個展準備ですっかりブログの更新を怠っているうちに時は過ぎていった。
いくつかのネタがこのまま過去に消えていってしまわないように今のうちに簡潔にでも。

1. 1月某日のこと 「僕より先にドイツに行ったブツ」

個展前、年末から年明けに作ってたチビ作品の1つは、ドイツに渡る事が決まっていた。
9月の個展の時に、大学の先輩で今はドイツでアーティストとして活動されてる谷口けんさんに作品を見てもらい、
その後、ドイツでも作品を見せたいのでサンプルを送って欲しいと言われていたのだった。

送りやすいような小さいサイズで作り、初めて海外に物を送る手続きをすることに。
もしものことも考えて、厳重に木の枠で防御して梱包。
けんさんにアドバイスも頂き、ネットで送り方を見たりして、
近所の郵便局からも送れるってことで、窓口でもいろいろ質問をしながら手続きを済ませる。

本当に大丈夫なもんなのか… 飛行機?での輸送や向こうの運ばれ方にあの梱包で耐えられるのか!?
となんとなく毎日ソワソワしながら追跡機能を眺めるも、ドイツに着いてからは表示も曖昧。

数日後、けんさんからケータイに直接電話が来て、無事に届いたという連絡をすぐにくれた。
ケータイで話しているのが不思議な感じ!安心とかうれしいとかで、会話がぎこちなくなってしまいまったくもどかしい。

そのさらに数日後、けんさんのブログで作品受け取りの状況が書かれていた。
http://hecomi.exblog.jp/12040772/

なんか迷惑をかけてしまっていた!ぎゃーごめんなさい!!
でも、巧みにピンチを切り抜けて頂いてたようで…いやはや。勉強になりました。
今後活動の幅を広げるならば作品輸送でもいろいろトラブルがでてくるのかと思うとゾッとして来た。

自分もまだ踏み入れた事の無い土地に、作品が先に行ってしまった。
ドイツと言えば、ポルケにリヒターにキーファーと大御所画家の名も連なる美術国。
あの小さな作品からなにかに繋がっていけばいいなあとほのかな期待を胸にしまって、
今は結局また作品増やさなきゃどうしよもねえ。


2. 2月25日のこと 「あのゲーム機」

様子見様子見と言っていたはずだった去る2月25日、Nintendo 3DSの発売日。
ちょうど朝から少し出かける用事があり、帰り道に開店間際の近所のGEOを通りかかっ(てしまっ)たので、
当然売り切れているよね!!その事実を確認してみるか!!と店の様子を伺うと、
あ、あれ…7点残ってる!?
次の瞬間、衝動的に店長らしきオッサンに「お金おろして来るんで一瞬取り置きしてもらっていいすか!?」と言い残し
近くのコンビニATMにダッシュしている自分がいた。

僕の決意って一体なんなんでしょうかね。

そんなわけで結局発売日に購入していた3DSとnintendogs+cats。
購入しても実際そんなにやるヒマがないのでちょこちょこ触る程度ではある。
振り返ってみれば、その後売り切れてる店も少ないし、意外に話題になっていない。あれー?

購入感想は、3D具合はほぼ想像通りで飛び出すよりは奥行きを感じる。
3D映画よりすんなり馴染むし、しばらくプレイしていると没入感がやっぱり少し違う感じがする。
しかし画面に対して顔の位置を固定しないとブレるので、横で誰かのプレイを覗く時は3Dをオフにしなければキツい。

このマシンの3Dについて一番おもしろいなあと感じるのは、やっぱり3D具合を調節できるところだなあ。妙な感覚。
現実の3D調節なんてできないので、確かに3D具合が上がったとか下がったとかはわかるんだけど、それって一体なあに?ということである。
空間の深度が違って見えるなんて、なんとなく新鮮じゃないすか。絵画にフィードバックできそうだし笑

3D機能は置いといて、おもちゃとしても、始めからついてる機能の進化版すれちがい通信はかなりおもしろい。
すれ違いたいがために、札幌駅周辺に行きたくなる率が上がった。


3. 札幌の美術熱 3月から4月

3月から4月にかけて、「サッポロ未来展」や「THE BIGINNING」や「美術館が消える9日間(プレビエンナーレ)」と熱気を感じるような展覧会が
ドドドっと押し寄せて来て、おいおい自分の個展の準備もヤバいのにどうするんだい!と焦りながらも、
周りに置いて行かれたくもないのでタイトに鑑賞!
未来展は、公募展系の作家さんと現代美術寄りの若めの作家さんが半々くらいのメンツ。
人選に必然性が無い。…のは今まで10年やってきたらしい流れと、若い作家さんがやりたいこととのバランスの問題のようだ。
古くさい絵画作品(しかも照明が点滅して見づらい)と同じくらい、インスタレーション作品も弱いのが多い。
うーむ。何点かおもしろめな絵画作品もあったけど、
結局最後のほうにあった池田光弘さんの小さめの作品の強度が圧倒的に強いというのを知らしめる内容。

BEGINNING、パルコ新館の1フロアを丸ごと使った展示空間自体が魅力的で、参加作家さんも呼応するようにのびのびと展示している感はある。
でもやっぱり個々の作品自体が弱い。 いや、弱いというか、根本にある問題意識が美術の問題ではない作品が多かった気が。
そもそも美術の問題でない企画をやろうとしていたのかもしれないけれど。
え、美術の問題が何かっていうと、それは毎月やってる芸術勉強会で質問を…笑
斉藤幹男さんのヘンテコな映像は可笑しかった。

となるとやっぱりなんだかんだでプレビエンナーレが個人的にはいろんな意味で一番楽しめた。
実際その後開催された芸術討論会でもプレビエンナーレあれこれが一番盛り上がっていたし。
個々の作品の話を詰めて行くと、結局伊藤先生と磯崎さんの話になってみんなで唸るという展開になる。

絵画で選ばれた石倉美萌菜ちゃんはデカイ絵を出品してて気合い十分。
学校卒業後は皆サイズが小さくなりがちな中、ドカンと挑戦状を叩き付けられた気分だった。
具象絵画しかも妄想の空間を作り上げる難しさ、あれは難しいよな〜稚拙に見えてしまったけど、イメージ作りはおもしろい。
それと側面処理は割り切るなら割り切って欲しかった。

のびアニキさんは、実際の展示やパフォーマンスを始めて見た。
すごい真面目で、しっかり作品をつくる力を持ってる人だということを知る。
ツイッターでの目撃情報の拡散のされ方も、ウマいなあと。

展示空間全体としてみるとスカスカした印象で、う〜ん…。会場も暗いし…。
どちらかといえばじっくり「モノ」を見るのが好きな派としては肩すかしくらった感あり。

関連イベントにおもしろい内容のものが多くて、
・伊東篤宏さんのオプトロンのパフォーマンス、
・映画「ハーブ&ドロシー」の佐々木芽生監督のトークショー、
・スプツニ子!さんのレクチャー、
・角煮の解散ライブ
はかなり良かった。

秋の芸術の森での展示がどのようになるかまた楽しみです。


4. 4月17日 森山大道写真展 北海道〈最終章〉のクオリティがハンパなかった

芸術の森美術館で、森山さんの写真展。開始直後からすごいすごいと噂になっていたけれど、行ってみてびっくり。
入り口通路正面に、いきなり正面向きのフェリーのデッカい写真が待ち構えている。これですでにクラッとくる。
デカいカラー写真が壁一面に並んでる第一室。鮮やかなデジタルカラーで彩りある部屋なのに、この独特の空虚感は一体。
ただの空虚感でない。自分がよく見ていた風景などもあり、知ってるところなのに違う世界のようにも見える変な感じ。
なんだか写真自体に引力があるように思えて来て、長い間向き合っていると目眩がしてくる。

第2室はモノクロの昔の写真がズラリ。フライヤーにもなっていた札幌駅の写真も、眺めていると気絶しそうになる笑
今見てるこの画像の瞬間に森山さんはシャッターを押したわけで、その前とその後に今と同じように普通の時間は流れているはずなのに、
切り取られたこの写真は普通の風景じゃなくなってるように見える。
なんだかとてつもない別の威力を持って時間のブラックホールのようにこうやって存在しちゃってる。
このリアリティたるや、絵画とは全く別の写真の特性なんだなぁと、写真ってメディアの底力を思い知らされた。

今までのいろんなところでの展示も見て来たけど、大胆にトリミングしたり、
明度調整をして写ったもののチカラをさらに増幅させているみたい。
撮影した瞬間から、現像、編集、展示と、意思のレイヤーが重なる事で異質なものへ純化されていってるのかな。

この日は会場でトークもあった。なるほどなあとおもったこと一部抜粋。

・写真も含めた表現について、日常の裂け目の理解がある作品はおもしろい。

・カルティエの展示で初めて大きな写真展示。
 自分の写真に包まれると、自分の写真なのかわからなくなる。自分ならざるもの。

・デジタルのカラーって、モニタに映るイメージ。モノクロよりさらに嘘っぽくみえるのが面白いし快感。
 プリントする時はほとんど調整したくない。一枚のペラッとした画像をそのまま出したい。
 調整の無さがおもしろい。

・デジタルは決定的に物質感が希薄。その辺がおもしろい。ノイズはあるけど別のもの。
 銀塩は粒子の世界。粒子のもつパースペクティブ。

・写真の本質的にオリジナリティはあり得ない。これが他のメディアにはないおもしろさ。
 こーだ、どーだって決めて撮った写真は自分にとって写真じゃない。

・一昨年からデジタルのカラーで撮って2万枚(!)写真集の編集中、
 どうしようか収集がつかない。デジタルだと枚数が増える。
 今、写真と向き合うってことはそういうことかもしれない。

…などなど、興味深いお話だらけ。「写真」自体について深い哲学を持ってるのが滲み出ていた。
対談相手の伊藤先生は、現代美術の写真についての話や、美術界との関係についても突っ込もうとしていたようで、
その辺は確かにもっと聞いてみたかったなー。


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KOHBUNDO ART CASE #05
山本雄基 個展『グレーゾーンが踊っている』

2011年5月21日(土)〜6月19日(日)
10:30〜18:30
毎週水曜定休
最終日は16:00で閉廊
初日/最終日は作家在廊

KOHBUNDO ART CASE
北海道帯広市西2条南9丁目6 六花亭3階
(当画廊へはエレベーターをお使いください)