やまもとのグレーゾーン

札幌の絵描き山本雄基のきまぐれ雑感と日常。

カテゴリ:海外美術鑑賞記 > 2013冬オランダ

デンハーグの朝。
ホステルの近くからトラムに乗ったら違う方向に行っちゃったので
すぐに降りて仕方なく中央駅まで20分程歩く。
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駅周辺の高層ビル。この街もフランクフルトのように金融街っぽい。

デン・ハーグには有名なマウリッツハイス美術館があるけれど、
現在改装中なので入れない。
改装期間中なのでここの目玉作品のフェルメール「真珠の耳飾りの少女」が
日本に貸し出されたりもしてて、残念ながら今は見れない。

ただ、もう1つフェルメール代表作「デルフトの眺望」は
デン・ハーグ市立美術館(Gemeentemuseum Den Haag)に
移動して展示されているとのことで
それを見に来たのだ。 
中央駅前からトラムに乗ってさらに20分程。
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到着。街の中心から少し離れたところにあった。

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チケットがなんとなくシャレとる…が、
モンドリアンの前で子が首を傾げてジャンプって
意味はわからない。

マウリッツハイス展示ゾーンだけは撮影不可。
レンブラントの解剖の絵もあってこれも相当凄かったし、
やはり目的のデルフトの眺望は素晴らしい!!
まずフェルメールにしては思ったよりも画面が大きい。
ガラス額に入ってるのだけど、
フェルメールだからなのか低反射ガラスで鑑賞もしやすい。

しかし、なんとまあ、絵肌の輝いていること…。
絵具を塗るというより優れた工芸作品のように小筆で絵具を置いていったような建物の描写は
感動的だ。物と物のキワのボヤけた色彩もたまらんし、空の色雲の面積、川の描写、
それぞれ塗りも変えて超テクニカル。

同じ部屋の別作家の細密な風景画も十分テクニカルなんだけれど、何が違うのか…
色も構図も絵具に対する愛情というのか、熱意が違う気がするな。
これだけカッチリ描ききっても、
そのカッチリさからはみ出る魅力を保ってる風景画、
いやー感動。

そしてこの美術館、近代以降のコレクションが中心で、その質が高い。
オランダもまたいいもん持ってるんだな〜。
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ルイーズブルジョワや、

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ブルース・ナウマンとベーコンを組み合わせた展示。
ベーコンは僕全然好きじゃないけど、ナウマンのせいでちょっと良く見える?
しかしナウマンもいろんな美術館でだいたい1つは見かける常連。
しかもだいたい良い作品、打率の高さ凄い。
この作品、左に見える赤いボタンを押すと、
メリーゴーラウンドのようにグルグル回る。

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PAEL THEK、う、ケルンのコロンバ美術館でグロい作品作ってた作家か。
めちゃくちゃ苦手だが、こんな絵画も描いてるんだな。

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グロいゾーンもまとめて続く。

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サスナルの小ちゃいけど気になる絵画。

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ライリーの丸使ったシリーズは、自分の作風もあり参考になる。
計算されたパターンの繰り返しによって画面に現れてくる、
ひっかかりのあるイリュージョン。

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ルウィットのウォールドローイングもいくつか。
これはマットな平塗りのパターン。

そしてさすが、デ・スタイルのゴリ押しゾーンがあるし
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何よりモンドリアンのコレクションが凄い充実。
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初期風景画もやっぱり画面内の構築がしっかり考えられているし
重ね塗りの色彩豊かでザクザク筆跡の残る感じ。
普通に、うまいしカッコいい。

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これもモンドリアン…これはどういうことだ。

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遺作の「ビクトリーブギウギ」!チケットで子が飛んでたのは、
展示位置が高かったからなのか笑

色面が貼り絵状になっていて、
手作業的な感覚がかなりダイレクトに残っている。
赤青黄に黒グレーも紙具合によって色彩の揺れが激しい。

加えて、紙の色違いのクリーム色っぽい貼りも散見される。
これは未完の証なんだろうか。

しかし、ヨーロッパで見るモンドリアンの多くはガラスに入ってる。
額装にも相当気を遣っていたである作家なはずなのに、
ガラス額装はベストなのだろうか?
NYのMOMAではちゃんと剥き出しで見れたはずだが。

予想外のボリュームに、バテた。

中央駅まで、またトラムで戻る。
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ここの駅も改装中でかなりワークインプログレスな雰囲気。
ファストフード屋でポメスを買い食い、今度はアムステルダムへ移動。

途中オランダらしいあの風車や広ーい川などが見えて、
オランダ!!て感じになってきた。(写真撮り忘れる)

夕方アムス駅に到着して、外にでるとこれまた独特の雰囲気…
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じっくり街並を味わう間もなくメトロに乗る。
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地下鉄の中には妙な絵が描いてある。

猛ダッシュでレンブラントの家へ。
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モチーフ部屋。


それとエルミタージュ美術館アムステルダムでゴッホを見る。
ゴッホ美術館もまた改装中なので作品がこっちに移動してるとのこと 。
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全館撮影不可。
トータルで1時間ちょいしか無かったのでホント駆け足で無念だった。
それにしてもゴッホの作品ばかりに囲まれると色感覚がヘンになりそう。
ちゃんとゴッホ美術館の改装後を改めて見に来たいものです。

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美術館近くの光景。絵に描いた様なオランダっぽさ。

夜、けんさんと待ち合わせ。
今回の移動ラストは、ここからさらに北のレーウワルデンで
けんさんの巨大パブリックワークを見に行くことで、
ちょうど今夜はお互いアムスに居るので夕食しましょうという話に。

しかし待ち合わせの電話中にプリペイドの残高が切れるという超絶アホをやらかしてしまい
冷や汗を書いたが、少しだけ話した内容で中央駅の入り口でダメもとで待っていたら
けんさんに見つけて貰えた奇跡のテレパシー!
そしてご家族のみなさんに夕食をごちそうになってしまう。 
けんさんの甥っ子君にちょっかい出して遊ぶ。

皆さんお酒が強くて自分はヘロヘロ。
吐き気を我慢しながらトラムに乗って、
国立美術館近くのホステル泊。
アムスは美術館が駅からちょっと距離あるのだね。

しかしさすがアムスだ。
ドラッグを決めた同室のニイちゃんがめちゃハイテンションで会話してきた。

朝起きると、ドラッグ兄ちゃんは普通の状態に戻っていた。
「Sorry,昨日の記憶があんまりないんだけど騒いでしまったよね…きみ名前なんだっけ? 」
とか言ってる。 ユーはドラッグとか風俗とかやらんのか?と聞いて来たけど、やらんよ!!
アムスって…。 

さてまずは第一目的の国立美術館へ。
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裏側。これまた改装中で2013年4月にグランドオープンとのこと、惜しい。
カウントダウンの電光掲示板らしきものが。

横の別館で簡易的なマスターピース展示をやってる。
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こういうのが並んでると海洋国家の美術館って感じがして良いなあ。

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レンブラントの、怪しい絵の前で何を学んでいるのだ。

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ここにはフェルメールの「牛乳を注ぐ女」とレンブラントの「夜警」がある。
これまたどちらも素晴らしい。

牛乳女はめちゃ小さい画面内にやはり完璧に計算されたピカピカの画面。
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フェルメールも振り返ればもうけっこうな数を見たけど、

デルフト眺望と牛乳女のピカピカ感は群を抜いてる。
寄って見た時の描写スケールがたまらん。
意外に荒い作品もチラホラあるんだよな。 

夜警はデかい!
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本当はもっとデカかったらしいけど、いつかの展示移動の時に
部屋に納まらなかったので左側をカットしてしまったとのこと。

カットする前の夜警を模写した小さい絵画が同室に並んでいて、
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確かにそっちのほうが
構図はゆったり余裕があるように見えてくる。

この大きさで視界がスッポリ絵に包まれる上に、
真ん中の人物2人がそれぞれ手と槍をこちらに突き出す様な絵なので
さながら3D映画のような感覚に陥る。
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手前に迫るこの描写はタイヘンだろう。
描写の実験を画題の中に紛れ込ませてるのは古典絵画のおもしろい点だ。

説明書きも相当丁寧に書かれていて、
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~年に客が絵を切り刻んで、ここが修復した跡だみたいな説明まで書かれている。


近くのアムステルダム市立近代美術館(Stedelijk Museum Amsterdam) へ。
ロッテルダム、デンハーグと近代以降のコレクションに
オランダの底力みたいな妙な迫力を感じていたが、
さらにここはデカくて質がめちゃ高い。
どうやらこっちは改装が終わったばっかりで新しいみたいだ。
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裏から見たら古い建築なのに表に回るとでーんと現代的な宇宙船チックな見栄え。

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入り口の雰囲気もジャッドのカラフルな作品を中心においてスタイリッシュな展示。
まずお決まりの近代美術の流れを順に回る。
もちろんデ・ステイルは幅広く、ってな感じだ。
キリが無いので割愛するが、マレーヴィッチのドローイングがズラリと並んだ部屋があり、
その作品群がおもしろく
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チラ見せ。

デザインの展示はやはりここでも充実。
余裕が無いので駆け足モード、この椅子欲しいわ〜。
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2階が戦後現代美術コレクションと企画展、
まず戦後コレクションが素晴らしい!
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ケリー

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ライマン

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マーデン

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ガストン

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Daan van Golden初めて見た。良い。

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マチスの切り絵も

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デクーニングが充実してたり。オランダ出身なんだもんなあ 。

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ニューマンのコレクション、装飾的。

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ジャスパー多めに撮っちゃった。
1枚の作品の中に意識的な行為が詰まってて飽きない。

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突然、金山明の作品が!

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キーンホルツ、ルイジアナ美術館に続き2度目。うまく撮れんが異彩放ってる。

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工藤哲巳も。

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いや〜、揃ってる。ヤバいわ。

さらに企画展のマイクケリーがめちゃくちゃおもしろい。
後期作品をメインにした展示。
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わけわかんなさの中に一貫したファンタジアが存在しているような…これは一体なんだ。

子供の劇の映像とそれに合わせたセットのインスタレーションも
正直何がなんやらなのだがどうも引っかかる。
ヨコトリで見た都市フィギュアみたいなシリーズも、
あの時はまるでピンと来なかったが妙に腑に落ちる。
いや、全然困惑したままなんだけども。
都市部分とその他の繋がりに危なさを感じる。
が大きなボンベに繋がったガラス玉に囲まれていたり、
ごつごつした岩みたいなものの上にボワッと存在していたり。

映像作品は先日デュッセルでも見たあの映像の他に初期作品も見る事ができた。
通して相当ヤバいのだが持続して気になってしまう。 


トラムで今度は中央駅前のホステルに移動。
小さな運河とレンガの目立つ狭い街並をトラムで抜ける感じに
テンションがあがる。また来るときはもう少しゆっくり歩いてみたいもんだ。


駅前は危ない雰囲気が強い。
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「コーヒーショップ」(ドラッグ屋さん)がいたるところに普通にあって
変なパイプとか売ってるし、とても入れる雰囲気ではない。

また「飾り窓」(風俗)ゾーンも近かったのでどれせっかくなので社会科見学してみたら、
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赤ランプの付いた怪しいアパートの部屋でカーテンが開いていて、
ブラックライトで光る下着を身に着けた黒人のブリッブリのお姉さんが
部屋の中から体をうねらせて誘惑してきた。
そういう部屋が並んでいて、20mくらい歩いたら恐ろしくなってきて逃げ帰って来た。 

これらが朝の兄ちゃんの世界なわけだな。
アムス…クレイジーな街だ!! 

朝一の特急に乗ってアムスからオランダ北部の街レーワルデン(Leeuwarden)へ。

レーワルデンにあるオランダの司法省のエントランスホールに先輩のけんさんこと谷口顕一郎さんの彫刻がある。けんさんのサイトのトップ画像になってるのがその作品だ。
けんさんは前日にレーワルデンに入っていて、現地で再会することに。

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朝やけを眺めながら電車で移動。
ところが雪が降って特急が遅れてしまい、
途中の乗り換えがうまく行かず1時間以上遅れてしまった。
こりゃあピンチで困ったなと思ってたら、
なんとオランダの特急は車内でフリーwifiが使える事が判明。こりゃすげえ。
メールで伝えてなんとかレーワルデン駅前で再会することができた。
もー迷惑かけてばかりです… 

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これがオランダの司法省。建築がカッコいい!
司法省は厳重セキュリティで一般の人は入れないので、
作家さんが事前にアポをとって一緒に中に入るようになっている。
なので今回はご家族のみなさんに見せるタイミングにオジャマして見せてもらうことに。 
 
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幅10mの巨大彫刻がモダンな建築の中央に堂々と浮いている姿を見て、
思わず口が開きっぱなし。
この彫刻は過去に何度か移転をした司法省の建物跡地からの
凹みをトレースして、それを元に彫刻化してるとのこと。
一般の人が見られないのは勿体ないけれど、
どの階のデスクからもガラス越しにこの黄色い彫刻が見える様な建物の構造になっていて、
ここで働く人達にとっての大事なシンボルになってるんだろうなあと思った。
写真撮影基本NGで、
お願いして数枚撮らせてもらったけれど絶対人を写さないように厳重注意を受けた。
そういう張りつめた空気の中に浮かぶ作品の存在感。

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壁には各パーツの採取マップ。

完成まで3年もかかった大きなプロジェクトだそうな。
このような大きな規模でかつしっかりとした完成作品になっていくまでに
多くの人が関わって、多くのお金が動いて、
総合的な作家力がかなり必要なのは間違いなくて
今の自分からは到底想像できないスケールだった。

大きく年齢も離れていなくて昔から知っている自分の大学の先輩が、
札幌での学生期から一歩一歩経験を積み重ねて、海外に渡って、
この目の前の素晴らしい作品を完成させたっていう事実を体感するのは、
それはもう特別な経験だった。

無理してもらっちゃったけど見る事が出来て本当に良かった。

じーんとしながら、
電車でレーワルデンからベルリンに戻る。一度乗り換えしながら約6時間。

2週間ぶりのベルリンのこの感じ、なんか落ち着くわー。
ファッキン アレス!!などと叫んでる迷彩服のバカなおっさん達を冷笑する乗客達、
な夜の地下鉄。

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