やまもとのグレーゾーン

札幌の絵描き山本雄基のきまぐれ雑感と日常。

カテゴリ: 美術

朝5時過ぎに寝て9時起き、
ん〜これはなかなかツライ。快晴、暑い。
向かったのは紅桜公園で開催中の紅桜アートアニュアル、同じスタジオの進藤冬華さんのツアーイベント=作品に参加。
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火山灰土の山を削って作った道の前にて。
10名程度で、説明を受けながら公園中を巡る。
前々から、妙な雰囲気を感じる公園だったが、
その原因をひも解いていくような内容。元々の公園所有者による個人の熱のこもった思いが場に宿ること、そこに敬意も払いながら、慰霊のような行為を共有して、場のバトンを渡す役目のような作品で、このようなアプローチの作品は3年目のアニュアルで初めてだな。毎年みにきてる僕も全然気付いてなかったことばかりだ。

キャンプスポットもできてて、人で賑わっていた。

ツアー後、生ラムを楽しみ、昼からスタジオへ。しかしすぐ昼寝に入る。
起きて、トークイベントの問い合わせ処理、メール返信など経て、制作。
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台北用の大作、終わりが見えてきた。それでもまだ点数ノルマが足りない。
しかしずーっと、思考力低下状態で眠く、日が変わるくらいで撃沈。
早起きして日を浴びて緑の中を歩きながら文化に触れるという健康的な1日も、夜型人にはヘビー疲労。

主に札幌近郊を活動拠点に、芸術活動に携わっている方を対象にした、
勉強会を共同企画しました。9月9日21時から、有料のオンラインイベントです。
詳細はリンク先で!
https://www.naebono.com/archives/1375



色々な流れがあって、企画に携わることに。
何度かブログでも触れてきた文化行政のミーティング機会などで、
塩谷さんの本をレコメンしてたら、同じ現場にいた羊屋さんが、
塩谷さんと顔見知りだからなんかやれるか頼んでみると言ってくれて、
あれよあれよと実現に至る。
NYと中継イベント、まさかこんな展開になるとは。
とはいっても有料オンラインイベントやったことないから、
昨日に引き続き今日も告知宣伝の準備やら集金方法やらで何もかも頭がパニックになりながら、
もうかなり羊屋さん頼りで、ようやく形が整ってきた。

札幌の現代美術のひとたちと舞台芸術のひとたちがわーっと同時に集まった勉強会になりそうで、
そんなのも僕は初めてだ。 

このタイミングでこそ、自分の住んでる街の芸術の現場発で、
街の文化政策の根本的な意義とか、
作家としての向き合い方、考え方を勉強して、共有するチャンスなのだ。

新コロナ禍が落ち着いても、今までみたいに気軽に飛行機で移動できるのかもわからないし、
自分の街の芸術文化を盛り上げてかなきゃねえ。

もちろん、第一は制作なので、今日も手は休めんぞ。

しかし、ちょっと前まで古本で気軽に手に入れることができてた 『ニューヨーク 芸術家と共存する街』、
今アマゾンでも品切れになってしまった。数%はここ最近の僕の吹聴が原因かもしれん。
絶版になってるので、再び手に入りやすくなると良いのだが。 

札幌市文化部へ。
文化芸術の現場と文化行政の意見交換の場をHAUSの主要メンバーの方々と市議の方々が作ってくれて、
僕も先月の意見交換会の流れから今回も呼んでもらえたのだった。

前回は、僕以外の参加者の熱に圧倒されて何も話せず終わった反省がある。
この場に来といて役立たずでは存在意義なし。
そもそも、僕は対面での会話による反射神経は鈍い。
話す内容を考えてるうちに会話がどんどん進んでいくのだ。
周りからは逆のイメージを持たれてるかもしれないが、
トークイベントの際なども、
鈍さを緩和するために事前に内容の骨組みを作ってから挑むほうが遥かにうまくいく。 
なので、4日前にこのブログにメモした文化行政への提言が、今回の骨組み。 

やはり他メンバー(特に演劇、ダンス、劇場の関係者)の熱意や切実さは、
日頃から問題意識を強く持って訴える態度も作られている感じがするので、
新鮮に映るし、話の持っていき方などに発見もある。
と、感心しているだけではなく、なんとか前回よりは提言メモから抜粋して意見を述べ、
提言メモそのものも提出させてもらえた。 

なぜ自分がこのような場にいるのかは未だ謎感覚なのだが、
新コロナ禍による影響のひとつと、単純にこれも美術研究の興味関心の一端なんだよな。
できるだけこういうやり取りの中で獲得できた知見はシェアしていきたい。
 

ミーティング終了後に、市役所から出て徒歩1分。
SCARTSの『ことばのいばしょ』展みた。
https://www.sapporo-community-plaza.jp/event_placesofwords.html

街の真ん中で折笠良さんのアニメーション作品をデカい画面で見れるのは良いな。
これも大画面でみるとやっぱ違う。



その後、通常制作。
日中30度超えでスタジオ内も27度。これでヤスリはかなりキツい。バテる。
暑すぎて思うように進まない。
それでも、今年はなあ、我ながらギッシリ仕事してると思います、、、


制作のお供によく爆笑問題のラジオを流しているところに、
田中夫妻の新コロナ陽性のニュースがでてびっくりだ。 

先日アシ君が教えてくれた、
トオンカフェの藤田冴子個展『WASHING MY PANTY』をみに。
https://toovcafegallery.shopinfo.jp/posts/9464544?categoryIds=1097132

おそらく自身の性被害体験と性暴力のニュースをポップさの中に濃く絡めた直接的な表現で、
久しぶりにこのような、社会に切り込んでいくようなコンセプトの作品を体感できたのは良かった。
作品の強い個人の感情とテーマに異論なし。かつアシ君同様、異性として学ぶこともある。
まだ大学在学中の作家さんで、素材の選び方とか造形的な提示の仕方は粗さがあるように見えたし、
プラス美術作品として提示する必然、みたいな部分はまだまだいけそうだが。

札幌もなんとなく尖った作風の作家は減ったよなあ。
過去を振り返れば、いろんな尖った若手がいろんな理由でいつの間にか活動をやめていった。
若い頃は若さゆえの勢いや世間知らずがプラスに働きガンガン制作をしていた美術家も、卒業後のいくつかのハードル例えば、仕事、人間関係、恋愛、家庭、を経て、
美術への極度の嫌悪を感じたり、あるいは社会の中で幸福を見つけたり、
何らかの影響から、続ける意味が無くなるんだろう。
それで何も問題ないんだけど。

勢いある学生の展示を見たときは、
卒業したあとも、まず粘って5年くらいは続けて欲しいんだよなあ、、、
と思うようになってしまったな。藤田さんも然り。



次はsalon cojica、小林知世 個展 『暗闇で手紙を読む』をみに。
https://www.salon-cojica.com

同じスタジオの若手なので制作中の様子も度々見ていたけれど、やはり展示会場は作品配置の緊張感が全然違うので、印象もガラッとかわる。そして意外、作家初の個展とのこと。
寒い地域の作家らしい独特の静寂さや、フィルタをかけられたような色彩、展示室入口からバンと目に入ってくる、DMに使ってるコントラスト強めな建物の中が描かれた作品の捉えにくい床面の不可解な状況とか、オーガンジーの皮膜越しにみる木板のドローイングとか、クールで格好よい。
以前見た展示の際は、絵画とオブジェが連結されていたり、タイルや金属プレートなど冷たく硬質なモノが敷かれているなど、空間に迫り出したギミックとかインスタレーションで見せていたけれど、
今回はコジカの空間を考慮しているのかシンプルなペインティングスタイル。

札幌で若世代ペインターの充実した展示が見れるの嬉しいよな。
なえぼの始めた4年くらい前は、30後半過ぎた中堅作家みなで次世代の層の薄さに危機感を持っていたけれど、
今気づけば26~7歳くらいの世代に集中して面白い表現をしてる作家たちが増えてる印象だ。 
そのさらに下の世代にも影響を与えているっぽいし。
小林さんもちょうどなえぼのに入居してきた頃、
美大卒業後の社会生活の中でひとつハードルを飛び越えた美術作家の覚悟を感じた。
そこから展示機会もどんどん増えてて頼もしい。

若い作家も伸び伸び制作発表できる場作りに、
中堅になりつつある?なった?自分も少しくらいは自分の活動を通して貢献していきたいものだ。

ギャラリー巡ったのち、通常モード。
と思ったら、突然アポなしで道外からスタジオ訪問があったり。おもしろい美大生だった。

制作制作。
今年は大きめの作品を多めにつくってるので、
メディウムの消費が凄まじい。3リットルボトル40個追加注文した。 

いつもと変わらぬ制作日々、、、だけでなく、
近いうちにまた文化行政への提言に関するイベントが発生しそうで、
以下2項目について意見を用意しておいて欲しい、とのことだったので、
前回のように何も言えず終わらないためにも、意見を書いてみた。
ここ2ヶ月でちょこちょこ情報収集して、ちょっと考えがまとまったきた。
(知り合いの方、、、訂正とか追記すべきことありますかね、、、?)
下書きまま。↓


1. 美術作家の 現場の状況について

まず僕自身は、3月以降展示予定が立て続けに中止となり、一時期収入の激減が危ぶまれました。
その後は幸いオンラインでの代用展示機会と持続化給付金で、活動できています。
しかし、9月予定だったドイツでの個展が10月に延期になり、僕自身の渡航ができなくなりました。
現地の関係者やお客さんとの交流も職務のひとつなので、その機会がなくなってしまいました。
作品輸送に関しても新コロナの影響で作品の輸送費が普段の3倍(50万円前後の値上がり)になっていたりと、これからもまだまだ影響は続きそうな状況です。

同じスタジオの他美術作家でいえば、やはり展示の機会が失われたり、ひとによっては頻繁に道外国外への取材が頻繁に必要なはずが移動規制されるなど、多かれ少なかれ活動の規模を縮小せざるを得ない状況になっています。中には、新コロナ禍そのものをテーマに含んだプロジェクトを開始した美術作家もおります。活動自体は進んでいますが、初めから予算規模も大幅で感染対策などにも準備が必要で、経済的な状況は常にギリギリでやっているようです。


またアーティストに限らず、S-AIR(札幌アーティストインレジデンス)というNPO事務所も同スタジオに入居しており、僕も理事を兼任しています。
ここでは20年に渡り、主に北海道の美術作家の海外派遣と、海外の美術作家の札幌滞在制作の受け入れを続けてきました。現代美術の第一線で活躍する美術作家から若手までが札幌で新たな発見をし、作品に昇華させていく姿を目の当たりにしたり、アートを通じた国際交流は僕自身の活動や周りの美術作家にも大きな影響を与え続けてきました。
新コロナ禍では、交換派遣業務が完全に停止してしまっています。このままでは来年以降の存続も難しい可能性がでてきます。

今回の新コロナ禍で、特に現代美術の作家が基本的に個人主義で、映画、演劇などの領域に比べ、文化行政に対する意見や要望を持っている人自体が、残念ながら少ないことを痛感しました。
元々副業を持ちながら制作活動を続けている美術作家が多く、そもそも金欠状態で限られた時間を削って活動しているので、一見、新コロナ禍による影響も危機的状況には見えず、いつもギリギリなのが当たり前だという感覚です。
しかし一人ひとりにヒアリングしてみると、副業の時間短縮や変則的な職務内容で激務化し、ただでさえなんとか確保してきた制作時間、資金が減少するなどの状況も発生しています。

そもそも、職業としての美術作家活動の実態は、本人たち以外にはほとんど知られていないと言えるでしょう。美術館や国際芸術祭で展示経験のある美術作家で、しっかり報酬のでる展示の際でも、作家活動時間を時給換算すればおそらく400円以下程度の収入だろうと話していました。
日中に副業をこなし、仕事上がりの空いた時間を消費して作家活動を続けることは、「自由に好きなことをやっている」というイメージとはズレがあり、大変厳しい状況を受け入れながら皆活動しています。睡眠時間を削り、友人と会う機会を減らし、娯楽に使う時間を削り、作品制作や制作のための調査研究をしているのです。展覧会の依頼が入れば、締切も発生すると同時に、職業としての専門性が求められます。

制作発表に限らず、書類作成、ミーティング、撮影、運送、スタジオ確保、権利問題、経費の管理など、業務も多岐に渡ります。良い作品を作れば必ず商品として販売できる、という世界でもありません。

このような日常的な美術作家としての活動状況を今まで公に示してこなかったこと、当事者である美術作家も、文化を享受する市民も、「好きにやってるんだから辛い生活は当たり前だ」という認識を当たり前の事実として捉えて、何の改善策も考えてこなかったということが、みえてきました。

今回の新コロナ禍で僕自身も美術と文化行政について考え直す直接の機会になっており、わかってきたことは、作品で生計を立てようとする活動は、文化活動というより経済活動の側面が強いのだということでした。
作品形態によっては、作品の質が高くても販売が難しいケースが多々あります。 
「作品だけで食べられるのがプロだ」という意見もありますが、必ずしもそう言い切れないのです。
(作品だけで食べていく美術作家は「プロ」というより「フルタイムアーティスト」と分類されます。)
作品を販売して生計をたてているか否か、という以前に、
文化活動を担うこと自体の権利を、美術作家としてもう少し声高に訴えてもいいのではないか、
と今は考えています。

緊急事態宣言下の自粛生活において、必要なものは「文化」であったと確信もできました。映画、音楽、漫画などに助けられた人々は沢山いると思います。展覧会が見れなくなって辛い、という声も沢山聞こえてきました。人が豊かな精神を保ちながら生活を営むために、文化は不可欠です。生活保護や福祉と同列に、「文化活動の保護」という意識が少しでも芽生るきっかけにしたいと思います。




 2. 今後必要な支援策について

新コロナ禍が長期化するとすれば、更なる経済的な被害が拡大することが予想されます。
現状、各自治体の文化助成金における問題点といて考えていることは、成果物や企画の提出に対しての補助がでるという形式を採用している場合が多いことです。
要項の内容に合うような作品を、イチから考えてそのために作ることは、普段の制作とは全く別の時間と労力を使うことになります。付け焼き刃で助成金の獲得のために企画、作品を作ることに大きな意義を感じることができません。企画作品を提出できる作家のタイプも限られてしまいます。

そうではなく、具体的に文化芸術活動の従事者の種別を決め、経済的に困窮している証明ができる場合、あるいはこの時期ならではの新しいアイデアをすでに持っている場合、というような条件に変更し、申請をしやすい、活動をしやすい形式の助成制度の方が効果的だと思います。(京都市文化芸術活動緊急奨励金の助成制度を下敷きに考えています)


また、新コロナ禍とは別に、これからの継続的な振興策について。
これは必ずしも金銭的な助成の形態でなくても良いのかな、とも思います。
1の後半でも触れたように、新コロナ禍を機に、まずは日常的に「文化活動の保護」の意識を多くの人が持てるような啓蒙的活動が少しづつ拡がるとよいな、と考えています。ここの意識が変化するだけでも、僕たち文化芸術従事者の活動ストレスは大きく軽減されるはずです。
書類作成、ミーティング、撮影、運送、スタジオ確保、権利問題、経費の管理など、多岐にわたる業務のサポートに当たるような相談窓口や、協力者のあっせんなどもアイデアに挙げられます。
例えばスタジオの確保。美大生が卒業する頃には、それまで制作してきた大量の作品をどこかに保管する問題に突き当たります。結果、実家の押入れを圧迫したり、ハミ出た作品は泣く泣く廃棄します。工具などを使う作業を伴う作家は、アパートでは騒音問題で制作ができません。制作スタイルによる必要な制作空間の要求と、それに応えられる古民家や倉庫などの物件情報を持っているかたを繋ぐなどのサポートがあると、助かる作家はたくさんいると思います。
また、展示やコンペのプレゼンでは、作品や展示の高画質写真が必要です。機材を準備するだけでも高額な費用がかかるので、美術家に興味関心があり少し安めに、あるいは無料で撮影をしてくれるカメラマンをリストアップして紹介する、なども嬉しいサポートです。思いつきの一例ですが、サポートのアイデアはアーティストが集まって意見交換すれば山ほど具体案が出てくるはずです。 このようなサポートであれば、専門的な教育を受けたひとの選定であったり、質を伴う審査の点で頭を悩ませる必要もありません。歳をとってから独学で制作を始めたようなひとでもサービスを受けることができる点で、民主的でもあります。

加えて、これはあくまで長期スパン前提の提言となりますが、
近年、美術館のコレクション常設展示の重要性が全国的に見直されています。 その土地でしか見られないローカルな美術史の提示により、訪問者は斬新な印象を持ち、地元で活動する美術作家にとっては、自分の立ち位置の発見やロールモデルを地元の美術の歴史から参照することが可能にもなります。
道立近代美術館も少しづつ意欲的に道内作家コレクションの常設展示を展開しています。 札幌市では芸術の森美術館にコレクションがありますが、現状の常設展示室が小さすぎてほとんどのコレクションを活用できておりません。また、中堅作家の作品購入も長い間見受けられず、寄贈でコレクションが増えている程度と聞きます。
既存の建物の活用でも十分なので(スカーツ建物内にブースを作るなどの代案含む)、美術館の常設展示ゾーンの拡張と、札幌ゆかりの美術作家の作品買い上げによるコレクションの充実を図ることで、専門的な芸術家の大きな支援にもなります。
正直、札幌と同等の主要都市では、現役のベテラン、中堅作家の作品が購入によりコレクションされている現実も見ているので、比較するとこの場所で専門的な芸術文化活動を行っていこうとする意思に、たびたび不安が生じます。
すぐには実現は難しいとは承知しておりますが、文化政策のドリームプランに入れておいていただけると嬉しいです。

わざわざ連休にアトリエ以外にはいかないつもりだったのが、
セントラルに注文してた品が届いて、今日の作業にそれが必要だったので、
受け取りに行ったのち、昨日のK画伯がウチの車に忘れてったカードケースを届けるハメに。
お詫びに高級なオレンジジュースをくれた。

制作。
普段はアシ君に任せる支持体の作業を、
スケジュール上、久々に自分でパネルからキャンバス張りまでやってる。

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木製パネルだけじゃなくて、
下塗りされてない綿布自体からも、アク?ヤニ?って結構出るのだ。
制作スタイル上、層を重ねていけば大丈夫なのだけど、
Vehicle影響からの最近の下地作業見直しで、下塗りの段階でベストなアク止め方法を探っている。
灯台下暗し、ホルベインからもヤニ止めシーラーが発売されてることを今頃知って、
これを注文してたのだ。
170cm正方形の綿布に、2回塗りで1リットルも使う。 約5000円。
高額だけど、止まり具合はかなり有能っぽい。
この後の作業に支障がなければ、このスタイルでしばらく様子をみよう。
ちなみにホームセンターなどでよく売ってる、
カチオン系アク止めシーラーは、この手の作業にはあまり効果がない。


途中、アトリエメンバーと話す。
昨日の会話内に無礼があったと、お叱りを受ける。
心当たりもあるので、その点は謝って、言い訳をし、大事には至らず。
大人になってもそこそこ怒られる僕の、
何か相手に着火させる嫌な言い回しや態度があるようだ。
ギャラリーとの仕事やスタジオ運営から、たまに自覚する。

ところで新コロナと活動状況についての会話だったんだけど、 
あまり短スパンで変化する状況に意識を振り回されすぎるのは嫌だし、
今は考えられることがあるのならば、
芸術の体験が生まれる源の部分とか、創造性の根本の位置を確かめる機会にしたい。
例えばもっと深刻な事態になり、物流がさらに悪化して、
画材の生産がストップ、必要材料が一切手に入らなくなったら? 
仮にそこで作品が作れなくなるんだったら、
僕の芸術観は、しょせん絵具やキャンバスというフォーマットに依存して成り立ってた、
ということになる。それが「画家」なのでいいのかもしれないけれど、
そのある意味脆弱性って、今まで蓄積してきた芸術への考えを前提にすると、
ちょっと本意ではない部分もある。
だとしたら、別のメディアの選択可能性や、 条件の組み替え可能性を、
シリアスに考える機会になっていいはずだ。

でも結局、現状は今まで通りの制作が結果的に続けられているし、
そこに新しい問題系も山ほどあるし、
締め切りもたくさん差し迫ってきて、
自発的に別回路の可能性を選択する強い必然性もなく、
新コロナ禍は今のところ自身の表現の根底が覆されるような、
スーパーヘビーな外圧にはなっていない。 
スーパーヘビーを自分から望みたくはないけれども、
その並行世界への関心は心の一部にひっかかっている。
形として継続してるのは、このブログの更新のみ、、、

自分にとって画材の共有停止をイメージできれば、
密な環境が作品制作や発表の前提にならざるを得ない表現者のシリアスさは、
少しくらいは想像可能にもなる。
それでもやっぱり、ある前提条件、道具や場、移動などが崩れた際、
そのときに選択できる条件の中から何か面白いものことを生み出せる表現者には、
カッコよさを感じるんだと思う。

昨日もそういう話をしようとした、つもり、だったのが、
全然伝わってなかったということだな。 


ハエがまたひと晩7匹、第二波的に増えてきた。
仕留める能力も上がりつつある。
相変わらず発生源がわからん。。。不可思議だ。

前日の睡眠調整を経て4時間程度は寝れた。
朝8時に函館に出発。
北海道外の人にはなかなか理解されないが、同じ北海道とは言え約260kmある。
車で5時間弱だ。時間感覚的には飛行機で東京や大阪や福岡に行くより遠い。

ただ、札幌 - 函館ルートは、
中山峠経由で途中から高速にのるコースだと、
絶景ポイント(羊蹄山→洞爺湖→有珠山、昭和新山→駒ヶ岳の火山と湖コンボ)が連続するので良い。
行きの羊蹄山と洞爺湖の眺めは撮り忘れたけどキレイに見えた。

少し遠道して、伊達の牧家(ボッカ)で昼食、岩のりとサーモンのパスタ。
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そこから高速、
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駒ヶ岳はキレイに撮れた。

高速は非常に空いていたので、早めに到着した。
ゆきちゃん、運転交代せずフル完走。
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函館美術館、初訪問だ。
五稜郭公園のすぐ隣でロケーションいいなあ。
入口では、検温とメアド登録あり。

お目当ての、
『《道産子追憶之巻》と日本画の名品道立近代美術館コレクション選』

僕と同じnaebono art studioに入居してる、葛西由香画伯の美術館展示、めでたい!!
これをきっかけに、旅行しにきたのだ。

点数もそんなに多くないし道近美のコレクション+いつも見てる同スタジオ作家の作品なので、
見慣れてる作品がほとんどで、気持ちに余裕持って見れたせいもあり、
展示構成とか日本画そのもののことにも注視して見てみた。


今展はあくまで道近美の名品展 + 葛西さん個展
なので、日本画に関する何か仮説を検証するようなタイプの展示、というわけではない。

それでも、大まかな軸として、
日本画は主に顔料と膠で描かれていて、近代に作られたジャンルと説明があり、
日本画黎明期の代表的画家の作品、松岡映丘の教え子多めなラインナップ、
比較してその後の世代の中で北海道にゆかりのある特に広めの空間を使って岩橋英遠と片岡球子をピックアップ、というような時系列で展示は作られており、
最後に「道産子日本画家のニューフェイス」として葛西さん展でシメているという構成だった。 


ところで日本画といえば、2010年代の日本画界隈は、
「日本画とは何か?」みたいなシンポジウムとか議論が活発に行われていたような印象がある。
今現在も進行形で、当事者となる各作家が「日本画」という名称やジャンルをどう咀嚼するか、
コミコミで捉えられるケースも増えた。関係書籍も何冊も刊行されている。
先日も、芸大の某日本画の先生の発言が一部の間で問題になっていた。
僕はその領域あまり詳しくないので覗き見感覚で議論を大雑把に見聞きしてる程度でも、
今日本画家を名乗る各々の方が「日本画」をどう咀嚼して表現しているのかは、
つい関心持ってみてしまいがち。
 
北海道でそういう日本画論って、どのくらい活発に交わされてるんだろうか。
「北の日本画展」というグループもあるみたいだけど、
日本画そのものを問うようなタイプのアプローチはあまりされていないようだった。 
日本とはいえ、気候、住居の形式も、文化需要もだいぶ違って、城下町もなく、
近代に西洋式の開拓、農業が取り込まれたエリアで、
わざわざ日本画のアイデンティティを守るような在り方って結構不思議な話。

今回の展示でも、
途中で日本画に使われる画材の紹介が、道具や膠などの材料を並べながら紹介され、
おお、やっぱり画材選択の共通性を依代に強調気味にしてしまうのか〜!?
とも思った。

そういえば「東北の日本画」とか「愛知の日本画」とか「ドイツ(および諸外国)で見る日本画」
みたいな現象も、少なくとも僕は見た覚えがない。イメージとしては東京、京都がくっついてくる。
調べてみると「九州ゆかりの日本画家たち」は2009年に熊本現代美術館で、
意欲的な企画展が行われていたようだ。

道近美のコレクションだけでも、こういうネタを独自の軸に組み込めそうにも見えるので、
時流から考えればそこを展示内容に絡ませなかったことに、やや勿体なさは感じた。

葛西さん自身も作品や本人の発言から、
そういう昨今の日本画論の影響を学生時代から大きく受けてるはず。
画材、細い輪郭線、最低限の陰影、背景を色褪せたようなライトグレー込みの黄色系をベースに設定して、単色で床面と背景の同時省略表現するなど、
ここ押さえとけば日本画っぽくなるでしょ、というようなスタイルを踏襲しながら、
部屋の中や徒歩圏内の日用品などをモチーフに取り上げたり、
やまと絵を引用したりで、
従来の曖昧な日本画という様式の、パロディをやっているように見える。
日展や院展にも道内の日本画グループにも属していない。


今展ではたまたま連続して並んでいたのが球子さんと英遠さんだったので、
ちょっと強引に触れながら葛西さんと比較してみる。
 
球子さんのラスボス感はいつ何度見ても素晴らしいな。
日本画の世界でも大巨匠だけど、
作品から見ると日本画のドメスティックな枠内で収められてしまうには勿体ない、
イケてる「絵画作品」だと思う。
線の多様さもイメージのデフォルメも、時空間の混ざり方も複雑に備わってて、
膠にこだわらずボンドとかも使ってるみたいだし、
今のところ球子さん以上に、表現そのもので日本画を逸脱してしまうような揺さぶりをかけるような、
道内日本画作家は、現れていないんじゃないか。
まあ球子さんは出身が北海道で拠点は神奈川だったみたいだけど。 

英遠さんは、あくまで僕にとってはやや素朴すぎるところがあって、
「そもそも論」にぐいぐい深入りしていく美術筋(脳筋をえぐってくるようなヤツ)より、ドラマチックな自然を情感の表現に特化したタイプのイラストレーション筋(視覚快楽与えてくれるヤツ)としての優位性を感じる(道産子追憶之巻は特に)。そこはやっぱ評価されているポイントでもあるだろうし、いっぽうで作者の出身地と重ねた「北海道の自然」イメージを増幅させすぎてるようにも思ってしまう。


たぶん道産子日本画文脈とは全く無関係に表現されているだろう葛西さんも、
永遠さんのような自然ベースではないけれど、現代の庶民的な生活様式の中から細かいネタとユーモアを抽出して、皮肉と可愛らしさを与えることに特化したタイプのイラストレーション筋を自覚的に取り入れていたり、「日本画」というイメージ自体をモチーフとして使うことを表現に組み込んでいるあたり、球子さんとは違ったシニカルな方法で、さりげなく日本画への揺さぶりにも挑戦しているように見える。

だから、美術筋、イラスト筋、日本画筋、と問題系が別方向を向いてる領域を意図的に混在させながら作家性を作っていこうとしてるはずで、
葛西さんがストレートに「日本画家」という呼び名を与えられていたり、名乗ったりする時には、やや違和感があるんだよな。


美術筋で、球子さんばりの逸脱を勝手に夢想するならば、どこまで「やまと絵 及び 日本画の諸要素」をパロディに昇華させて、扱うイメージとの掛け合わせで表現を成立させるか、が肝になってくるはず。
今回の展示では、学生時代の作品から新作まで含め、額装のある作品、ない作品、支持体がふすまの作品、「印押しサイン」がある作品ない作品、大きい作品小さい作品、と落とし込み方も様々だったけど、例えば名品展前半にあったような掛け軸状の縦長だったり、取り入れられる諸要素はまだまだあり、それらに適した痛快なイメージがあるはず。
あとは諸モチーフの接地面の徹底に改善要素が感じられた。松丘さんやお弟子さんも、その辺があんま僕はしっくりこないんだよな。木が地面から生えてるところとかの描写が。

きのこたけのこ戦争の作品を、旧幕府軍と新政府軍の内戦があった函館の地で鑑賞するっていうのは、面白いな。


、、、と、しかしやっぱり日本画は広く重要作家とか歴史の変遷を押さえているわけではないので、思いつきメモ程度が限界だなあ。
僕の絵画に関する思考の引き出しは、まだまだ偏ってるなと改めて。
そこ、自分の弱点だとも思ってるので、
日本画界隈の基礎知識もこの際もう少しインプットしておきたい。




美術館を鑑賞したのち、徒歩圏内のシエスタハコダテへ。
ここの4階の、Gスクエアというところに、
大学時代の後輩・板本伸雄くんが作った作品があると聞いて。
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グレイだ、ハウエバーだ、テルのポーズだ。
はるばる来たぜ函館!

近所をブラ歩き。ゆきちゃんが小さい頃短期間住んでたようで、
その時からあったらしい、梁川交通公園。
子供限定の60円ゴーカート。楽しそうだ。
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榎本武揚の像があったので、ゆかりの地なんだろうか。

その後、五稜郭公園にも。しばらくきてない間に、なんか見知らぬ建物ができてる。
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 復元された箱館奉行所だ。ベタに歴史の勉強する。
あと、復元ドキュメントの職人さんの仕事、木の組み立てやら鬼瓦の設置の精度など、
信じられんな。

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中で、ARを使う記念撮影を試した。 


湯の川温泉を超満喫。ぐへえええ久々に制作から離脱できて湯が染みる〜〜〜

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美味え。。。。

寝不足疲れですぐ寝て、変な時間に起きて、またしばらく眠れず時差ボケ状態。
仕方がないので深夜に2回目の湯。1人で独占はいいねえ。

 
 

近所でギターの弦買って、スタジオ出勤。
お世話になってるデザイナーさんが所用でスタジオに来てた。
めちゃ久しぶりに会えてよかった。電車で遠方から札幌に来たけど、
ガラガラまでではなかったとのこと。 仕事にもそんなに影響はないそうで、何より。


制作。
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3月以降、たぶん制作していない日が1日もない。
ほぼアトリエと家の往復と、必要買い物、たまに行きつけのお店での休息だけ。
遠出もせず、リアル飲み会も未だ一度も顔出さず。
それにも慣れてきて、
どっちかといえば制作を止める方が落ち着かないので、 
すっかり出不精になってしまった。 

と、同スタジオの葛西ちゃん、函館美術館での展示が始まった。 
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/hbj/ 

スタジオメンバーの動向はなるべく追っておきたいし、
現在、道内での感染者も少ない状態でそんなにピリピリしてないし(たぶん)、
来週の3連休とか来月のお盆などが過ぎればまた増えてガヤつきそうな予感もするし、
詰め詰めの制作から一瞬でも開放されるのも大事だし、
重くなった腰を上げて、明後日1泊2日で函館旅行だ。
ウポポイもチェックしたいけど、オープンしたてで混んでそうだし、
割とタイトに帰って来ないとならないので、改める。
宿予約とった。

とった後に見た今日のニュースで、政府主導のGo To キャンペーンが22日から始まるとのこと。いやむしろキャンペーン期に便乗せずに今のうちに行っとくで僕は良かったな。
あくまで感染者数だけで考えてみれば、東京でガンガン増えてるところにGo Toって、ぶっ込み過ぎててヤバみ満載だけど、それだけ旅行業界からの悲鳴が政府に反映されてるということでもある。経済優先モードでいくにしろ、反映のさせ方はこれがベストなんだろうか。

制作の合間に、本棚から引っ張り出して
ニューヨーク 芸術家と共存する街』塩谷陽子 著
をチェック。
ああこれは美術家提言書の参考に大いになるなあ、昨日に続き署名した人にオヌヌメ。
確か学生時代にI先生からレコメンされたり、
はるか昔にA田誠さんがTwiで紹介もしてた気がする。 
プロの芸術家の定義や(自己の創作活動に従事している度合いの高さ。一生を賭けて従事する気があるか。何で喰っているかということとプロの芸術家かどうかは、関係がない。P21-22参照)、
プロの芸術家のやるべき事例や(活動プレゼンの資料準備や、記録写真のクオリティの話など)、芸術家の支援の具体例、、、
いずれも説得力のある説明がされていて、1998年の本だけど、未だこの本の内容に追い付くためのプロセスは山ほどありそうな、文化行政の下地にできる教科書的内容。

寝足りないなか、アシ君デーなので徒歩出勤。

明日7月6日(月)24時  7月7日(火)朝8時が署名締切の「美術への緊急対策要請」、
https://sites.google.com/view/artforall-jp/?fbclid=IwAR3QfTCgYitsqTnaFXqxKMC_yVlnB89ZR16tx1ie0ECPSH8PG8cP9Iv0q4o

ここ数日ずっと葛藤をしていたが、結局賛同した。
この選択で良かったのかは近未来にならないとわからないけど、
いつもの自分と少し違う選択ではあった。


以下、葛藤内容。

・僕自身が、切迫した状況ではない。
3月色々作品販売機会が中止になってヤバいかも?という時期があったが、
一緒に仕事しているギャラリーがオンライン展示を展開、
そこでこんな時期に買っていただいたコレクターの皆さん、
プラス持続化給付金のおかげで、
制作活動については平常運転の活動が出来ており、
民間、行政両方からの恩恵も受けた事実があるし、
実際自分もそれらの準備などでかなり働いた。


・求めることの具体性がよくわかっていない。


・そもそも、よっぽどのことがない限り署名に名前を書かない 。
自分の名前を預けることに重みを感じてしまって、熟考した上で納得ができないと簡単には書けないし、
僕の「個」の意識が強すぎるのか、集団性の強い声明などに意思を預けることに少なからずの拒否感がある。今回の要請書も最初添付資料がついてなかったので、少なくとも提出資料を全部読めない限り署名できん!と、お願いして全資料のリンクをつけてもらうまで賛同する気はなかった。


・美術といっても、皆が仲間、とは日頃なかなか思えずにきた。
正直、尊敬できるひともたくさんいるが、それ以上に尊敬できないひともたくさん。 
新コロナ以前から、仕事や活動、美術の研究の深さ真摯さに欠けるひとが、
「新コロナ禍で窮地に陥っている美術に今すぐ支援を!」と声だけは大きい自称巨匠になってるパターン、一体どれほどたくさんあるだろうか。
そういうひとと一緒くたにされることに対する批判心はある。
僕のただの傲りなのかもしれないけど。

・芸術文化関係なく、経済的に被害の大きな所にいち早く補助が回るべきで、
美術の領域でも、ひとつの職業として今までやるべきことをやってきて、
ある程度の社会的評価もされ、その上でも経済被害がヤバい場所や人に、
適切な支援が回ることを望む。 (持続化給付金はその点においては職種ではなくて収入の減少度合いを基準にしていたので、公平さを感じた)


・向かうべき相手を敵として攻撃的な対立の結果分断、問題解決ならず、どころか問題が悪化、
問題への向き合い方や、過剰な内輪派閥姿勢がおかしいのではないか、
という事象を、主に震災以降、うんざりするほど見てきた。
今回も同じ道筋が見えるなら、時間の無駄だ。自分の仕事を全力でやるのみだ。


・今回の要請書の切実さは、
国の第二次補正予算の文化支援対象分野が「音楽」「映画」「演劇」「伝統芸能」「舞踊」などで、「美術」が含まれていなかった事実があり、そこに問題意識を持った美術家有志が立ち上げた部分にある。
原因はこれまで美術に携わる人たちからの具体的な意思表明がほとんどなかったからで、美術に関わる一人一人が自らの声を表明することの大切さを、要望書の前文でも訴えている。その点に、異論はないし、僕も文化行政に何が言えることなのかを考えるきっかけにすでになっている。 


・最初の要請書意見交換美術家ZOOMミーティングに参加した際、進行の意見の集約の仕方にイヤな感じが少なめだったのと、僕らのような札幌の作家まで一同に参加する数百人の規模感に新しさを感じた。お誘いを受けた作家さんの活動や、中で進行を手伝っている方も、日頃から信頼できる方々が少なからずいて、そういう小さな個の関係性も大事にされている気もして、やや警戒心が和らいだ。


・もう少し制作側ばかりではなく、経済視点を持っているコレクターさんや画廊の方々などに声をかけていったり意見を聞く姿勢が出てもいいと思うし(会議でも意見述べた)、直接大きな経済的損害が出てる人の具体例を挙げるなども説得力の向上につながると思うけど、どの辺まで協力要請の声が届いているのかはわからない。


・ 同時進行で札幌でも文化行政への提言書提出のプロセスが進んでいて、話の流れでそちらにもほんの少しだけ関わることになったのだが、美術の人たちの連帯意識の少なさや、近くにいる人たちとの情報共有さえできていないことに気付かされた。これは美術家ZOOMの時と同じ感覚で、こういう機会だからこそもう少し掘り下げてもいいのかもしれない。


・例えばウチのスタジオには、美術作家だけじゃなく、S-AIR(札幌アーティストインレジデンス)も入居しており、新コロナ禍で国外の作家のエクスチェンジが完全に止まってしまった。僕ら札幌の作家が、このエクスチェンジ制度にどれほど良い刺激を受けてきたか。このような組織のピンチは、僕のような美術家の実例とは全然違うし、非営利団体なので経済的な数値では測りづらい価値を持っている。実際スタジオから退去されるようなことがあれば、全体の運営影響にも関わるので、他人事ではない。


・添付してもらった小笠原財団の「現代美術分野の緊急助成制度に関するアンケート結果報告書」の自由記述に、残念な意見もたくさんあれど、知らなかった切実な状況の意見もたくさんあって、現実味がわかった。 

・スタジオメンバーや知り合いの作家とも少しこういう話をしてみて、新コロナ禍に限らず、行政から一般の人までの、専門性の大切さ、美術の職業としての側面の認知度の足りなさ(例えば展示やイベントのために準備する材料費や、調査、実制作にかかる時間に対するフィーの低さを考えると、時給計算で換算しても最低賃金を大きく下回るケースがものすごく多い、とか) や、仕事の種類の多さ(前述したレジデンスとか、美術家をサポートするコーディネーターとか、展示スタッフとか)など、
ただ美術家に支援を!!と叫ぶだけでは伝わってないことが多すぎる。できるだけ具体的に現場の実情を美術の側も整理して、広く認知してもらうべき事柄を伝えられるようなコミュニケーションの機会をこれから作っていかなければならない、という意見がでてきた。 


、、、と、そんなところ。
もちろん完全に納得できたわけではないのだけれど、
僕自身は新コロナ禍の緊急経済対策の要請以上に、
これからの美術と社会のコミュニケーションのポジティブな変化のきっかけの可能性に、
名を連ねてみようと思った。


できれば、制作側だけではなく、
僕の活動を日頃から直接助けてもらっているギャラストさんや、コレクターさんや、展示を見にきてくれた方々や、画材屋さんや、、皆さんにまで、賛否あっても波及だけでもしていって欲しいところ。




おととい市役所、昨日スクール、今日賛同に関する最終的決定、と
制作外の思考に疲労したので、アシ君上がりと同時に我が家も上がる。
IMG_3875
小作品も、進めねばね。
1ヶ月後が、完成作品撮影日になりそうだ。


いつもの居酒屋でプチ食事を決めたら、
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お店専用、名前入り特製夫婦箸が用意されていた。このお店、スタンプカードのランクがあって、我々はスペシャルプレゼントランクに到達する程度には通ったため、店主さんにお任せしてたら、これが出てきた笑
常連感、楽しい!!

ウマ飯食べて早めに帰ってきて休息!!!!! 
、、するつもりが長々と書いて結局夜が明けつつある。

昼に起きて、車で大通りへ。
まず先日営業を再開した、老舗サンドイッチ喫茶店「さえら」でサンドイッチをテイクアウト。
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(逆光でよくわからないが)
僕はいつも、メンチカツ&コンビーフ。
IMG_3617
ゆきちゃんはメンチカツ&たらばがに。
久々に食べて、非常に美味い。

腹ごしらえを終えて、結局今日から始まった笠見画伯の展示を見にCAI02へ。
http://cai-net.jp/currentexhibition/
IMG_3591

未だ緊急事態宣言下の札幌で、CAI02が展示に踏み切ってくれて、良い判断だ。
ここはトークイベントもカフェ営業もないなら、
客側が気をつけてれば密にならんので問題ないと思う。
今回はグリッド多用しながらどういう行為が重なった時に絵の良さが発生するか、
の地点をしつこく追ってる感じ。
サイズも小振りなものが多く、スペクタクルからも距離を置いてるんだろか。渋い。
しかし、情念たっぷりの過去作から見ると、ずいぶん遠くまで来てるなあ〜と感心する。

徒歩圏内のBARISTARTCOFFEEでカフェラテもテイクアウトして、
IMG_3618

自粛解除前の街を満喫し、アトリエに向かう。
車で通りかかった感じだと大通りの人出はまばらで、
百貨店、パルコなどは土曜休業、ジュンク堂は開いていた。 

アトリエに着いて、届いてた小包を開封する。
IMG_3611
小樽ビールのヴァツェンの瓶セットに、

IMG_3612
5リットルのミニピッチャー。 ドンケルが生ビールで飲める!
ゆきちゃんの北海道物産応援活動の一端である。
これでさらに七輪計画の準備が整った。

さて制作しようと思ったら今度は、
オンライン展覧会「Online / Contactless」が開廊してると聞き、
参加してみた。
http://thethree.net/exhibitions/5212 
Yoshimi Artsさんは、アートフェア東京で何度もお目にかかってて、
ブースが近かったこともあったりで、攻めた展示をしていたことが印象に残ってるので、
この企画に参加してるのも納得。 
ZOOMイベントも慣れてきたな。
会場にカメラ担当のディレクターさんだけがいて、PCとデバイス両方を繋いでて、
絵画作品の細部や肌理を、実物にデバイスのカメラで寄ってもらってライブで確認させてもらえる。
横斜め下から作品を煽って撮って貰えば、作品の表面の光沢なども映る。
画面越しに作品を見ながら、作家さんギャラリストさんに質問できたり。
よりカメラの解像度が上がったり、手ブレが無くなれば、かなり鑑賞体験できる。
つい仕組みのほうに関心が行きがちになってしまうも、
(Wii Uのスターフォックス零の特異仕様を思い出した)
じっさい泉茂さんの大作や加藤巧君の新作良かった。

札幌でギャラリー見た後にすぐ、大阪のギャラリーのオープニングに気軽に立ち寄れた気分なので、
コロナ収束後もこのような試み、無くならないで欲しい気もするなあ。
コマーシャルギャラリーで毎回これをやるのは大変そうだけど、
オルタナティブスペースには有効に思える。
なえぼのでもなんかオンラインイベントやる際に真似できそうな良い仕組みだ。
the three konohanaさん、Yoshimiさん、Googleマップにピン付けて、
大阪行った時は立ち寄ろう。 

結果的に、妙に充実した土曜日になっとる。
制作。
IMG_3615


特別定額給付金の申請書類も届いてたので、ポストに投函して帰る。
10万貰って欲しいものといえば、壊れかけのMacか壊れかけのiPhoneの新調、、、
給付金を結局Appleに回すのは、なんか腑に落ちない。 

久しく実家の様子を聞いてなかったので、ビデオ通話をした。
地元はコロナ感染者3人だが、陽性検査をできる病院がないので、
検査には札幌まで検体を送らなきゃならんせいもあり、報道よりも実際は多いんじゃないか、とのことだった。へえ。
皆元気そうであった。

今日はアトリエにも車がたくさん停まってたので、
皆さん制作してるのか、家にいるのが辛くなってきたのか。
naebonoは共同スタジオと言っても、
建物内部で各部屋が分かれているので若干アパート感がある。
なので人が来てても濃厚接触は起こらず。

札幌市長は、市内の感染状況は
国内で唯一と言っていいほど拡大してて全国的に見ても危機的と強調、
15日まで外出を控えるよう呼びかけてる。
昨日のBBQ騒動もあって、キツめに言ってる感じ。
 
制作。ヤスリヤスリ。
IMG_3472
 

HIGH TIDEのCD-ROM、
やや旧型のMacでなんとかデータを掘り出した。
スクリーンショット 2020-05-06 5.29.18
札幌現代美術の脈を検証するには貴重なデータ。
全然覚えてなかったが、各作家の論考+映像インタビューも収録されてて、
なかなかのボリュームだ。
90年代中期の時点で、既成の公募展と違う切り口で、と言いつつ、
平面、立体、半立体というカテゴライズの硬さはなかなかキビしいけど、
2001年段階では映像インスタレーションなどの作家も増えて、
現代美術な感じに仕上がっている。
細かい検証を始めると書き終えられないので、追々機会があれば。。。

ちなみに、ここから一時代前の資料も僕は持っている。
IMG_3474
去年たまたま近所のブックオフで発見し救出した、
『札幌アヴァンギャルドの潮流展』のカタログ。
これは全体を岡部昌生さんが監修していて、
さすがのアーカイブ力、
戦前〜90年代前半までの札幌美術史考察テキストと年表まで載っている。

さらに、過去に芸術の森で開催された、
・中根邸の画家たち
・さっぽろ昭和30年代 なかがわつかさが見た時代
(これは10年前に展示もみて、たどたどしい感想も残してる
http://yamamotograyzone.ldblog.jp/archives/52043230.html )
のカタログも持ってる。
 IMG_3499

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これだけあれば、なんとなく札幌現代美術史のポイントを抑えられる。
やはり今は細かく検証はしないけど、
通して全部読んでいくと、熱くもなるし、色々もどかしくなる部分もたくさんだ。

話をだいぶ端折って、
コロナ禍が過ぎたあとの事を想像してひとつ気がかりなのは、
LCC文化が元通りになるのか、である。
インターネット + 安価な飛行機移動可能という前提があって、
今札幌拠点での制作もある程度充実してるからなあ。
その辺も考慮して、札幌の美術のことを掘り下げるのも悪くない。


千葉で2日連続震度4の地震、首都圏の方々のスマホは緊急地震速報が鳴ってるようだ。
自粛+地震はキビシイな。 

緊急事態宣言の影響で明日から5月頭まで、
JRタワーやら、大丸やら、地下街やら、ファクトリーやら、
市街地の主要エリアが軒並み閉まるらしい。
ずいぶん思い切った政策にちょっと驚き。

赤れんがテラスも同じくで、
武田浩志先輩の展示が急遽今日いっぱいで終了になってしまった。
ああ〜パーティもトークも無くなって会期も短縮、関わった身としても残念。
Twitterで北海道美術ネットの梁井さんに、テキストも圧巻とお褒めの言葉をいただいた。
感想の8割が「長かった」なので、救われたなあ笑
僕は18年前から近距離で見続けてきた、自称武田ウォッチャーだぜ。
武田さんの影響無しには、自分の作品の技法も無い。
ここでその分析の一端を披露できて、良い機会になったと思う。
サイトに書いたテキストは残っているので、ご覧ください。
https://www.terracekeikaku.com/kaibouten01


アトリエ制作。
途中、市街地シャットダウン前に駆け込みで車でルピシアに向かい、
ゆきちゃんがティーを買い漁るなど。


美術手帖2020年4月号(表現の自由とは何か?特集)に載ってた、

『絵画の約束ー非・媒体固有性、インデックス性、価値について』
イザベラ・グラーフ 文
大森俊克 訳

を読んだ。
メイン特集に隠れて目立ってないけど、

絵描きはこっちも読んどくべし。
絵画の固有性を、純粋性ではなくて記号論的インデックスから探るという2012年の論文。
8年前当時の絵画の位置付けの参考になる。

○内容ざっくりメモ
「準主体」への欲求に独自の方法で接近するのが絵画だと言っている。
生産物としての作品と、それが出現するときに居合わせないアーティストの人格。
この双方の関係をいっそう強固のものにするのが絵画的記号としてのインデックス性であって、
絵画とは、不在であるアーティストの主体性を浮き上がらせるという「暗示」の機能を伴って存続している。
ウォーホル、リヒター、ガイトンのような一見「脱主体」的なアプローチでも、この効果はある。
また、絵画は自らに関する固有の言論を生産する。
彫刻にも同じことが言えるが、
アルベルティによると、絵画の方がより難題に取り組むこととなる。
今でもそう見ることもできる。
絵画は主体であるアーティストとの物的=身体的つながりを暗示し、
次いでこのつながりから、あたかも実体が伏在しているかのような印象が生じる。
→準主体
絵画(及び芸術作品全般)の様式化に際し、
芸術を研究する者たちが、準主体にとどまることにより、
価値の生成プロセスが活性化される。
マルクスによる価値の定義→
その1
価値とは実態を持たず、つねにどこか別の場に存在している。
価値=「純粋に社会的な事象」
それ自体で高い価値を有する芸術作品は存在せず、
むしろ価値は果てしなく続く社会的、制度的、交流的なプロセスの内部で規定される。
その2
人間の労働力そのもの、人間の労働力全般の支出。
→→
絵画は、コレクターの「アーティストの「生」を感じさせる労働成果を手に入れ、
それにいくばくかでも接していたい」という欲求を満たそうとする。
絵画の痕跡、マチエールは、労働力(=制作)が私的かつ具体的であり続けるという、
想像上の場を存在させている。

昼過ぎ起きてアトリエへ。
後輩夫妻が、
この機会に、前々から欲しかった自作を購入したいとのことで、
香港出展予定だった作品を見にくる。お、マスクちゃんと付けてる。
本来なら現地に送ってるはずが、
現在Artsyというサイトでウェブ販売状態なので、
実物は全部アトリエにあるのだ。

後輩夫妻は作品の前で、
家の壁はこのくらいで、、、光はあそこだと強すぎるしあそこだと暗いし、、、
と、飾った状態をシミュレーションしてる様子。

ちょうどギャラリー門馬でも別作品が展示中なので、
そっちとも見比べたいと、ギャラリーへと向かって行き、
結局そっちの作品が部屋に適しているとのことで、買ってくれた。
ありがたや!!

その後輩、学生時代にも4000円で手のひらサイズの作品を買ってくれてたんだよな。
あの時はギャラリーとのやりとりも存在しておらず、販売のルールも知らぬまま、
なんとなく4000円と自分で決めていた。今は10倍以上の値段になっとるな。
他にも何名か同じシリーズ買ってくれた。
今考えると無謀だが、4000円だし幸いトラブルもなかったので良かったけど。
学生の皆さんや若い作家さんは販売のあれこれ、
周りの信頼できる大人に聞いたりしながら、気をつけてください。

ちなみに今回は、作品がアトリエにもあったわけだけど、
知り合いだからと言って、僕から直接売らないようにしている。
たまに古い友人や知人などに、
僕自身からアトリエにある新作や古い作品を安く直接買ったりできないのか、
と聞かれるけど、販売については必ずコマーシャルギャラリーが窓口になってもらっている。
作品が売れた時は、ギャラリーによって割合は多少違うとはいえ、
基本50パーセントずつの取り分と決まっている。
お互いの役割(作家は全力で質の高い作品制作。ギャラリーは全力で作品販売、プロモーション、作品破損や輸送、トラブルなどの窓口全般)のために、50/50。
だから、一緒に仕事をするギャラリーは真剣に考えねばならんし、
信頼関係を作って共闘する。
勝手に僕が直接お客さんと販売のやりとりすることは、
ギャラリーとの関係を裏切ることになる。
どうしてもなイレギュラーな事態(例えば作家同士の作品交換とか)があれば、
ギャラリーに相談するなりなんなり、後々トラブルが起こらないように。

ちなみに値段は全ギャラリーと相談しながら決めてて、
すべてサイズで決まっている。
絵画は日本ではよく、号○○円、というルールがあるんだが、
僕は号という特殊単位では作品作ってないし。
ウチの場合は大まかに言えば、(タテ+ヨコ)×〇〇euroという計算式があって、
どの国のどのギャラリー、どのフェアで買っても基本一律同じ。
(消費税は各国別。通貨の違う時はレートを参照に1euro=〇〇円と基準を設定。数年越しに大幅に変化した時は再調整。端数も切りよくする。そのため国が変わると多少のズレは発生する)
違うギャラリーで大幅に値段が違ったり、自分の思い入れなどで金額が不自然に変化すると、
一貫性が無くなり、信頼も落ちる。
作品形態によって価格の算出方法は様々だと思うけど、
客観的な説明ができるルールで決めること。要注意。

、、、、みたいなことって、ある程度学校で教わりたかったよなあ。
今はそういう機会あるのかな。

通常ブログモードに戻る。

昨日メッセンジャーでウザいオジサンモードでテキスト送ろうと思ったら、
妻に止められたんですよ、という話を別のメールで別の人に話してたら、
ある本の1ページの画像が送られてきた。
老シャガールが、夫人がいる限り、何一つワシの自由にはならん、
と愚痴を溢しているという内容だった。笑
なるほど、、、
これはシャガールも、本人は自由で夫人が裏で苦労して支えてるタイプということでもあるな。
こういう巨匠の些細なエピソードが残っているのは良いことだ。
しかしよくこんなピンポイントなネタを即答で送ってきたなあ。
その方も、同じ境遇なのだろうか、、、

今日も割と淡々と制作。
ちょっと新しい、円のランダム配置の仕組みを取り入れて実験してみてるところ。


※Fbに書いたことそのまま転載

OIL by 美術手帖 でも、
アートフェア東京2020に出展予定だった一部ギャラリーの特設ビューイングサイトがオープン。
自作もOIL内のギャラリー門馬ページで見れます。
(掲載作は先日告知した門馬特設サイトと同じです)

・OILサイトでは他ギャラリーも回れてカード決済可能。
・門馬特設サイトでは展示イメージや解説が詳しく読める。
というような違いがあります。OIL by 美術手帖 オンラインビューイング
https://oil-artfair.bijutsutecho.com/…/galler…/gallery-monma

ギャラリー門馬特設アートフェアサイト
http://g-monma.x0.com


また、同じく新コロ影響で中止になったアートセントラル香港2020の代替サイトもオープンしてます。
こちらはArtsyとのコラボレーションページになっているようです。

Admira Galleryのページに新作6点公開しています。
https://www.artsy.net/artist/yuki-yamamoto
 

合わせてご覧いただければ幸いです。


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しかしウィルスの影響で、
同時期にいきなり複数のオンライン上で自作が公開販売されることになるとはなあ。
現地で実物を見る体験には当然及ばずとも、
オンラインはオンラインで見せ方のおもしろさっていうのもあるはずなので、
この機会に他のサイトも色々徘徊してみる。

各メガギャラリーのオンラインビューイングサイトが独立して存在してて、
メアド登録で閲覧できたPACEのサイトでは、
例えばジュリアンシュナーベルの新作展が公開されてるんだけど、
https://www.pacegallery.com/viewing-rooms/julian-schnabel/


まず入り口にシュナーベルの屋外スタジオの写真が載ってて、その光景に笑える。
新作一覧とギャラリー空間の写真と一緒に載せてて、
デカさがビジュアルで伝わるのはやはり大事だなとか、
値段がわかったり(7500万円とか)、
へええシュナーベルでも展示作の半分くらいはまだAvailableなのねとか、
そういう情報が見えてくるのはちょっと新鮮だな。

昨日からはアートバーゼル香港2020のビューイングサイトも一般公開されてるので、
もちろんチェック。
https://www.artbasel.com/viewing-rooms

膨大な量、ハイクオリティ、気になる作家とギャラリー名を次々メモ帳にコピペ。
メモしやすいのは便利だな。
値段も恐る恐る聞かなくても良い(去年はどっかのギャラリーでポルケの良いタブローの値段を聞いたら、ニッコリと2.5億円と告げられて、苦笑いした。)。
だいたい同じサイズ感で、ジェフクーンズは3億円で、テリーウィンタースが2000万円か、
ゲイリーヒュームは1350万円か、作家ごとの現在の市場の評価はそんな感じか〜、
だったらテリーが良いな、お買い得じゃない!? 
、、、などという、夢想が可能。

毎年ギャラリーのブースの位置はだいたい固定だったはずなので、
マップ表示選択できたらもっとあたりをつけて徘徊できるので見やすいのだけど。
オンラインビューイング徘徊だけでなかなか大変。
現地で毎日2万歩レベルで動きながら鑑賞するのも大変だけど、それとは別の疲れ方!!
まあ無料で、基本絵画が山ほどあって、
リアルタイムの潮流が手軽になんとなくわかるので、
絵描きにとっては勉強になるし、美術好きの皆さんにも連休の自粛系過ごし方としてオススメです。

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さすがにずっとモニタの前だと目が疲れて来たので、
ちょっと歩いて、僕も講師をやらせてもらってるThink Schoolの卒業制作展でも見てこよ〜。
札幌のチカホにて23日まで。
https://www.thinkschool.info/single-post/2020/03/11sq2

シンク卒展のすぐ近くでは、僕も少し関わった展示やってるので、
自宅に飽きた方はどちらも手洗い徹底で見に行ってみてください!
現代アートを解剖する Vol.1 武田浩志
2020年3⽉7⽇(土)〜 4⽉26⽇(⽇)
眺望ギャラリー テラス計画
以下のテラス計画サイトでは、武田作品を分析した僕の拙文が公開されてます。
展示や作家サイトと合わせてどうぞ。
terracekeikaku.com/exhibition

武田さんのサイト
hiroshitakeda.com

この度、ギャラリー門馬よりアートフェア東京2020に参加する予定でしたが、
新型コロナウィルスの影響を受け、展示が叶わなくなりました。
その代替案として、フェアに展示予定だった作品の閲覧購入が可能な特設ウェブサイトが、
本日オープンしました。

http://g-monma.x0.com/

作品の細部写真や、実際の展示予想図、作家による作品解説もありますので、
フェアを楽しむようにご覧いただければ幸いです。

また、札幌のギャラリー門馬を会場に、実際の作品をみていただくグループ展
ART FAIR MONMA2020
を4月1日~12日の間で予約制の形態で行う予定です。
合わせて特設サイト内にて情報をご覧ください。 

monmaweb



というわけで、
無事に形になって良かった!!

アートフェア東京の出展辞退を決めてからすぐに、
ギャラリー門馬の大井さんとのミーティングの中で、
何か違う形で作品を見せよう、という話が持ち上がった。 
3月4日、フェアの正式中止の発表くらいに、
特設webが作れないかウチのスタジオの武田さん
(テラス計画のテキストにも書いたけど、武田さんはマジでなんでも作れてしまう)
に相談したら、出来る!!という返答をいただき、

6日に大井さんとアートフェア東京と3331アートフェアの全出展作家、
(ギャラリー門馬は3331の方にも出展予定で、同じタイミングで出展辞退を決めた) 
プラス武田さんで、 特設web作戦会議。
FBメッセンジャーの遠隔ミーティングを使った。

ただ作品の画像と価格を見せるのではなく、
会場の雰囲気を少しでも取り入れられるようにと、
アイデアを出し合った。
会場風景の想像図や、解説、芳名帳や感想メッセージ、
来場するお客さんと発生する交流要素をイメージして、詰め込んだ。
これを実際、カッコ良いレイアウトで、たったの2週間弱で形にしてしまうのは、
武田さんじゃないと無理だったんじゃないか。

各作家も必要データを準備して、
大井さんはお客さんに諸連絡やら全体のサイトデザインのチェックやら、
ここ数日は皆バッタバタだったので、
無事にオープンできて、感無量です。

制作中のあいだに、OIL by 美術手帖からのオンラインビューイングからの打診もあり、
オンライン上の発表場所が2つになったりというタナボタも発生。
そちらは2日後にオープンする。 

初、オンラインビューイング。お客さんの反応が全く読めないけど、
めちゃ気合い入ってるので、反響が楽しみだ。

武田浩志先輩の展示が明日からスタート!

※コロナウイルスの影響により、予定が変更になる場合がございます。
「現代アートを解剖する Vol.1 武田浩志」
会 期|2020年3⽉7⽇(土)〜 4⽉26⽇(⽇)11:00〜20:00
会 場|眺望ギャラリー テラス計画(札幌市中央区北2条⻄4丁⽬1 ⾚れんが テラス5F)
展示作家|武田浩志
執筆者|O JUN、川上大雅、樋泉綾子、山本雄基
主 催|札幌駅前通まちづくり株式会社
共同企画|⼀般社団法⼈PROJECTA
協力|大丸藤井セントラル、ホルベイン
お問い合わせ|011-211-4366(テラス計画)|terracekeikaku@gmail.com
...............
アーティストトーク+クロージングパーティ
2020年4⽉24⽇(⾦)18:30 ‒ 20:00
場所|テラス計画
https://www.terracekeikaku.com/kaibouten01



武田さんは、大学時代に僕の価値観を大いに揺さぶってきて、
作品制作においてモロに影響を受けた最初のひとだ。
それは17年ほど前の話で、ええーっ!?もうそんなに経っちゃったの!?と驚くばかり。
今は今で、一緒にnaebonoの運営もやりながら、お互い何やってるか探りながら、
ずっとモリモリ作品を作っている。
そういう関係から今回、僕も武田解剖担当の1人として、
執筆者で参加させていただくことになった。
普段からスタジオの若手の皆さんにステイトメントなどダメ出しを散々してきたので、
今度はこっちがブーメランを浴びる機会がやってきた。
しかも芸大のセンセイ、プロの学芸員、弁護士ギャラリストのテキストと、
自分のが並ぶっておそろしいのだが、
僕は長年近くで同じ制作者としてジロジロ見てきた自称武田ウォッチャーである。
これまでの蓄積、分析をできるだけ、ぶっ込んだつもり。
フェアの中止の代替でこっちに力が入り過ぎたのか、
予定より長〜くなっちゃったので何人読んでくれるのか、、、
武田作品の補助線としてご笑覧いただければ幸いです。

※上のテラス計画のサイトで各執筆者のテキストが読めるようになりました。

エスエアのイベントに、2人の派遣アーティスト報告の聞き手役として登壇した。
プログラム上、2人に同枠で質問せねばならなかったのでなかなか苦戦した。

このイベント、当初はエスエア事務所で開催予定だったのが、
新コロ影響を考えて、割と早い段階でオンライン開催に切り替えたのは、
エスエアらしい。

https://sairblog.wordpress.com/20200229forum/


僕は事務所から参戦したのだけど、
ZOOMという仕組みに触れるのは初めて。 
これはなかなか面白い。
話す人を自動認識してカメラを切り替えたり、
名前表示も常時。
PC画面の共有も簡単。
月額料金を払えば100人まで時間無制限で繋げるみたいだが、
無料だと40分の制限があるとか。 
スカイプでもメッセンジャーでもない、
それらの機能をさらに便利にしたミィーテングツールって感じかね。
こういうサービス知らん間にどんどんでてくるな。
 

新コロ影響で、
道立近代美術館で開催中の「北海道151年のヴンダーカンマー展」が急遽今日で会期終了と聞き、
駆け足で見に行くことに。
う〜ん、オモシロい面とヒドい面が極端に混ざってる展示だった。 
並んでいる博物館的要素のオブジェクトに長万部写真道場のごった煮感は見応え満載な反面、
現代の作家の存在感が萎んでしまう構成に見え、その点で結果的に「ヴンダーカンマー」というキーワードが言い訳っぽくなってしまっていた。ただ、現代の作家の中では、row&rowの球の投げ方が際どくて、
天皇、台湾、オリンピックって、よくこれ今の国内美術の現状の中で、
しかも道立の美術館で作品プラン通ったな!!と好印象だった。

、、、と、その展示室には、さっぽろ雪まつりの雪像模型も展示されてたのだが、
これ、俺が学生時代にバイトで消防士の人たちと一緒に作ったやつじゃん!!笑 
台湾がテーマの大雪像で、台北101のパーツと陽明山を担当していたのだ。
懐かしすぎる。
隠れ近美展示デビューだった。

夕方に道知事が緊急事態宣言を発表。
3月19日まで、外出を控えるようにとのこと。
実際、昨日から小中学校の臨時休校から今日あたりで、
なんとなくこれまでと空気変わったな。
さすがにこっちの3月の予定も大幅変更の兆し。

世間の観念の増幅も、ビールスみたいだ。
家とスタジオ行き来する単調な毎日だけはあまり変わらんから、
情報の深刻さと自身の日常のズレが妙な気分だな。
できる限り媒介者にはならぬよう、うがい手洗いスマホ消毒、目もこすらず鼻もほじらず! 

ホテルのフロントでお言葉に甘えてマスクをもらって、
帰りはホテルから空港直通のバスが出てるので荷物も置いて、
身軽に豊田市美の開館時間に合わせてゴー。

さすが会期終了間近の日曜、開館直後から人多め。
つっても、ガチ抽象の現代美術で、こんなに人が来るものなのか、、、
世の中も変わったものだ。 

同じく豊田市美の抽象の力展もそうだったが、
展示序盤の導入構成がめちゃ素晴らしい。
会場に入った瞬間に、あかさかみつけのシリーズがズラーっと並び、
ガラス越しに大きなペインティングもチラ見せ、
ドローイングマシンによる作品もタイル作品も並び、 
展示室に入ってすぐ、目線を移せば一望できるようになっている。 

少し進んだら、ルネサンス経験の条件で展開した、
ブランカッチ礼拝堂のAR分析を必ず通過するようになっていて、
この分析の方法が鑑賞者にインストールがされれば、
作品の鑑賞脳もそれに引っ張られるようにできている。 

引っ張られ過ぎるのをまたかわすように、
ペタペタとした妙な痕跡だらけのお馴染みの大作とサムホールも並ぶ。 
塗りのプロセスを想像しながら見ると、トリッキーなことし過ぎてるんだよな。
小さな絵具の塊のキワ、綿布が少しカリカリ削られてるような跡が見られたり、
顔料の粒が表面に露出してたり(まぶしてるのかな、、、)、
違うナイフの跡が重なりながら、くっきりお互いを避けあってたり。
そもそも、剥き出しの綿布に複雑なぺたぺたを塗ってるのに、
下描きや葛藤の跡が、一個もないのだ。
下準備の段階で時間をかけた何かをやっているに違いない。

サムホールのあの不思議な額も、わざわざ一枚板から凹凸を彫り出してたり。

、、、と展示のことを書き始めるとキリがないので程々にしておこう。
展示途中に、 偶然次々に友達に遭遇してビビる。
栃木から1名、神奈川から1名、青森から1名、北海道から1名。 
ようみんな遠くから来るよなあ!!笑ってしまった。
しかしやっぱり、意外にみんなマスクしてないな。
したくても手に入らんってケースもあるようだ。

バスの時間ギリギリまで鑑賞。お腹いっぱい。
札幌が強風で、スタジオのシャッターがぶっ壊れたと連絡が入り動揺する。
直るのか?それ以前にそんな強風で飛行機が飛ぶのか、、、?

空港に着き、またあの遠い遠いLCCのターミナルを経て、
無事に飛べた。シャッターも大きな破損ではなかったらしく、
夜には元どおりになったらしい。良かった良かった。

これでまた、しばらく遠出がないんだったら安心なのだが、
3月の東京アートフェアは未だどうなるか発表が出ていない。
さすがに開催怪しいところだと思うけど、
どうなることやら。 

豊田美の岡乾二郎さん個展をやっぱりどうしても見に行かねばならんので、
会期終了ギリギリで愛知へ。

新型コロナウィルスのニュース、
(短い呼び名の適切なのはどれなんだ。「コロナ」も「COVID19」もなんだかな。)
国内感染者は日に日に増えている中で、
いま一番やりたくない、飛行機で大都市間移動である。

感染予防行動の、ハードな練習を意識してみる。
家に余ってたマスク、着用。
札幌駅にて、ICカードにチャージするため、購入のボタンを押す。
仮に、不特定多数の人が触れてるであろう場所にウィルスが存在してて、
触った位置に移るとする。
購入ボタンから、手に、手から、ICカード、おつりのお札、
財布の中。あらら、たったこれだけでベタベタ触るわな。
今度は手からスマホを触って、電車の手すりを触って、またスマホ、、、
スマホに蓄積していくな。これは定期的にスマホを拭かなきゃ、
予防無理でしょう。

飛行機も満席、意外と減ってないもんだなあ。
セントレア、いつの間にかLCCのターミナルが新設されてた。
それが、まあ、遠いこと。
飛行機降りてから、ターミナルまで1kmくらい歩かされる。
ターミナルから、鉄道まで、さらに1kmくらい歩かされる。
なんだこの遠さは、、、。そのうち駅が新設されるのかな。

名古屋に出るまでの電車も人たくさん。

駆け足で、ギャラリー巡り。
初SeeSawGalley+hibitで渡辺豊+青木真莉子展。
愛知のペインターの交流拠点としてかねてから噂を聞いていたので、
念願の来訪。いろいろお話を聞く。接ぎ木展のお話も!
空間も展示も良かったです。
クロージングトークを予定通り開催するか、新コロ踏まえて中止にするか、
決めるのが大変とのことだった。そうだよなあ。

MATNagoyaで泉太郎展、
インストールを想像すると、サイズ合わせなど大変そう。
良くできてる。

こちらも初ガレリアフィナルテで中村太一展、
撮影してたらオーナーさんに無許可はイカンと怒られてしまった、、、

名古屋に来たら、やや奮発して、ひつまぶし。
美味い。
市街地にも人がたくさんいて、新コロの緊張感は全然感じられなかった。

豊田に移動して、駅前のホテルで泊。
なんと。フロントでマスクを無料提供してるとのこと。 

昨年2019年8月に、naebonoにて開催した 『Grafting 接ぎ木』展のアーカイブをnaebonoウェブに公開しました。 展示風景に加え、初日に行ったアーティストトークも全文公開してます。 自作についても沢山喋ってます。ぜひご覧ください! https://www.naebono.com/archives/event/grafting

バーゼル香港中止ニュースがでた。
数日前から、新型コロナウィルスの影響で、
複数のギャラリーからクレームが入ってたりとか、
いくつかのメガギャラリーが出展取りやめるとか、
噂が流れていたけれど、ついに中止の決断。そうなりますよね、、、

と、いうことは、僕が出展予定である、
同時期のアートセントラル香港も中止来るよなあ、
しかしこれまでに何も発表がないなあ、と思ってたが、
昼過ぎに起きたらギャラリーからもシッピング会社からも中止の連絡が来てた。
ああ、、、関係者の皆様もご苦労様です。

4日後が集荷予定だったので、ギリギリでの発表だった。
そして、急ピッチで仕上げてた作品の梱包の力が抜けた。 

これはつまり、今年の収入激減ってことじゃねえか! 
ヒャッホー盛り上がってまいりましたコロナかかってこいやこっちは極貧生活の準備やブリブリ!! 

、、、取り乱しました。

気をとりなおして、
今日はハンブルクのグループショーのオープニングだ。
作家は現地に行けないが、盛り上がってくれることを祈る。 

【Group Show at Hamburg】
NEW JAPANESE PAINTING
Chisei Kobayashi, Yumi Nakata, Taishi Urakawa, Yuki Yamamoto
小林知世、中田有美、浦川大志、山本雄基

Mikiko Sato Gallery
08.February — 10.March, 2020
Opening: 07. February 18:00~ https://

mikikosatogallery.com
 

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FRAPBOIS札幌店にて、
コラボ商品の発売に合わせて店内での実作品の展示もスタート。

搬入と大黒屋展示が重なっていたので、
こっちは事前に展示位置を決めておいて、作業は妻に任せていたため、
那須から帰ってきてからようやく展示の状況を実見! 

いや〜、まさかフラボアに自分の作品がなあ。
不思議な気分です。 
展示は2月頭までですが、コラボ商品はしばらくの間絶賛販売中です!

先月、naebonoにて開催し大盛況となった、
「アート・アドバイザー 塩原将志に訊く!アーティスト、ギャラリー、コレクターのリアルな場」
全文をnaebonoウェブに掲載しました。


美術に携わる若手の皆さんにとって特に実践的な内容になってます。
僕も聞き手として参加し、文字起こしもやりました。アドバイザー・コレクター視点からみるアートの世界、アーティスト視点と重なったり全然違ったりで、めちゃくちゃ勉強になりました。
6万字を超えるボリューム、大変だったけど、内容のおさらいを兼ねて進められたので全然苦ではなかったです。塩原さん、田口さん共に、こんなに教育的な内容のトークの公開を承諾していただき、感謝の思いでいっぱいです。
ぜひ芸術の森で開催中の「球体のパレット展」と合わせて、ご覧ください!

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トークの様子

11月2~4日に、相模原市で毎年開催されているスーパーオープンスタジオ(以下SOS)に、

http://superopenstudio.net

なえぼのアートスタジオとして運営5名で参加してきました。

参加スタジオのひとつであるスタジオ牛小屋さんで交流展示形式でメンバーの小作品も展示してもらった上に、
バスツアー参加、シンポジウム登壇、懇親会、牛小屋メンバーでペインターの大槻さん家連泊し朝まで会話、造形大訪問、、、
リアルタイム投稿する間が全くないほど、寝てる時間以外は常に色んな方と密に交流し続けてました。得るもの多し。

僕たちのなえぼのアートスタジオは、改めてなかなかデカいスタジオなんだなとも実感。

感覚的にはSOSの参加スタジオ4つ分くらいの人数と部屋数があり、自前でオープンスタジオやイベントをやってるので、 SOSの縮小版のような集まりとも言えます。
なので、個別のスタジオとの比較はもちろんのこと、 SOS実行委員会やディレクターの動きも含めた運動全体のコントロールにも関心を持てました。
 

なえぼのにはアーティスト以外にS-AIRやコジカのビューイングルームなど入居しているなどの特徴がありますが、
1番違う点はなえぼのは公的機関や公的資金とは関係のない運営形態ですが、
SOSは、本拠地である橋本エリアが、3つの美大が近隣にあること、リニアの発着駅が作られること、米軍基地関連による再開発計画があること、ゆえの特異な現象として、あれだけの数のアーティスト(参加スタジオは20超え、飲み会だけで40人くらい参加、全体では100人超えとのこと)と行政が協力関係となっているところ。
これは良い意味で、異様な光景でした。
そしてアーティスト側と行政側両者の架け橋になるアートラボはしもと学芸員、加藤さんの存在の大きさや、
特に議題や問題意識を引っ張る役を引き受けている山根くん(今回直接やりとりしてくれたディレクター)や
千葉さんや井出さん始め、運営に関わるアーティスト達の大人なコミュニケーションの態度には実践を踏んできた貫禄があり、感銘を受けました。
中でも前乗りして参加したSOS夜会は、僕が聞いてきた検閲の議論で最も真っ当な内容のひとつに思えました。
同世代のアーティストと学芸員がテンポラリーな問題意識と知識を共有し真摯に共闘する姿は、極めて健全で理想的な状況でしたし、
またアーティストの群れとのやりとりで蓄積された行政側の対応体験のトラブルシューティングは、
近未来の全国の芸術文化行政の貴重なマニュアルになるんじゃないか?とも思えました。

僕らが参加することで与えられた命題は、
「アーティストが作品制作以外のこと(この場合共同スタジオを運営すること)をやる意義」と「他地域の美術コミュニティと連携することで何ができるか」の2点が大きかったのだと思っています。僕が登壇したシンポジウムではうまく答えられなかったかもしれませんが、、、
前者においては、立ち上げて3年経った実感から、
・メンバーの知り合いがそれぞれ訪問することや、札幌を訪れた関係者がアートスポットとして訪ねてくるようになり、スタジオビジットが格段に増えた。
・美術に対して真摯に向き合っているメンバーが持つ違った技術や考え方が、それぞれを助けるケースが増えた。
・近くに異なる技術・知識を持った作家がいることで、よりよい作品制作のアイデアに幅が出せるようになること。
・大きな共有スペースなどもシェアできるようになり、周りがアーティストばかりなので精神的にものつくりに向かいやすい場になっている。
、、、といった具体的なメリットが浮かびます。
作品を作る、作品を見せる、作品について話す、興味関心を共有する、、、ひいては美術の事を考えるための場、
アーティストが集まったならではの場として機能していることが、意義と言えます。
札幌では、行政主導の国際芸術祭や新しくできたアートセンターの市民交流プラザが、広く市民に現代美術を親しんでもらうプログラムを先導してくれていたり、芸術祭から派生してできた天神山アートスタジオが外部のアーティストを受け入れる機能をもつことで世界中国内中アーティスト同士の交流が生まれてます。
そのぶん僕らは少数で、わかりづらい、オタク的なオルタナアプローチを大事に、ここに来ればエッジの効いた地元作家の美術観が確保されている、という棲み分けができつつあるのかな(まだまだやるべき実践は山ほどありますが)、と思います。
ただ、元々は物件情報がたまたま降ってきて、見に行ったらその空間に、皆がすっかり心が奪われてしまったから引き受けた面もあるし、意義以前のきっかけがスタートです。
運営で制作の時間が取られるという点に関しては、制作と同じくやりたくてやっている行為なので自身のためになっていますが、制作と運営の比重のバランスは常に考える必要があり、運営が無理の出ない範囲で収まるように気をつけています。

後者においては、
今回ずいぶん近い距離で、違う地域の方々と、作品作る人、観客との間をつなぐ人、ごちゃまぜになって直接密な交流をすることができ、それぞれの状況、問題意識を共有しました。例えば高知県美の塚本さんともたくさん話せて(翌日橋本からあざみ野の「しかくのなかのリアリティ展」クロージングに乱入した組)、高知への精神的距離が縮まったり、今度行ってみようかな、という候補になるだけで視界範囲が拡がります。どのエリアの人からも、ウチは閉塞感があるからそっちは羨ましい、とよく聞きます。隣の芝は青い、札幌も高知も、名古屋や京都や福岡も、僕らからは首都圏に見える相模原ですら、なんだなあと。
全国それぞれのエリアに、なんか面白いヤツらがいるらしい、と認識し合って適度に行き来することは、全てのエリアにとって健全なことであるはず。移動や異文化に触れること自体が、新しいアイデアへの刺激のひとつ。LCCで全国の移動もしやすくて、ネットで自分たちの活動を発信しやすい今らしい動き方を意識的にしていきたいです。
また、今回なえぼのは人だけでなく作品も送って展示してもらえたので、輸送や経費の問題はあれど、作品を含めた相互交流は大きな意味を持ちます。
嬉しかったことのひとつに、絵画教室に通っている小さなお子さんが、僕の絵を鉛筆で模写して「カラシャ」と愛称をつけた作品を見せてくれたことがありました。
「なんでカラシャなの?」「カラフルでシャボン玉みたいだから!」良い、そして地と図のニュアンスが理解できてる!
以前から知ってくれているお客さんも見に来てくれていたみたいで、嬉しいです。

言うまでもなく、沢山のアーティストの作品を一気に見ることができたので、刺激をもらうこともできました。
まずはSOSの皆さんの作品と人をなえぼので招聘し、相互交流が実現できるよう計画します。

僕らなえぼの運営メンバーもそれぞれ持ち帰ったことは様々だと思うので、そのうち改めてなえぼののウェブサイトに、 SOSレポートできればと思います。
連携を実現していただいたSOSの皆様、本当にありがとうございました!!!!!!

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