校の元々の美術の先生で、病気で入院されたため急遽ピンチヒッターで僕が代わりの教師になったのだった。ピンチヒッターながら現場で速攻ピンチになり、ご本人に会っていろいろ話を聞いてもらったりした。3回だけしか話す機会はなく、今から1年半前に亡くなられてしまったのだけど、とてもおもしろい方で、自分も生徒になったような気分で慕っていた。
 オーソドックスな洋画を描く先生なのだが、シリアスな画風の中に実験精神が盛り込まれており、なるほど描写方法フェチな熱気が伝わってきた。きっと支持体に絵具を乗せるのが楽しくて仕方がないタイプだ。そうだ、話した時に美術手帖の大竹伸朗特集に熱くなっていたのが印象的だった。

会場ではお世話になった先生方とも久々に再会することができて懐かしかった。。あ!そしてホワイトヘアーのあの方は我らが山本先生!!てことでちょっとティータイムへ。雰囲気のある喫茶店に入り東京話を聞かせてくれておおいに楽しんだ。


 その後、トオンカフェに向かう。冨田哲司さん個展へ。真砂雅喜さんとのアーティストトークが行われていたので、聞く。同時代の話など共感できる部分あり。
 展示作品は平面作品だったが、描写されているのに絵画的では無い気がしたので絵描き脳な自分としてちょっと話し込んだらおもしろくなってきちゃう。真砂さんも冨田さんも現代アートの文脈を強く意識している作家さんなので、そういう立場から見た絵画ってどう思ってんのかが気になってしまい質問したり。僕はどうも絵画を軸にしなければ美術話をうまく展開できんのだ。つい2時間弱ほど経ってしまい、画材屋さんに行きそびれてしまった…。

ふーむ…しかし現代アートという言葉もなんかすっかり時代にフィットしなくなってきてるような感じもするけど、今日は洋画と現代アートっていう割と対極な美術表現を連発で体感したので、ちょっと頭の中が揺らぎ気味だ。

揺らぎながら考えた。
しっかり美術表現するならば、単純な話じゃないけど、まずは

・「常に今とリンクしながら進む、時代と美術の文脈」

・「絵画なら絵画、彫刻なら彫刻、映像なら映像、インスタレーションならインスタレーション、のメディアそれ自体が持つ不動の構造」

・「自身の超私的テツガク経験論」

といった要素を巧みにクロスオーバーさせる必要があるような。

僕はなぜか道展という洋画だらけの公募展にいて、毎年大量の洋画を見ては違和感を抱くのだけど、洋画は、現在進行形の美術の文脈にあまり関係がない。それに、大半は「絵画というメディア自体の構造」にもそれほどシリアスに向き合っていない、ような気がする。
 じゃあ、現代アートと称して発表されてる威勢の良いヤングな作品は果たしてどうかと言われたら、洋画と対して変わらず、つまりどちらも、「自身の超私的テツガク経験論」が膨れ上がりすぎてどうしよもない独りよがりでつまんない作品になってるじゃないか。

今日見た廣澤先生の作品群は、「自身テツガク」に加え「絵画の構造」に突っ込んでいってたような気がした、ので、現代性は弱いが絵画というものとして迫力があるし、今日見た冨田さんの作品は「自身テツガク」に加え「時代と美術の文脈」に突っ込んでいってたような気がした、ので、作品そのものは絵画としては弱かったけど、考えを示すトークに自体に迫力がある。ような、気がした。(言い切る自信がないので曖昧表現。)

と、生意気な発言をしてみたテメエ自身はどうなんだという話。
僕はかなり長い間、学生時代はほぼ全部、「絵画の構造」のみに夢中になっていて、「時代と美術の文脈」についてはいつも30年遅れだと言われ続けたし、「自身テツガク」もスッカラピンの頭ん中じゃ反映するもクソもない。なのでなんとか知識と経験を増やして作品に迫力を持たせたいと思っているけど、自分に甘いし、なかなかそのクロスオーバーっていってもまたテクニックがいるっていう話だし、苦労はしているつもりですがいかがなもんかなあ…

今自分の作っている絵画作品が斬新で最先端なものだとは思えない。
でも自分は今を生きている。1981年に日本北海道帯広市に生まれて、20歳の時が21世紀元年で、今は無限の情報と幸福なテクノロジーとよくわからん社会に囲まれながら絵を描いている。

「自身テツガク」を充実させるには、なぜどういういきさつでこの地で生まれて、どういう経験をして、何を感じてきたのか、何に出会って何に影響されて何を選択してきたか、そういうことをじっくり考え直して絵画にフィードバックさせていって、今度は逆に絵画から自分の思考にフィードバックさせていくことも大事だ。
 

 繰り返しそういう事を実行していけば、斬新ではなくとも、今の時代の空気を絵画の中に落とすことはできるのではないか。
ってな事を定期的に考えてる。

なにはともあれ、いろいろ活性化!