やまもとのグレーゾーン

札幌の絵描き山本雄基のきまぐれ雑感と日常。

カテゴリ: Naebono art studio

なえぼのアートスタジオの今村育子、進藤冬華、山本雄基3人が、
北海道アートフォーラムで北海道立近代美術館のリニューアルに関するインタビューを受けました。
記事はこちら↓ 
ちなみに北海道教育委員会が4月8日(土)までこの近代美術館リニューアルについてパブリックコメントを募集しています。インタビューをたたき台に、何か思われた方はご投稿を。
https://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/bnh/kinbirenewalpubcom.html?fbclid=IwAR3rhbVoFpNnEo0fz12PPkv7o4XenoBp-jlupm_rFcnSwYSrkJ95-nEZ7z0


以上について余談:

インタビューを受けたものの、これがどこの誰に届くべきなのか、届いたら何か変わるのか、
イマイチわからないのが正直なところ。

道近美、そもそも近年は配管の老朽化で水漏れして工事したけどまた漏れるとか、収蔵庫がパンパンで展示室の一部を収蔵庫代わりにしているとか、満身創痍な話が多い。
これはもう、文化にお金を回す余裕がない北海道という自治体自体の構造問題であって、国の意向な気もする。さらに飛躍すれば、日本の地理的な条件(南北に長い、島で別れている、気温と雪、周辺国との位置関係)からくるある程度の必然なのかもしれない。
誰かから見れば、北海道は北の果ての辺境、田舎、外地。札幌は190万人規模の大都市であっても、その辺境属性から外れることはない。「早くこの土地から出ちゃった方が良い仕事ができる」なんて話もずっと前から度々聞こえてくるし、認めざるをえないという実感もある。

だとすれば結局何を言おうと何をしようと、大きなことは変えられない。
美術家だけでなく学芸員にとっても不憫な環境で、どうしよもないのかもしれないが、
それにしたって、ただ諦めて何も言わずに、自分の好きなことをやってればいいのかと言われれば、それも何だかつまらないし。

そういう場所で美術作家をやっていることの意味や、そういう場所だから考えられることやもがくことに、僕は興味もある。自分自身、美術や文化の面白さや、自分にとって無くてはならないものだと知ることができたのは、札幌で専門教育を受けたことによる部分が大きいからだ。
 

先日のウェブマガジン、カイの掲載に続き、今度は札幌イーストエリアを紹介するウェブサイト、
SAPPORO YARDにnaebonoが紹介された。
https://sapporoyard.com/story/2926/

こう立て続けに取材が入った要因に、
スタジオのあるエリアが札幌で今一番再開発が進んでいて、
まちづくり的に注目されてるエリアだからということもある。 
幸いスタジオは再開発エリアの東端で、さすがにここまで開発のあおりが届くような実感はないので、立退の心配はしばらくなさそうなのだけど、 
naebonoスタートの一年前に訪れたL.Aの356missonをふと思い出す。

あそこには大いに触発されてnaebonoの構想にも影響がある。
まさにジェントリフィケーションで閉鎖されてしまったけれど、
今もLaura Owensなどによる閉鎖への思いを綴った声明はサイトで読むことができて、
過度なクレームや報道に対する疑問と批判をしっかり残している。
http://356mission.com/about/


話は変わり、
SBIオークションがyoutubeでライブ中継してるというので、
初めて作品が出展される身としては、どうしても行く末が気になって、
視聴しながら制作する。集中できねー。
国内のオークション、こんな感じで進むんだな。
結局自作はエスティメート内の価格で落札された。170cm正方形の大きめ作品だったので買うハードル高めだったはずだけど、ひとまず落札されたので良かったんだろうか。
いったいどんな方が買ってくれたのだろうか。オークションで売れたものは、作家やギャラリーには誰の手に渡ったのかはわからない。
現状自作は、転売に目をつけられるほどセカンダリーの付加価値要素があるわけではないので、
純粋に好きで買ってくれたのだと思われる。 だとすれば、お礼を言いたい。

どうせ出品されるなら、不落札でも困るが跳ね上がるのも困るし、プライマリー価格から20パーセント増し以内くらいで落ち着いててほしい、という感じか。
ん〜なるほどセカンダリーに出るって、こういう気持ちの複雑さなんだな。んなこと言ってもコントロールできるものでもないから、あまり気にしないようにする。

短期的に今セカンダリーの価格が下がった上がったとかいう見方って全く本質的ではないと思うし、まして自作のような渋い展開の作品は、長期視点でよろしくお願いしたい、、。

それと、できるだけ多くの売約済み作品において、誰が持ち主なのかわかってた方が、将来例えば回顧展をやったり企画で必要な作品を出品する時に非常に助かるというのが作家の切実な思いだ。


切り替えて、制作に集中。

月イチ中華屋さんで特製ラーメンを食す。 
東京行きの飛行機と宿を予約する。



↓ 昨日紹介した市のアンケート、締切日まで載せ続けることにしよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【札幌圏で表現に携わる皆さまへお知らせ!!】
 
札幌市による「文化芸術活動の実態調査」のためのアンケートが始まりました。
以下のリンクより、回答提出ができます。無記名で、答えたくない設問は無回答OKです。
 
https://www.city.sapporo.jp/shimin/bunka/entaku/2021tyousa.html?fbclid=IwAR2tBsWJWmfbT91e6BvYKPbNQLF90yKmdDOFwWhTk8So3933pOlpXnlddnU
 
回答所要時間は早いひとなら10分ちょい、ゆっくりなら20~30分(自由記述をみっちり書いたら+30分くらい?)です。
制作者だけでなく、サポートされてる方まで、市街に住みながら市内で活動してる方まで、広い対象範囲です。回答期間は2月16日(火)まで。できるだけ沢山の方に回答、拡散していただければと思います!!! 

年末に来ていただいたスタジオ取材が記事になった。
季刊誌 北海道マガジン「カイ」
特集:札幌の水脈とメム

この特集は最初の記事から面白いので、順に読まれることオススメ。 
昨日アップされた、
”「なえぼのアートスタジオ」札幌のまちと、アートの“今”が出会う場へ”
の回の記事は以下のリンクにて!
http://kai-hokkaido.com/feature_vol47_art/


SNSでひと通り記事を発信したのち、
来月のグループ展用の作品発送作業。明日からまた雪が降るらしいが、
無事に到着してくれ〜。デカイの2つが運ばれていったので、
スタジオが少し広々した。


ひと息ついたので、CAI03へ。
マユンキキ「SINRIT シンリッ — アイヌ女性のルーツを探る出発展」
1時間近くじっくり鑑賞。
出演されているみなさんがある程度プライベートを公に見られる前提でも、
作家本人との関係性から滲み出る生の対話をされていて、それぞれの思いを想像した。 

僕も最近は北海道外から来る人たちから、アイヌ文化について聞かれることも増えてきてる。 
いくつかの博物館展示や本などを通して少しは知ったこともあるけれど、まだまだ足りない。
会場にマユンさんもいたので話も聞けたし、いまここで見ることができて良かった展示。 



帰ってきて夜まで制作。
2年前に買われていった大きめの作品が、某オークションに出品されてることを知る。
ええー!少なくとも自分がオークションに出されているのを認知したのは初めて。
たぶん国内で出品されるのは初めてだろう。
ほんとにたまたま知ったので、こうやって自作が知らないところで知らないところに遠ざかっていくのか、、、
(※オークションで売れても、もちろん作家には一銭も入らず何も知らされません!)

こればっかりは制御の仕様がないのだが、ああ、大事にしてくれる方に持っていただけることを祈る。
気に入ってる作品なんだけどなあ〜。

数日前に奮闘して収録した、
なえぼのアートスタジオのプレゼンテーション動画がS-AIRのyoutubeチャンネルで公開された。
動画後半はスタジオ内部をぐるっと一周しながら撮影しているので、
今年は開催できなかったオープンスタジオの代わりに、ぜひご覧いただければ!!

ちなみにこの動画は、S-AIR(札幌アーティストインレジデンス)が
1月8日、9日 に開催するオンライン・フォーラム「集合のダイアログ」のためのもの。
現代の文化創造において個と社会をつなぐ「集合」が果たしうる役割について、国内外のアーティストや実践者たちを迎えディスカッションを行います。
詳細は以下から。ご参加お待ちしております。
https://sairblog.wordpress.com/forum2020_dialogue/


SNSで一通り告知を済ませ、アトリエを暖めに行きちょっと梱包作業。
ゆきちゃん実家で年越しウイスキー、撃沈。
東京、1300人越えと一気に感染者数増大。

というわけで、こんなブログを読んでくださってる皆さま、
今年もお世話になりました。  

北海道の感染者数、昨日81人からの今日69人と依然多いまま。

さて先日収録に参加した、相模原のSUPER OPEN STUDIOの今年の目玉企画、
1day OPEN STUDIO

今日が一挙配信日なので、制作のお供BGMがわりに、付けっぱなし。
自分の出演した部分をチェックするつもりが、
ライブで生中継していた、オンラインバスツアーを、結局最初から最後まで通しでずーっと見続けちゃった。

毎年恒例で参加している各スタジオの様子を次から次へと中継で繋いで、
中の様子とかメンバーを紹介していきながら、コメントしていく、
まさにオンラインオープンスタジオ。


昨年訪問したスタジオがまた違って見えたり、行けなかったスタジオもたくさん覗けたので、
とても楽しめた。
自分もスタジオでキャンバス貼りながら見てるから、ちょっと不思議だ。
ちなみに11月中は各コンテンツがアーカイブされてて、閲覧できるみたい。

スタジオビジット・オンラインバスツアー
(前半)
https://www.youtube.com/watch?v=SsDizb0_FTs&t=2047s

(後半)
https://www.youtube.com/watch?v=in25byWImvE&feature=youtu.be

自分が登壇した、
ステイスタジオミィーテングVol.1は、
相模原とは別エリアの離れたアーティストスタジオに注目し、
そこでどんなことが起こっているのかをインタビューするという内容。
僕は大橋君と共にnaebono art studioの運営のことなどについて話しております。
動画はコチラ↓

ステイスタジオミィーテングVol.1
https://www.youtube.com/watch?v=GNwcacUCUoc&feature=youtu.be


それにしても今年のS.O.S、実際動画で見ていると、
1日ではとても追いきれない同時多発で盛り盛りなコンテンツ展開で、これだけの企画運営の準備や実行を想像すると、相当大変だったろうな、、、っていうところまで見えてきた。ここまでやって、毎年の大イベントのルーティンをキープしようとする態度はさすが。

naebonoは2020年は外向けの企画はお休みして、基本各自が淡々と制作してるモードにしてるので、新コロナ禍でここまで発信に意欲的に動いている様子を見て、勉強させてもらった気分だなあ。

去年もどっかで書いたかもしれんが、僕らのような地方都市の活動は、活動を知られること自体のハードルが高め、知られたとしても来てもらうハードルも高めなので、このような場に参加させてもらえる意義は大きい。
加えて、日本を回ってみると、各都市圏で形成された美術やら文化やらのコミュニティ認識もそれぞれ結構違うので、相互交流による価値観の混ぜ合わせは、それぞれにとって良いことがあるはずだ。

ということで、
2年連続で参加させてもらって、大感謝だし、何か良いことを置いていけてたのならたら嬉しい。


見れてないコンテンツを、明日以降もしばらく制作のお供にしよう。

動画では話しきれなかったけど、
札幌の美術の状況は相模原とはまた前提がだいぶ違うので、
その辺のバックグラウンドと一緒に自分らのスタジオの軸を作った背景とか意思も伝えられたらよかったな。
現代美術(とラクだから仮に言っちゃうけど。)の作家の少なさとか、過去にもいくつか集合スタジオは見かけたし、今もあるとは思うんだけど、だいぶ向いてる方向性も違うとか、その他、過去を振り返れば続かなかったり、トラブルを見てきたり、外向き要素が少なかったりしたスタジオも記憶にあったりで、

その辺の改善を込めてとか、根なし草のやけくそ感は、すごいある。

札幌から一度離れて、また戻ってきた美術家ってのも結構いて、
僕もそうだし入居者の半分くらいは外に出てきた経験がある。
戻ってきた人がガッカリしないで、お〜、温まってるところもあるじゃないか、
と安心できる美術の場を継続しておきたい。
結構内輪グセが強くて、コミュニティに入りにくい地域だと、外からきた人にもよく言われるからな。

都市の人口規模が大きいので、
そこそこなんとなく仕事しながら美術を続けることはできるし、内輪的に自己表現的に続けていれば、内輪的になんとなく評価もされてなんとなく展示の機会も与えられて、

逆にものすごい夢中にストイックに表現の追求をしてる人はどの世代も、
めんどくさがられて、 向上心を挫かれる、、、
あ、これ以上言うと愚痴になるので止めておくけど、

そこの部分を、どの世代でもやりがちな失敗のゾーンに陥らないように、
愚痴ってないで行動、態度でなるべく謙虚に(といっても非常に難しいのだが笑)、
なんとか拡げられないか、、、
と、 ジタバタしてたら運営4年目だもんな。

具体的なトラブルの話もあんまできなかったが、例えば最初3年くらいは何組か入居者が入れ替わることが多く、安定しなかった。抜けた際の次の入居者とか、入居者の美術への認識差があっても良いのか関係ないのか、とか。常に人づての紹介制で、結果現在は割と安定して、まあこの人は辞めないだろうし、現代美術をある程度踏襲してる、みたいなメンツになっている。

またトラブルというより、
プチ言い合いになったのは例えば、フリースペースを元々のの建物由来のボロい倉庫の壁を残した施工にするか、ぜんぶ白壁でホワイトキューブ状にするかどうか、とか。
ホワイトキューブ好きなのは画家だけだろ、建物の特性を生かすべきだ、いや、ホワイトキューブは撮影もしやすいし、展示のシュミレーションもしやすい、いや、その考え方自体に権威性を孕んでいる、いや、ホワイトキューブ権威を過剰に感じるのはむしろ90年代の価値観すぎて、その現代美術世代が作ったスペースはクセがありすぎて使いづらいし結果札幌にまともなホワイトキューブがなさすぎる、いや、だとしてもなんでウチがホワイトキューブを受け入れないとならないんだ、いや、モダンが終わったわけじゃない、権威ととらえずに一つのベーシックとして慣れておくのは悪いことじゃない、いや、壁の一部を古壁に残せばいいのでは、いや、使いづらくなるし特殊なスペースは作品や人を縛ることもあるのだってホワイトキューブの裏返しだ、いや、、、、、などの議論はなかなか大変なのである。

その他の、だいたいのプチ言い争いは、僕の口が悪くて度々怒られて、だいたい謝ることになるのである笑

プチはプチなので、全体としては、いまのところだいぶうまくいってる方だとと思っている。

先月、naebonoにて開催し大盛況となった、
「アート・アドバイザー 塩原将志に訊く!アーティスト、ギャラリー、コレクターのリアルな場」
全文をnaebonoウェブに掲載しました。


美術に携わる若手の皆さんにとって特に実践的な内容になってます。
僕も聞き手として参加し、文字起こしもやりました。アドバイザー・コレクター視点からみるアートの世界、アーティスト視点と重なったり全然違ったりで、めちゃくちゃ勉強になりました。
6万字を超えるボリューム、大変だったけど、内容のおさらいを兼ねて進められたので全然苦ではなかったです。塩原さん、田口さん共に、こんなに教育的な内容のトークの公開を承諾していただき、感謝の思いでいっぱいです。
ぜひ芸術の森で開催中の「球体のパレット展」と合わせて、ご覧ください!

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トークの様子

11月2~4日に、相模原市で毎年開催されているスーパーオープンスタジオ(以下SOS)に、

http://superopenstudio.net

なえぼのアートスタジオとして運営5名で参加してきました。

参加スタジオのひとつであるスタジオ牛小屋さんで交流展示形式でメンバーの小作品も展示してもらった上に、
バスツアー参加、シンポジウム登壇、懇親会、牛小屋メンバーでペインターの大槻さん家連泊し朝まで会話、造形大訪問、、、
リアルタイム投稿する間が全くないほど、寝てる時間以外は常に色んな方と密に交流し続けてました。得るもの多し。

僕たちのなえぼのアートスタジオは、改めてなかなかデカいスタジオなんだなとも実感。

感覚的にはSOSの参加スタジオ4つ分くらいの人数と部屋数があり、自前でオープンスタジオやイベントをやってるので、 SOSの縮小版のような集まりとも言えます。
なので、個別のスタジオとの比較はもちろんのこと、 SOS実行委員会やディレクターの動きも含めた運動全体のコントロールにも関心を持てました。
 

なえぼのにはアーティスト以外にS-AIRやコジカのビューイングルームなど入居しているなどの特徴がありますが、
1番違う点はなえぼのは公的機関や公的資金とは関係のない運営形態ですが、
SOSは、本拠地である橋本エリアが、3つの美大が近隣にあること、リニアの発着駅が作られること、米軍基地関連による再開発計画があること、ゆえの特異な現象として、あれだけの数のアーティスト(参加スタジオは20超え、飲み会だけで40人くらい参加、全体では100人超えとのこと)と行政が協力関係となっているところ。
これは良い意味で、異様な光景でした。
そしてアーティスト側と行政側両者の架け橋になるアートラボはしもと学芸員、加藤さんの存在の大きさや、
特に議題や問題意識を引っ張る役を引き受けている山根くん(今回直接やりとりしてくれたディレクター)や
千葉さんや井出さん始め、運営に関わるアーティスト達の大人なコミュニケーションの態度には実践を踏んできた貫禄があり、感銘を受けました。
中でも前乗りして参加したSOS夜会は、僕が聞いてきた検閲の議論で最も真っ当な内容のひとつに思えました。
同世代のアーティストと学芸員がテンポラリーな問題意識と知識を共有し真摯に共闘する姿は、極めて健全で理想的な状況でしたし、
またアーティストの群れとのやりとりで蓄積された行政側の対応体験のトラブルシューティングは、
近未来の全国の芸術文化行政の貴重なマニュアルになるんじゃないか?とも思えました。

僕らが参加することで与えられた命題は、
「アーティストが作品制作以外のこと(この場合共同スタジオを運営すること)をやる意義」と「他地域の美術コミュニティと連携することで何ができるか」の2点が大きかったのだと思っています。僕が登壇したシンポジウムではうまく答えられなかったかもしれませんが、、、
前者においては、立ち上げて3年経った実感から、
・メンバーの知り合いがそれぞれ訪問することや、札幌を訪れた関係者がアートスポットとして訪ねてくるようになり、スタジオビジットが格段に増えた。
・美術に対して真摯に向き合っているメンバーが持つ違った技術や考え方が、それぞれを助けるケースが増えた。
・近くに異なる技術・知識を持った作家がいることで、よりよい作品制作のアイデアに幅が出せるようになること。
・大きな共有スペースなどもシェアできるようになり、周りがアーティストばかりなので精神的にものつくりに向かいやすい場になっている。
、、、といった具体的なメリットが浮かびます。
作品を作る、作品を見せる、作品について話す、興味関心を共有する、、、ひいては美術の事を考えるための場、
アーティストが集まったならではの場として機能していることが、意義と言えます。
札幌では、行政主導の国際芸術祭や新しくできたアートセンターの市民交流プラザが、広く市民に現代美術を親しんでもらうプログラムを先導してくれていたり、芸術祭から派生してできた天神山アートスタジオが外部のアーティストを受け入れる機能をもつことで世界中国内中アーティスト同士の交流が生まれてます。
そのぶん僕らは少数で、わかりづらい、オタク的なオルタナアプローチを大事に、ここに来ればエッジの効いた地元作家の美術観が確保されている、という棲み分けができつつあるのかな(まだまだやるべき実践は山ほどありますが)、と思います。
ただ、元々は物件情報がたまたま降ってきて、見に行ったらその空間に、皆がすっかり心が奪われてしまったから引き受けた面もあるし、意義以前のきっかけがスタートです。
運営で制作の時間が取られるという点に関しては、制作と同じくやりたくてやっている行為なので自身のためになっていますが、制作と運営の比重のバランスは常に考える必要があり、運営が無理の出ない範囲で収まるように気をつけています。

後者においては、
今回ずいぶん近い距離で、違う地域の方々と、作品作る人、観客との間をつなぐ人、ごちゃまぜになって直接密な交流をすることができ、それぞれの状況、問題意識を共有しました。例えば高知県美の塚本さんともたくさん話せて(翌日橋本からあざみ野の「しかくのなかのリアリティ展」クロージングに乱入した組)、高知への精神的距離が縮まったり、今度行ってみようかな、という候補になるだけで視界範囲が拡がります。どのエリアの人からも、ウチは閉塞感があるからそっちは羨ましい、とよく聞きます。隣の芝は青い、札幌も高知も、名古屋や京都や福岡も、僕らからは首都圏に見える相模原ですら、なんだなあと。
全国それぞれのエリアに、なんか面白いヤツらがいるらしい、と認識し合って適度に行き来することは、全てのエリアにとって健全なことであるはず。移動や異文化に触れること自体が、新しいアイデアへの刺激のひとつ。LCCで全国の移動もしやすくて、ネットで自分たちの活動を発信しやすい今らしい動き方を意識的にしていきたいです。
また、今回なえぼのは人だけでなく作品も送って展示してもらえたので、輸送や経費の問題はあれど、作品を含めた相互交流は大きな意味を持ちます。
嬉しかったことのひとつに、絵画教室に通っている小さなお子さんが、僕の絵を鉛筆で模写して「カラシャ」と愛称をつけた作品を見せてくれたことがありました。
「なんでカラシャなの?」「カラフルでシャボン玉みたいだから!」良い、そして地と図のニュアンスが理解できてる!
以前から知ってくれているお客さんも見に来てくれていたみたいで、嬉しいです。

言うまでもなく、沢山のアーティストの作品を一気に見ることができたので、刺激をもらうこともできました。
まずはSOSの皆さんの作品と人をなえぼので招聘し、相互交流が実現できるよう計画します。

僕らなえぼの運営メンバーもそれぞれ持ち帰ったことは様々だと思うので、そのうち改めてなえぼののウェブサイトに、 SOSレポートできればと思います。
連携を実現していただいたSOSの皆様、本当にありがとうございました!!!!!!

今年度のS-AIRの招聘作家の1人、Yan Leiがひと月前にやってきた。
事前情報でびっくりだったのが、
キャリアのレベルが段違いのアーティストで、
ベニスにもドクメンタにも、昨年のグッゲンハイムの中国展にも出展しとる。
あら、ドクメンタ13で俺も作品見てるし!!!
えええええそんな作家がここに!?成果展はnaebonoでやるんだよ?
すごいことになってきた。

ヤンのウェブサイトはこちら
http://yan-lei.com


そんなビッグアーティストなのに、
なんつーかビッグ感を出すのが嫌そうな感じで、普通に話せちゃう感じ。
でも歓迎会とかで話を聞いてるとやっぱりでてくるエピソードがいちいちデカい。
そして、そんな現代美術ワールドがつまんない!って言っている。 
まあそれよりも一緒に酒飲もうぜ!みたいなノリだ。
スタジオの写真みせてもらったがnaebonoの数倍はありそうなデカさ、、、

その後、成果展のアーティストトークの聞き手になって欲しいとエスエアから任命された。
なんというプレッシャー!!でもやってみたい!
絵画に関する作家同士だからってことだけど、
ヤンはどっちかと言えば反絵画的絵画なアプローチなので、これまた大変だ。
何度か作品の質問をしても、返ってくる答えは例えばこんな感じ、

「自分が作ったものが芸術かどうかは気にしない。

昔は芸術の進路はどこにあるか考えていた。

芸術の未来を考えていた。

今は、芸術の枠を考えすぎると楽しく無くなってしまう。」


「批判されることも疲れるから、芸術の話に向き合うのはあまり好きではない。」
 

「アーティストというのは、考えるだけでいい。考えてものができれば、良いものができる。

芸術作品は、自分が手を出さないのが、ピュアな作品。

自然な考え、外部の刺激のままでものを作ることをつくりたい。

やらないこと、するよりはしないことが大事 

自分がああしたい、こうしたいと思いすぎると、良い作品ではなくなってしまう。

創作の時も、自分の考えを表すより、名誉とかお金とか欲しいと思った方が、

どんどん良い作品から遠くなる。」


、、、などなど。うーん、作品を見るに、きっともっと核心があるのに、
言葉ではなかなか引き出せない!! 


天神山で滞在制作してたので、一度制作現場も見に行って思考を探ったり、
一緒に飲みに行って、中国から呼び寄せたヤンのアシスタント君たちも一緒にカラオケ行ったりして、ちょっとずつ打ち解けてきた!?

そして展示
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奥がヤンの作品

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画像じゃわかりずらいんだけど、
3シリーズ展開で、それぞれ黒い紙、中に日本の雑誌などが入って封をされた黄色い封筒、OFFHOUSEなどで買い集めた既製品の額縁、を支持体に、活版印刷で意味深な状況を文字で表現してる作品。
たった一ヶ月程度の滞在で、ほとんどその辺で手に入る材料で、
いやまあちゃんとしたクオリティのインスタレーションになってるんだこれが。
ああ、経験値とはこういうことなのね、、、、 

肝心のトークの内容は、エスエアの今年度の冊子にまとまって載る予定! 
ちなみにヤンのサイトにはすでに中国語で公開されています!嬉しいね!!
http://yan-lei.com/pcca-x-s-air/


満足できるくらい核心に迫れたかと言えばやっぱりまだまだ全然足りず、
そんなこと言ったら本人のサイトにはオブリストとの対談とか載ってるわけで、
こちらの質問力不足に尽きるけれど、やるだけのことはやった!
とても緊張する貴重な体験だった。
ビッグになっても、 こういう感じの辛みがあるんだなあってのが垣間見えたのも、
リアリティがあったなあ。 


ちなみにヤンのことを常に追っているコレクターさんが展示を見にオープニングに来てて、

その後展示してた作品もほぼ買ってしまったそうだ。
巨匠とはそういうことも起こるんだな、、、。

夏のnaebono art studio、ダブルイベントです。
 

その1
9月1日まで開催中のMEXICADO展は、アメリカとの国境沿いに住むメキシコのアーティスト17名の展示となっており、普段なかなかお目にかかれない内容となっております。

MEXICAIDO

会期: 812()~91()

入場は予約制になります。

14時から20時まで1時間毎の時間予約となります。

希望日の3日前までに、氏名、連絡先、希望時間をお書きの上、

Fbnaebonoページ、及びnaebonoyamamoto@gmail.comまでご連絡ください。


81914時〜 オープンスタジオ時

9119時〜 クロージングパーティ時

は、自由に入場することができます。

詳細はこちら
http://www.naebono.com/archives/664

メキシカイドウ
 




その2 

19日14:00からは久々のなえぼのオープンスタジオ!
僕は制作途中の現場をそのまま公開することになりそうです。
19日に来場された場合、MEXICADO展も自由に観賞できますので、オススメです。

19時からはパーティやります。晴れたらバーベキューもやる予定なので、

ぜひお越しくださいませ~~~!
http://www.naebono.com/archives/660

オープンスタジオ
 

僕らの運営するnaebono art studioと、S-AIR(札幌アーティストインレジデンス)共同で行った座談会をnaebonoウェブサイトに公開しました。
僕も参加、編集と直接関わったコンテンツなので、ぜひご覧ください。

naebono Talk 02
naebono×S-AIR共同企画
[高橋喜代史 & 風間天心のレジデンスW帰国 座談会]

http://www.naebono.com/naebonotalk/naebonotalk02-1

共同運営しているnaebono初の読み物コンテンツができました。

naebono Talk 
進藤冬華 「アメリカ滞在報告&札幌で制作活動を続けること」

2018年1月7日に開催したトークイベントの内容を元に、言いそびれたことや答えきれなかったことなどを、
ウェブ用に新たに加筆・修正を加えたバージョンです。全5回に分けて掲載しましたので、ぜひご覧ください。

http://www.naebono.com/archives/460  


2人の作家性の違いから、美術への向き合い方を色々考えられる内容になったと思っています。僕は聞き手の役割でしたが、間接的に自分の作品の話もけっこうしたような気にもなっています。


トークの最後に、ご協力お願いしますと投げかけてしまいましたが、
まず最後まで読んでくれるだけでも十分チカラを貰えます!笑
もしおもしろかったらシェアやクチコミなどで拡散してもらえれば、
またこれを叩き台にさらなる議論に発展してもらえたりすれば、とても嬉しいです!!


なえぼののopen以来2度目の全体オープンスタジオ。
今回は入居しているS-AIRの招聘作家の成果展とのコラボという形でやってみた。
S-AIR展示に向けて、フリースペースの整備もメンバー自身で行った。
まだまだ完全完成はしていないが、オープンから半年経って形になってきている感じがする。
ウェブサイトとFacebookページをメインに宣伝しながら、まだまだ面白い場になっていくよういろいろ考えているところ。
会期土日2日間で130名くらいの来場者が。ありがとうございました!

以下、展示風景。

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僕のスタジオは小さい新作と、制作中の状態をそのまま公開。

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ウェブサイトがついにオープン!
naebonoメンバーの武田さんが激務の中作ってくれた。
作品だけではなく、DIYからウェブ制作までなんでもできるメンバーがいると心強い。
http://www.naebono.com 

公式オープンまでもう少し。 
毎日リノベしてたら、いくとこいくとこでこの建物はどう施工しているのかを観察するようになった。
壁と天井のキワとか、ネジ打ちの位置とか、壁の材質とか。 

4月の頭に突然、大きな空き倉庫があるから見学してみないかという話が舞い込んできた。
連絡をくれたのは、去年Think Schoolの講師をした時に生徒さんだった方だ。
スクールで僕のスタジオを公開して、美術家が倉庫の空きをアトリエに使いたいケース及び、
もっと広い場所を希望してることを話したことを気に留めてくれていたようで、
仕事の関係上、空き倉庫の情報をたくさんもっていて今回の倉庫は美術家のスタジオにぴったりと思ったのだそう。

早速見に行ったら、こりゃあデカイ!2フロアで273坪だって。天井高もいい感じだし、
改装すればかなりいい線いくはず。
ということで、シェアスタジオとしての使用を前提として、近い作家数名に声かけ相談することから始めたのだった。 

少し前のブログで、自分は自分の仕事に集中するために他のプロジェクトなどからは距離を置いてるといったことを書いたばかりなのに、シェアスタジオの言いだしっぺになるとは思ってもいなかった。
が、今のスタジオはもう現状狭すぎて、必要制作量に対応できなくなってきている。
こちらの倉庫に移れば、理想の広さになる代わりに、シェアスタジオのリスクを引き受けねばならん。
さあ、どうする。
考えられる問題点は、
お金の管理問題、入退去のトラブル、施工予算、保険、
挙げればキリがない。どんなシェアスタジオでも必ず問題が起きるので、
ある程度先読みした上で運営の基本システムをできるだけ先に構築する必要がある。
その労力を費やす意味はあるか?

決め手その1は、あまりに魅力的な倉庫そのものだ。
場の力がとても良いのだ。いままでいくつかの倉庫を見学してきたけど、段違いでなんでもできそう。

決め手その2は、声かけしてシェアスタジオ発足初期メンバーとして揃った顔ぶれだ。
遠慮せず物言いができる信頼関係、収入が安定していること、札幌拠点の作家として作品制作をしっかりやっていること、
これらの条件を満たしているこころ強い皆さんが、シェアスタジオ構想に前向きになってくれた。

こうなれば、やってみるしかないでしょう。
こう次々に可能要素が揃うことはそうそう無い。きっとそういうタイミングなんだ。

建物を正式に借りるまでもなかなか大変で、2度ほど話が流れそうになった。
それは賃料とブース面積のバランスが取れなかったり、集金係の責任問題、
十分な入居者が集まらないなどが原因で、
都度、集まったメンバーでやりとりをし、解決のためのアイデアを出し合った。

運営システムについては、
まずオーナーとのやりとりや集金関連など管理全般は最初に話を持ってきてくれた方にお願いした。
話を立ち上げてくれた上にここまで面倒みてくれる人、なかなかいないよ。とてもありがたい。
こちらは誠意と熱気と面白さで信頼返しをしなければ。

次に初期メンバーを一つのユニットとして独自の連帯責任制を採用、
運営システムをコントロールするコアメンバー制にすることにした。
この体制をできるだけ長く良好に継続できれば、起こりうるトラブルにもある程度は対応できるはずだ。

どんなことが問題点で、どうすれば解決の可能性があるのかを想定し提案するのは結構難しいのだが、
幸い、コアメンバーは気づきの着眼点がうまくバラけているし、それぞれがいろんな得意分野を持っており、今の所思ったより話し合いがうまくいっている。
それでも、常にトラブルに対して先読みの警戒心が必要だと思う。


建物の芯は、あくまで作家のスタジオがベースだ。
コアメンバーが、運営で負担を背負いすぎると本末転倒なので、
できる範囲で協力して、作品制作のためを最優先にすることを忘れてはならん。

札幌は近年、芸術関連のイベントがめちゃくちゃ増えてそれは良いことなのだが、
腰を据えてちゃんとした質をもった作品制作を基盤とする場があるべきだ。

コアメンバー以外の入居者はいろいろ声かけしているが、期待できる数組が前向きな検討を始めてくれた。実現すればスタジオ機能以外にも、多目的化しておもしろくなりそうだ。
外からの新風を入れるためにイベントスペースも確保したので、
どう使えばいいのかも検討していこう。

というわけで、わずか1カ月ちょいで、話が二転三転しながらも、ものすごいスピードで、
契約が完了してしまった!

さあもう後には引けません。全力で作家力のある場にしていこう。
とりあえず、
各作家のブースわけと、想像するだけで恐ろしい冬の寒さ対策のためのリノベだ。

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