後輩の美術家西田君がブログで、

500m美術館で自作にタバコの跡と、

牛乳パックの投げ入れされた跡があった事を書いた。
http://takuji0808.exblog.jp/18292447/

それに自分もコメントしたらいろんな人も同時にコメントしてて、

すごい拡がりになり、togetterで西田君自身がまとめた。

http://togetter.com/li/348732  

北海道美術ネットには流れの概要がまとまっている。
http://blog.goo.ne.jp/h-art_2005/e/c2ff9448cb92e56ead8d9c857122bba4 




この西田君の行動は作家としてやるべきことだったと思うし、

問題を表面化させたので適正な範囲で有効だったと思う。

しかしまさかこんなにいろんな人が関わることになるとは。

それだけ今までいろいろ思っていた人がいたのか。
 

で、数日これについてのいろんな人達の発言は収まらず、なんだか今はちょっと変な展開に。

参加した僕も何やらいろいろ誤解してるかもしれぬなあ。

twitterでは、言いたいことも言えないこんな文字数じゃポイズンですよな。


当の西田君本人は、

わりと冷静に作品は自分で直すと言っているし、こういうことは言わなきゃダメってことを言ってる。

それで良いと思う。その辺はもともとブログを持ってることもあって、
作家のバランス感覚としてマトモだ。あの場に出品すると決めた時点で、まずは何か起きたら(起きる前提でも)自分で対処するのも当たり前。 

出品してたインスタレーションにはいろいろ言いたいこともあるが、笑

ひとまずそれは置いておくとして、僕も読み直しながらいろいろ考えた。

そもそも札幌の500m美術館て
数年前に期間限定の公共展示空間として作られた場所で、
大まかな特徴として、

・通勤通学の人達が毎日繰り返し通る類いの、
 大通駅 ~バスセンター駅間の地下歩行空間で、相当大勢の人が通る。 

・横のスペースはきわめて狭く、札幌駅の地下歩行空間のように、
 端を通れば逆側の端は目に入らないというほどの通路幅の広さは無い。
 つまりここを歩くと必ず展示が目に入るということ。

・500mに渡ってずっと展示が続く。現在は企画側が選んだ作家のグループ展を行う。
 今後はコンぺ形式になるかもしれない。

・約1億(当初の予定?)を市が投入して改築/運営をしているのは、
 度々新聞で取り上げられている。

というような、ちょっとヒトクセある場所。
去年から一部ガラスケースや照明、壁がきちんと整備されて常設化された。
 

ただたぶん予算の関係上で、半分以上の壁面は剥き出しで防犯カメラのみ設置の状態。
展示作品についても保険がかけられず、破損、盗難については作家の責任という規約明記がある。
防犯設備が不十分で、今回の問題が表面化したことになる。

 

今まで水面下で破損があったことを主張しなかった作家にも

それに対して特に対応をしてこなかった(とされる)運営・企画側も、

このアプローチはいろんな事を気付かせてくれたはず。

予算の問題もよくわかるし、その上で今後どんな風に良くなっていくのか期待したいところ。



僕も常設化する前の2年前に作品展示して、

その時はやっと、白い仮壁が設置された段階だった。
僕は場に合わせて作品形態を変える作家では無いし、作品の性質上額装もしたくないし、仕方なく落書きも覚悟だったけど、少しの制作費は貰えるので多少のことくらいならカバー可能なのと、それでも多くの人に作品見て欲しかったので、引き受けた。
もちろん展示して良いこともあり、自作については幸い何も起こらなかった。
 

その前は当時の通路そのままの固いブロック壁だったし、少しずつ展示環境自体は良くなっている。

今年の企画は道外の作家も呼んで今までにない作家ラインナップで、新鮮に感じる。

これは企画に入っている高橋君のパワフルな行動力が大きい。

その部分もとても楽しみだ。


ただ、どうも議論後半の展開に違和感を感じたまま、

未だに納得できないんだよな〜なんでだろ。


例えば、公共の話。

花壇や自転車置場などとも比較されて、そこでモラルがあるのは当り前、だから

500m美術館でも、同じモラルが守られて当然。

作品に触れないように新聞やらTV、パネルなどで説明するべきだ、という意見があった。 ええ!?

公共の物を破壊するのは犯罪だし悪いことなのは当り前。大前提。すでに多くの人は守ってる。
 

同時にそのようなルール守れない人をゼロにはできないので、
そりゃパネルくらいはあっても良いと思う。
予算内で出来る限りの、より良い環境作りを工夫するのは急務だろう。 
 

西田君は今回自作でパネル貼って効果はなかったようだけど…。 

僕は、できるだけスタイリッシュな線を床に引いて、超えたら
近くでブザーが鳴ればいいかもしれないと提案してはみたものの、
やっぱりそれも非現実的で設置費用分の大きな効果も期待できないかな。 
モラル周知しても限界点はあるでしょう。



それに500m美術館はちょっと特殊ケースだから、

今回の問題で他の公共性のある場所と比較することには、僕はあまり意味を感じられない。

もっとズレた所に大きな問題ないかなあ?



だって、
そもそも通路だったところに税金使って美術展示!っていきなり現れた施設である。


幸い、500m美術館が好きだ、
毎回楽しみだというお客さんもたくさんおられるようで、
それは以前出品した者としても、とてもうれしい気持ちになる。


でも一方で、あるツイッターのつぶやきでは、
今回の500m美術館は作品が苦手なので、
通路を通りたかったけど上を歩いて帰ってる、
と言った内容も見た。
美術って、作品があるだけでそういうことを起こし得るんだよな。


すべての意見に対応はできないだろうけど
ウェブサイトに問い合わせ窓口も載っているので、
意見クレームがある場合はこれを利用してそこから運営側も有意義な意見に対しては

何らかのリアクションを提示していくのがベストだ。

それでも気の強い人なら、

この作品あると本当ストレス溜まるんだ!って言って、

タバコを押し付ける事も、稀にはあり得るかもしれん。 

それが当然当〜然いけない事なのは僕だって百も承知、

でもこの特殊な場所に関して言えば、
やはりモラルのものさしだけでは計りたくない。


ヘタにただ看板増えたり、ただ広報だしてモラルのお知らせはできても、

人によっては、やり方によっては、

「あれ、やっぱり市民に受け入れてもらえてないんじゃんあそこ」

て印象になってしまうだけかもしれない。


そのくらいは当然踏まえた上で、

市や企画側は最善策を今後も出来る限り考えなければならないし、

その上で何かがあった時は、当然規約に従った責任を作家自身が持つことになる。

企画側とよく話し合って希望もできるだけ伝えて、
破損の可能性諸々含めたああいう場所性を踏まえた作品を出品するか、
あるいは依頼されても出品を断るという選択肢もあり得る。



また、公共との比較の点でもうひとつ、
「駅の券売機」と「美術作品」を同等に扱う事はできない。
券売機にタバコの跡があったからといって一般的に感じるレベルでは実際小さなこと。
そして花壇にタバコ、道に空き缶、そういうものを掃除する仕事の人がいる。これも公共。

「美術展」の「美術作品」にタバコの跡が付いたから、牛乳パックが投げられたから、
問題なんだと思うんだよね。図書館の本の表紙が破れちゃったなんてケースとも違う。
その手の比較はナンセンスだと思う。
作家も無償で出品してるわけじゃないんだし、
しっかり語るなら「美術作品の破損」の問題として語る必要がある。


あんな場所なくなった方がいい、という意見に関しては、僕は美術家として賛同しかねる。

少しずつ積み重ねができて、今こういう話が持ち上がってるところ。

 

美術はもちろん、
楽しみとか希望とか前向きなことや、何かを気付かせてくれるような驚きなども
持って来ることができる。

あの場所で何かできるアイデアを提案するのが、クリエイティビティだと思う。


半分冗談で、破損作品を並べる展示があれば挑戦的、という意見もあった。

もちろん、今やるとマズいし性格悪い意見だけど笑、これもひとつのアイデア。



他方、山下さんのブログには、

facebookで多数のイイネ!がついていた。

http://yamashita-tomohiro.com/blog/?p=1265


「その存在が認められた証拠なので、むしろ喜ばしいことだと思います。」
はさすがに言い過ぎだと思うし、それはドMだ笑

作家側の責任スタンスにはほぼ同意、しかし全体的に極端、
「てかアートってそんなに偉いの?w」とか、読者を煽るテクニックのようにもみえる。

 

山下さん自身の場合は本人の作家性もあるしわざと挑発してるのかもしれないけど、
マジメな人は挑発に乗っかっちゃうのでは? 

イイネ!がたくさんついてるってことは、そういう考えの人もたくさんいるってことだ。
それもどうなんだろ。 


500m美術館は、
普段美術館に足を運ばないものすごく多くの人達に
無料で作品を見せることができるというメリットがある。
それは、美術のおもしろさの広い共有・理解を獲得する大きなチャンスでもある。

かつ、市民に対する無差別攻撃のようでもある。
そこにデメリットやリスクを背負う意味もあるのでは。
ここがどんな場なのかという見極めについても、
従来の美術館やギャラリーとは全く違うシビアさで取り組む必要があるだろう。

市も、やや強引なくらいの、
文化政策に力を入れている!というアピールの狙いがあるんだろう。


すべての鑑賞者に受け入れられる美術作品なんか存在するわけないし、
反撃や、抗議の声が聞こえてくることも含めて、
おもしろい展開をしていくことが、現状の500m美術館の意義だと思います。 
 

そろそろ今回はこれ以上外野がワーワー言うのは無意味かと思う。

いろんな提案が充分に出たのだし、運営、企画の方々にいろんなことを託したいです。



そして、今回始まったばかりの新しい500m美術館の企画、
excessive!展の展示画像をfacebookなどでチラッと見た。
 

僕は実際の展示を見に行けないから明確には言えないが、
「俺の話を聞いてくれ!」って服で文字書いてる作品、

なんか全部吹っ飛ばしてるように見えて、いいなあこのアプローチ!って思った。

 

あの場を一番ポジティブにするのは、

多くの通路利用者が、美術もなかなかおもしろいかも…と

思ってしまうようなするどいアイデアの作品だ。


http://500m.jp/


いま札幌にいないヤツが何言ってるんじゃって話ですがね…!